殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

誇大広告

2010年01月18日 23時11分32秒 | みりこんぐらし
知人のノブコは、娘の就職を探していた。

どこか無いかしら、と私にも連絡してきた。

勤めていたデパートが閉鎖になり、退職して以来

6年間、家でブラブラしている。

もう30をとうに過ぎた娘さんだ。


「それが最近、週に何回かスナックで

 こっそりバイトしてたみたいなの」

      「ほお~」

「まあ、親の私が言うのもナンだけど

 きれいだからってスカウトされたらしいわ…」 

      「すごいじゃん」

「こないだ、飲酒運転の検問でつかまって、わかったの」

      「あら~!」

「罰金が払えないもんで、白状したのよ。 

 びっくりしちゃった。

 どこでも勤まる子だから、ちゃんとした所に就職させたいのよ」


きちんとした子だから、罰金は働いて返すと言うんだけど

就職してないんじゃあ、どうにもならないでしょ…ノブコは言う。

きちんとした子が飲酒運転なんかするかどうか疑問だが

そう言うのだから、そういうことにしておこう。


ノブコはずっと以前から、ことあるごとに娘の優秀性を強調してきた。

メイクや服装のコーディネイト、礼儀作法を先生について習った…

パソコンも英会話も人並み以上…


その娘さんをチラッとしか見たことはないが

かなりケバいおかただ。

人は見かけによらないんだなぁ…と思っていた。


折良く、夫が取引先から事務員を探してほしいと頼まれた。

工事終了までの期間限定のパートだが

優秀な人物なら正社員、または系列会社への推薦も考えるという。

条件はエクセルとワードとやらができるのと

外国人労働者がいるので、英会話が少しできれば、なおありがたい…

というものであった。

ピッタリじゃん!


喜び勇んでノブコに伝える。

「さあ…あの子がどこまで出来るか…」

意外にも浮かない返事。

    「大手だし、断ったらもったいないよ」

「あの子の気持ちも聞いてみないと…」

それきり返事が来ないので、その話は別の人の所へ行ってしまった。


ノブコが私に腹を立てている…

友人からそう聞いたのは、しばらく後のことであった。

「フフフ…娘に恥をかかせたと言ってたよ」

         「え~?なんで?」

「何でも出来るって言ってるけどさ

 あの娘さん、デパートに入った時にざっと研修受けただけらしいよぉ。 

 それももう、大昔の話よ。 

 親が言うほど優秀なら、とっくにどこかへ就職してるわよ」

        「誇大広告かいっ!」

「そうよ~。 

 母親って、娘がかわいいじゃない?

 いいことは大げさに言うのよ。

 本当にそんな話が来て、困ったと思うよ。

 スカッとしちゃった」


友人もうちと同じで、子供が男の子ばかり。

以前ノブコに

「男の子しかいないんじゃあ、老後が不安ねえ!いいわよ~!娘は!」

と言われ、それを根に持っていた。

「娘を異常に過大評価する母親ってさ、たいていダメな息子もいるよね」

     「いる、いる…息子がダメな分、娘にゲタはかせてんの」

「あれじゃ、娘自慢というより、ただのウソつきじゃん」


そういえば、そんな母娘が私の身近にもいたような…。

うちの誇大広告、夫の姉カンジワ・ルイーゼは

例の女性経営者の会で取り組んでいる婚活のお世話で大忙しだ。

生き生きと、お見合いパーティーに参加させる男性を勧誘して回っている。


義母が言うには「人気者」で「気配りのある」ルイーゼを慕って

独身男性…つまりもらいそびれている男たちからの

婚活の申し込みも順調だと言う。


そのパーティーで披露するという

ナントカ音頭の踊りの練習にも余念がない。

「踊りの練習で疲れたと言って、忙しい日に休みやがった。

 婚活の申し込み~?

 気の弱いのを二人脅して、無理矢理名前書かせたぞっ」

夫は機嫌が悪い。

ま、これにかまけているうちは、平和といえよう。

コメント (33)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする