殿は今夜もご乱心

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今年も祭

2019年06月05日 09時59分03秒 | みりこんぐらし

先週末は、お祭を手伝った。

 

同級生の友人、ユリちゃんの実家のお寺で開催される祭だ。

 

お手伝いは昨年に引き続き、2回目。

 

いつもの同級生けいちゃん、マミちゃん、モンちゃん、私の4人で

 

早朝から出かけた。

 

 

担当は、今年も台所。

 

檀家のおばあちゃん2人と一緒に

 

スタッフの昼ご飯と晩ご飯を作るのだ。

 

 

我々はこの日に向け、昨年の反省点や改善点を話し合ってきた。

 

中でも重要案件だったのは、ラスボス美和子ちゃんの対策である。

 

美和子ちゃんは、総代の姉。

 

我々より2つ年上で、中学のブラスバンド部の先輩だ。

 

 

お寺の祭は檀家、地元有志、商工会、観光協会など

 

さまざまな団体が関わる。

 

その中で檀家の総代は最上階に位置する別格の存在で

 

祭は総代の開会宣言に始まり、閉会宣言で終わる。

 

美和子ちゃんはその姉であるから

 

本人的には祭ピラミッドの頂点にいるつもり。

 

誰かれ構わず、きつい、気まま、気位が高いの3Kを振りかざすため

 

皆から恐れられていた。

 

 

昨年の失敗は、この美和子ちゃんに弁当の分配を担当させたことにある。

 

祭では、食べきれないほどの料理に加え

 

夕食の一品として仕出し弁当を配るのが慣例。

 

私は途中から福引の受付に流れたため、全容を知らなかったが

 

美和子ちゃんは長時間にわたって

 

弁当の保管場所となった台所をひっかき回し

 

一同は疲労困憊したという。

 

 

特に、唯一ブラスバンド部員でなかったけいちゃんと

 

3年生から入部したモンちゃんは

 

美和子ちゃんと面識が無いために風当たりが強く

 

つらい数時間を過ごしたようだ。

 

「あの人がいるなら、もう行きたくない」

 

とまで言い出した。

 

 

ユリちゃんも、皆の気持ちはよくわかっている。

 

彼女に対する美和子ちゃんの態度は、ひどいものだ。

 

が、総代はお寺の命綱。

 

その家族の悪口なんて、口が裂けても言えない立場だった。

 

 

そこで私は先月、ユリちゃんに提案した。

 

「弁当を廃止したら?」

 

美和子ちゃんをどうにかするより

 

いっそ出番を無くした方が早いではないか。

 

 

しかし、そのことは言わない。

 

表向きは、あくまで私の気まぐれ。

 

「料理はたくさんあるんだから、弁当まで必要無いと思う。

 

足りなきゃナンボでも作る」

 

 

けいちゃんが真っ先に賛成し

 

弁当の代わりに自分が何か作って持っていくと言ったので

 

私はトマトソースのハンバーグとスパゲティ・ナポリタンを所望した。

 

昔、大阪で喫茶店のママをしていた彼女の得意料理だ。

 

 

祭で作る料理は鶏のから揚げ、キュウリなます、ヒジキ煮

 

マカロニサラダ、みそ汁など。

 

たくさん作るのでおいしいが、なにしろ色が地味。

 

檀家のおばあちゃんたちが、それぞれ自分の作れる物を作って何十年

 

これが定番になりました…というメニューだ。

 

 

それはそれでけっこうなことだけど、手伝うスタッフは若者が多い。

 

赤い色を足せば食卓が締まって華やぐし

 

洋食屋っぽい雰囲気に若者は喜ぶはず。

 

 

が、そのことも言わない。

 

メニューが地味だの、今どき鶏のから揚げなんて誰も喜ばないだの

 

しろうとの色彩構成では食卓が暗くぼやけて

 

もてなされた印象が薄いだの、本当のことは言えないじゃないか。

 

 

ユリちゃんはこの提案を非常に喜んだ。

 

弁当を用意する側なので、言い出しにくかったらしい。

 

弁当は廃止となった。

 

 

そして今年、この方針は当たった。

 

鮮やかな赤いソースのかかったハンバーグとスパゲティに

 

歓声を上げる若者たち。

 

人に作らせておきながら、自分の演出に満足する

 

卑怯きわまりない私よ。

 

 

そして弁当を廃止したので、祭が終わるまでラスボスの登場は無く

 

嘘のように順調だった。

 

打ち上げパーティーは総代が主催するため、ラスボスをはずせなかったが

 

昨年の失敗を教訓に、我々は満を持して臨んだ。

 

 

打ち上げの行われる裏庭は、日没から蚊取り線香を焚いておくこと…

 

打ち上げメニューのモツ鍋は、早くから湯を沸騰させておくこと…

 

飲食に必要なオタマや食器類も、早めに用意しておくこと…

 

初めてだった昨年はこれらが間に合わず

 

ラスボスのイライラをさく裂させてしまった。

 

 

今年はモツ鍋以外の料理をすくう

 

スプーンが出てないと指摘されたくらいで

 

たいした問題は起きなかった。

 

来年はスプーンを山ほど用意することを誓う。

 

 

こうして祭は終った。

 

順調、順調と思っていたが、よく考えたら

 

蒸し暑かった去年と違って今年は涼しかった。

 

気温が適切だと動きやすいし、人の心も和む。

 

それでスムーズだったのかも。

 

 

昨夜、我々5人会は祭の慰労会と称して集まり

 

いつもの暴飲暴食にいそしんだ。

 

この女子会にあたって、ユリちゃんのご主人モクネン君は


「会費の足しに」と、ユリちゃんにポケットマネーをことづけていた。


我々の働きが嬉しかったのだそう。

 

いいとこ、あるじゃん。

 

 

しかしこれは働きというより

 

渾身でラスボスをガードしたことへの報酬だったような気がする。

 

今凝っている梅酒を飲みすぎたのか、今日は胃が痛む。

コメント (4)
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