知人のノブコは、娘の就職を探していた。
どこか無いかしら、と私にも連絡してきた。
勤めていたデパートが閉鎖になり、退職して以来
6年間、家でブラブラしている。
もう30をとうに過ぎた娘さんだ。
「それが最近、週に何回かスナックで
こっそりバイトしてたみたいなの」
「ほお~」
「まあ、親の私が言うのもナンだけど
きれいだからってスカウトされたらしいわ…」
「すごいじゃん」
「こないだ、飲酒運転の検問でつかまって、わかったの」
「あら~!」
「罰金が払えないもんで、白状したのよ。
びっくりしちゃった。
どこでも勤まる子だから、ちゃんとした所に就職させたいのよ」
きちんとした子だから、罰金は働いて返すと言うんだけど
就職してないんじゃあ、どうにもならないでしょ…ノブコは言う。
きちんとした子が飲酒運転なんかするかどうか疑問だが
そう言うのだから、そういうことにしておこう。
ノブコはずっと以前から、ことあるごとに娘の優秀性を強調してきた。
メイクや服装のコーディネイト、礼儀作法を先生について習った…
パソコンも英会話も人並み以上…
その娘さんをチラッとしか見たことはないが
かなりケバいおかただ。
人は見かけによらないんだなぁ…と思っていた。
折良く、夫が取引先から事務員を探してほしいと頼まれた。
工事終了までの期間限定のパートだが
優秀な人物なら正社員、または系列会社への推薦も考えるという。
条件はエクセルとワードとやらができるのと
外国人労働者がいるので、英会話が少しできれば、なおありがたい…
というものであった。
ピッタリじゃん!
喜び勇んでノブコに伝える。
「さあ…あの子がどこまで出来るか…」
意外にも浮かない返事。
「大手だし、断ったらもったいないよ」
「あの子の気持ちも聞いてみないと…」
それきり返事が来ないので、その話は別の人の所へ行ってしまった。
ノブコが私に腹を立てている…
友人からそう聞いたのは、しばらく後のことであった。
「フフフ…娘に恥をかかせたと言ってたよ」
「え~?なんで?」
「何でも出来るって言ってるけどさ
あの娘さん、デパートに入った時にざっと研修受けただけらしいよぉ。
それももう、大昔の話よ。
親が言うほど優秀なら、とっくにどこかへ就職してるわよ」
「誇大広告かいっ!」
「そうよ~。
母親って、娘がかわいいじゃない?
いいことは大げさに言うのよ。
本当にそんな話が来て、困ったと思うよ。
スカッとしちゃった」
友人もうちと同じで、子供が男の子ばかり。
以前ノブコに
「男の子しかいないんじゃあ、老後が不安ねえ!いいわよ~!娘は!」
と言われ、それを根に持っていた。
「娘を異常に過大評価する母親ってさ、たいていダメな息子もいるよね」
「いる、いる…息子がダメな分、娘にゲタはかせてんの」
「あれじゃ、娘自慢というより、ただのウソつきじゃん」
そういえば、そんな母娘が私の身近にもいたような…。
うちの誇大広告、夫の姉カンジワ・ルイーゼは
例の女性経営者の会で取り組んでいる婚活のお世話で大忙しだ。
生き生きと、お見合いパーティーに参加させる男性を勧誘して回っている。
義母が言うには「人気者」で「気配りのある」ルイーゼを慕って
独身男性…つまりもらいそびれている男たちからの
婚活の申し込みも順調だと言う。
そのパーティーで披露するという
ナントカ音頭の踊りの練習にも余念がない。
「踊りの練習で疲れたと言って、忙しい日に休みやがった。
婚活の申し込み~?
気の弱いのを二人脅して、無理矢理名前書かせたぞっ」
夫は機嫌が悪い。
ま、これにかまけているうちは、平和といえよう。
どこか無いかしら、と私にも連絡してきた。
勤めていたデパートが閉鎖になり、退職して以来
6年間、家でブラブラしている。
もう30をとうに過ぎた娘さんだ。
「それが最近、週に何回かスナックで
こっそりバイトしてたみたいなの」
「ほお~」
「まあ、親の私が言うのもナンだけど
きれいだからってスカウトされたらしいわ…」
「すごいじゃん」
「こないだ、飲酒運転の検問でつかまって、わかったの」
「あら~!」
「罰金が払えないもんで、白状したのよ。
びっくりしちゃった。
どこでも勤まる子だから、ちゃんとした所に就職させたいのよ」
きちんとした子だから、罰金は働いて返すと言うんだけど
就職してないんじゃあ、どうにもならないでしょ…ノブコは言う。
きちんとした子が飲酒運転なんかするかどうか疑問だが
そう言うのだから、そういうことにしておこう。
ノブコはずっと以前から、ことあるごとに娘の優秀性を強調してきた。
メイクや服装のコーディネイト、礼儀作法を先生について習った…
パソコンも英会話も人並み以上…
その娘さんをチラッとしか見たことはないが
かなりケバいおかただ。
人は見かけによらないんだなぁ…と思っていた。
折良く、夫が取引先から事務員を探してほしいと頼まれた。
工事終了までの期間限定のパートだが
優秀な人物なら正社員、または系列会社への推薦も考えるという。
条件はエクセルとワードとやらができるのと
外国人労働者がいるので、英会話が少しできれば、なおありがたい…
というものであった。
ピッタリじゃん!
喜び勇んでノブコに伝える。
「さあ…あの子がどこまで出来るか…」
意外にも浮かない返事。
「大手だし、断ったらもったいないよ」
「あの子の気持ちも聞いてみないと…」
それきり返事が来ないので、その話は別の人の所へ行ってしまった。
ノブコが私に腹を立てている…
友人からそう聞いたのは、しばらく後のことであった。
「フフフ…娘に恥をかかせたと言ってたよ」
「え~?なんで?」
「何でも出来るって言ってるけどさ
あの娘さん、デパートに入った時にざっと研修受けただけらしいよぉ。
それももう、大昔の話よ。
親が言うほど優秀なら、とっくにどこかへ就職してるわよ」
「誇大広告かいっ!」
「そうよ~。
母親って、娘がかわいいじゃない?
いいことは大げさに言うのよ。
本当にそんな話が来て、困ったと思うよ。
スカッとしちゃった」
友人もうちと同じで、子供が男の子ばかり。
以前ノブコに
「男の子しかいないんじゃあ、老後が不安ねえ!いいわよ~!娘は!」
と言われ、それを根に持っていた。
「娘を異常に過大評価する母親ってさ、たいていダメな息子もいるよね」
「いる、いる…息子がダメな分、娘にゲタはかせてんの」
「あれじゃ、娘自慢というより、ただのウソつきじゃん」
そういえば、そんな母娘が私の身近にもいたような…。
うちの誇大広告、夫の姉カンジワ・ルイーゼは
例の女性経営者の会で取り組んでいる婚活のお世話で大忙しだ。
生き生きと、お見合いパーティーに参加させる男性を勧誘して回っている。
義母が言うには「人気者」で「気配りのある」ルイーゼを慕って
独身男性…つまりもらいそびれている男たちからの
婚活の申し込みも順調だと言う。
そのパーティーで披露するという
ナントカ音頭の踊りの練習にも余念がない。
「踊りの練習で疲れたと言って、忙しい日に休みやがった。
婚活の申し込み~?
気の弱いのを二人脅して、無理矢理名前書かせたぞっ」
夫は機嫌が悪い。
ま、これにかまけているうちは、平和といえよう。