我らが同級生バンド…
その名もオシャレでラブリーな「じじばばんど」は
順調に活動を重ねている。
本当の名前はまだ決定していないので
とりあえず「じじばばんど」と呼んでいるのだ。
慣れるまでは、誰でも知っている演歌を
ジャズ風にアレンジしたものをやろうという方向性も決まり
ちらほら合わせたりしている。
昨夜はメンバーの一員であるナツエの店で新年会をした。
老人介護施設にいる彼女のお母さんも
昨日は帰っていて
我々が集まるのを楽しみに待ってくれていた。
ナツエによると、老人特有の症状が始まっているというが
座ってニコニコしているのを見ると元気そうだ。
「おばちゃん、お元気そうでなにより!」
「みりこんちゃんかい?まあまあ、よく来てくれたねぇ!」
このお母さんは、うちの祖父とも古い知り合いで
私も赤ん坊の時から知っている。
「お父さんは元気かい?近頃見ないけど」
「ええ!元気よ!」
「そうかい、そうかい。
大事にしておあげよ」
「は~い!おばちゃんも長生きしてよ!」
みりこんちゃん…ナツエは言う。
「お父さん、亡くなったじゃん…」
はっ!
うっかりしていた。
「ごめん!おばちゃん、うちのお父さんはもう死んだんだった」
「ええっ?いつ?」
お母さん、葬式に来てくれていたけど…そこが老人特有の症状なのであろう。
「もう5年になるよ」
「ああ、そうかい…」
お母さんは泣きだす。
涙もろくなってるだけだから、気にしないで…ナツエは耳打ちする。
お母さんは涙をぬぐいながら言った。
「みりこんちゃん、親が死んだのがわからなくなったんだねぇ…
かわいそうに…かわいそうに…」
「…」
「頑張るんだよ…ちょっと忘れやすくてもね
みんなそうなるんだからね…気にしないようにね」
「は…はいっ!」
ナツエ、笑いまくってるし。
ま…いいか。
これから練習なんだろ…楽しみに聞いてるからね…
そう言いながら、お母さんは奥の部屋へ行った。
美しい音楽を聴かせてさしあげたいのはやまやまであるが
ピーだのブーだのばっかりだ。
体に悪いんじゃないだろうか。
頑張って練習します。
その名もオシャレでラブリーな「じじばばんど」は
順調に活動を重ねている。
本当の名前はまだ決定していないので
とりあえず「じじばばんど」と呼んでいるのだ。
慣れるまでは、誰でも知っている演歌を
ジャズ風にアレンジしたものをやろうという方向性も決まり
ちらほら合わせたりしている。
昨夜はメンバーの一員であるナツエの店で新年会をした。
老人介護施設にいる彼女のお母さんも
昨日は帰っていて
我々が集まるのを楽しみに待ってくれていた。
ナツエによると、老人特有の症状が始まっているというが
座ってニコニコしているのを見ると元気そうだ。
「おばちゃん、お元気そうでなにより!」
「みりこんちゃんかい?まあまあ、よく来てくれたねぇ!」
このお母さんは、うちの祖父とも古い知り合いで
私も赤ん坊の時から知っている。
「お父さんは元気かい?近頃見ないけど」
「ええ!元気よ!」
「そうかい、そうかい。
大事にしておあげよ」
「は~い!おばちゃんも長生きしてよ!」
みりこんちゃん…ナツエは言う。
「お父さん、亡くなったじゃん…」
はっ!
うっかりしていた。
「ごめん!おばちゃん、うちのお父さんはもう死んだんだった」
「ええっ?いつ?」
お母さん、葬式に来てくれていたけど…そこが老人特有の症状なのであろう。
「もう5年になるよ」
「ああ、そうかい…」
お母さんは泣きだす。
涙もろくなってるだけだから、気にしないで…ナツエは耳打ちする。
お母さんは涙をぬぐいながら言った。
「みりこんちゃん、親が死んだのがわからなくなったんだねぇ…
かわいそうに…かわいそうに…」
「…」
「頑張るんだよ…ちょっと忘れやすくてもね
みんなそうなるんだからね…気にしないようにね」
「は…はいっ!」
ナツエ、笑いまくってるし。
ま…いいか。
これから練習なんだろ…楽しみに聞いてるからね…
そう言いながら、お母さんは奥の部屋へ行った。
美しい音楽を聴かせてさしあげたいのはやまやまであるが
ピーだのブーだのばっかりだ。
体に悪いんじゃないだろうか。
頑張って練習します。