殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

当惑・1

2014年05月03日 11時34分09秒 | みりこんぐらし
ゴールデンウィーク、いかがお過ごしですか?

私はシルバー介護ウィークです。

暇にあかせて、最近起きた問題を連続ものにしてみました。

空いたお時間にでもごらんいたたければ幸いでございます。




我々の会社の面倒を見てくれている本社の経理部長

ダイちゃんとの付き合いもはや2年。

我々夫婦の頭脳として、息子達の兄貴分として

心地よい関係が続いていた。


この心地よさは、月に数回しか会わないことと

ダイちゃんの人類愛によるところが大きい。

彼の細やかな配慮に感謝しつつ

馴れ合いにならないようセーブするのが

我々なりの誠意だと思っている。


先日、いつものように我々一家と談笑していたダイちゃんは言った。

「僕は昔、会社の罪を一人でかぶったことがあってね。

親の失敗をかぶったみんなを見ていると

その時が思い出されて、とても他人事とは思えないんだ」


ダイちゃんは罪の内容を言わなかったが

我々もこの業界は長い。

会社の罪とは、談合や賄賂に関するものだと思われる。

昔は必要悪としてまかり通っていた、これらの裏工作が

ある時を境に法律で禁止された。

綺麗事だけでは立ち行かない建設業界に

この新しい常識が浸透するまでの端境期(はざかいき)において

ダイちゃんのような目に遭った人が多勢いたものだ。

彼が異例の出世を遂げたのは

この事件の論功行賞だと腑に落ちると同時に

それであんなに親身になってくれたんだ…

と感動する我々であった。


「みんなとは、仕事だけじゃなくて一生付き合っていきたい。

幸せになってもらいたいんだ」

ダイちゃんはこうも言い、ますます感動した我々は

口々に賛同の意を伝えたものだ。


しかしそれは墓穴であった。

この安易な賛同は、この後ダイちゃんから発せられる

衝撃発言のプロローグとなる。


「だから幸せになるために、僕のやってる信仰を一緒にしない?」

ひんえ~!

さっきまでの感動は吹っ飛び、我々家族は息を飲んだ。

ドン引きというのはこの状態を言うのかも、と考えながら

さほど大きくもない目を見開き、ダイちゃんを凝視する私であった。


《続く》


コメント (4)
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