殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

じじばばんど

2010年01月24日 15時01分17秒 | みりこんぐらし
我らが同級生バンド…

その名もオシャレでラブリーな「じじばばんど」は

順調に活動を重ねている。

本当の名前はまだ決定していないので

とりあえず「じじばばんど」と呼んでいるのだ。


慣れるまでは、誰でも知っている演歌を

ジャズ風にアレンジしたものをやろうという方向性も決まり

ちらほら合わせたりしている。


昨夜はメンバーの一員であるナツエの店で新年会をした。

老人介護施設にいる彼女のお母さんも

昨日は帰っていて

我々が集まるのを楽しみに待ってくれていた。

ナツエによると、老人特有の症状が始まっているというが

座ってニコニコしているのを見ると元気そうだ。


    「おばちゃん、お元気そうでなにより!」

「みりこんちゃんかい?まあまあ、よく来てくれたねぇ!」

このお母さんは、うちの祖父とも古い知り合いで

私も赤ん坊の時から知っている。


「お父さんは元気かい?近頃見ないけど」

    「ええ!元気よ!」

「そうかい、そうかい。

 大事にしておあげよ」

    「は~い!おばちゃんも長生きしてよ!」


みりこんちゃん…ナツエは言う。

「お父さん、亡くなったじゃん…」

はっ!

うっかりしていた。

    「ごめん!おばちゃん、うちのお父さんはもう死んだんだった」

「ええっ?いつ?」

お母さん、葬式に来てくれていたけど…そこが老人特有の症状なのであろう。  


    「もう5年になるよ」

「ああ、そうかい…」

お母さんは泣きだす。

涙もろくなってるだけだから、気にしないで…ナツエは耳打ちする。


お母さんは涙をぬぐいながら言った。

「みりこんちゃん、親が死んだのがわからなくなったんだねぇ…

 かわいそうに…かわいそうに…」

      「…」

「頑張るんだよ…ちょっと忘れやすくてもね

 みんなそうなるんだからね…気にしないようにね」

    「は…はいっ!」

ナツエ、笑いまくってるし。

ま…いいか。


これから練習なんだろ…楽しみに聞いてるからね…

そう言いながら、お母さんは奥の部屋へ行った。

美しい音楽を聴かせてさしあげたいのはやまやまであるが

ピーだのブーだのばっかりだ。

体に悪いんじゃないだろうか。

頑張って練習します。
コメント (23)
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