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手抜き料理・10

2018年05月30日 07時39分06秒 | 手抜き料理
本日ご紹介させていただく料理、簡単ではあるものの

手抜きという見解においては疑問。

ただし評判はいいので、隠し球として持っておくと便利かもしれない。



『三色和え』

①サヤエンドウまたはサヤインゲンは、ゆでて斜めの細切り

ゴボウとニンジンはささがきにしておく。

②少量の砂糖と少量の麺つゆで、ごく薄く味付けした水に

まずゴボウ、煮立ってきたらニンジンを入れ

煮詰まったらサヤエンドウを入れて一煮立ちさせ、火を止める。

③鍋のまま放置して、冷めてきたらマヨネーズで味付け。

以上。


ゴボウとニンジンのささがきに時間がかかるため

手抜き料理とは呼びにくいが

ゴボウのグレー、ニンジンの赤、豆の緑が美しい

食物繊維たっぷりの野菜料理。


ニンジンはゴボウと一緒に入れると柔らかくなり過ぎるので

あえて遅れて鍋に入れ、型崩れを防ぐ。

仕上がりに、ほぐしたカニカマや

酒蒸しして裂いた鶏ササミなどをプラスしてもおいしい。



30代前半の頃、仕事の絡みで

年上の知人とお花見をすることになった。

料理は持ち寄りということなので、私は一応、無い頭で考えた。

参加者にバーのオーナーママ、Aさんがいたからだ。

彼女は当時、60代後半。

独身で、店と住まいと貸事務所のある自社ビルを持ち

非常に気位が高く、また料理上手であることも知られていた。


姉御肌の彼女のことだから

皆の持ち寄った料理がかすんでしまうほど

あれこれ作って来るに違いない。

こっちは最年少のペーぺー。

唐揚げや卵焼きなど、ポピュラーな料理を持って行って

ブッキングしたらご機嫌を損ねそう。

とはいえ、いい加減な物を持参して笑い者になるのもごめんだ。

年配の女たちの口は、千里を走る。

みりこん、ピーンチ!


メインを避けつつ、そこそこ一生懸命が伝わる脇役料理‥

考えたあげくにたどり着いたのが、三色和え。

控えめ、かつ当時としては珍しかった

ゴボウにマヨネーズの組み合わせはとても喜ばれた。

Aさんは店の付き出しにしたいと言い、作り方をたずねた。

恐怖のお花見が無事終了して、ホッとした。


それから時代は10年余り下って、病院の厨房時代。

厨房のメンバーで料理を持ち寄り、パーティーをしたことがあった。

ここにも三色和えを持参したら

一同はもとより、栄養士がひどく気に入って

さっそく病院食のメニューに加えられた。

味、栄養、彩りの面で得点が高く、老若男女の大半に喜ばれる一品だと思う。



『レンコンだんご』

①レンコン、ニンジン、缶詰のギンナン数粒をフードプロセッサーでガー。

②鶏ミンチと刻みネギと①のガーに

生卵、酒、塩、醤油、ショウガ汁を適当に入れて混ぜ合わせる。

③直径5センチほどの小判型に丸め、そのまま油で素揚げ。

以上。


これは病院の厨房で作っていたものだ。

変わったミニハンバーグとして辛子醤油を付けて食べるもよし

澄まし汁に片栗粉でゆるくトロミをつけ

揚げただんごを沈めて和食の達人を気取るもよし

どうやっても香ばしくておいしい一品。

ガーして、カサが減った野菜と鶏ミンチの割合は、3対7ぐらい。

しかし、どんな割合でもそれなりにおいしく仕上がる。


私は義母ヨシコの友達、バランスのおシマがレンコンを持って来た時に作る。

おシマはこの数年、山奥のレンコン農家と懇意になり

頼みもしないのにレンコンを買って来てはヨシコに売りつけるのだ。

けれどもこのレンコン、硬くて不味い。

煮ても焼いても食えないとは、このことだ。

そこでガーに放り込まれる運命となる。


ヨシコは鶏を食べないので、レンコンだんごを食すことは無い。

レンコンを超薄切りのキンピラにして与え、友情に浸らせている。


材料をフードプロセッサーにかける時

レンコンとニンジンをギンナンの大きさに合わせてカットしておくと

きれいなみじん切りが早くできる。

みじん切りの程度は粗めでも、ペースト状でもそれぞれにおいしいので

気にせずガー。

ギンナンは、かすかな苦味と香りが

単なるレンコンだんごをグレードアップさせるので

必ず使っていただきたい。


レンコンのデンプンがつなぎの役目をするため

材料に片栗粉を仕込む必要ないが、心配な人は少し入れてもかまわない。

多過ぎるとだんごが固くなる。


フードプロセッサーが無い場合

レンコンとギンナンはおろし金ですりおろし

ニンジンは細かいみじん切りで大丈夫。

これでやったことも何度かあるが、仕上がりは変わらず

ニンジンのツブツブ感も楽しい。


材料の下ごしらえに少々時間がかかるため

これも私にとっては手抜き料理とは呼びにくい。

しかし作り手の株は必ず上がる。



これを選挙事務所の賄いで出したところ、反響の大きさに驚いた。

選挙が終わって解散する時まで

「もう一回、あれが食べたい」と、多くの人が言い続けたものだ。

そんなに好かれる料理とは思わなかった。


賄いを手伝う人の実力には、落差がある。

ツーカーで連携できる戦力はわずかで

皿の数すら数えられなくなったお年寄りや

エプロンだけ可愛い役立たずなら大勢いる。

その人たちに楽で簡単な仕事を振り

達成感を味わってもらうのも大切な任務。

仕事の振り分けがうまくいかなくて、和が乱れることはよくあるのだ。


ひたすらだんごを丸めるレンコンだんごは

その点を考慮した献立に過ぎない。

大半が「来て座って、食べて帰るだけ」の有象無象たちを

喜ばせる必要はなかったと、苦々しく思ったものである。
コメント (32)
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