5日の月曜日に続いて11日の日曜日は
同級生ユリちゃんの実家のお寺へ料理を作りに行った。
この日はユリ寺にとって大切な行事があるので
やはり同級生のけいちゃん、マミちゃんも一緒だ。
白内障の手術をして間がないモンちゃんは欠席。
この子は何か一品でも作って来るような気概が無く
かといって、こうした集まりや遊びに車を出すことも一度として無く
手伝いの方は言われたことをタラタラするだけで、あとはせいぜい皿を割るぐらい。
でなければラップを取り落とし、端がわからなくなってずっと探している。
ただし余った料理を自分と旦那の晩ごはんとして持ち帰るためのパック詰めは
誰よりも素早く手際がいい。
つまり戦力にならないので、いなくても困らない。
誰にでも向き不向きがある。
旅館の娘モンちゃんは宴会料理に詳しいが
詳しいだけで実戦には慣れてない。
ずっと外で働いて、家事は亡き姑さんがやり
旦那と娘が一人ずつの環境が長かったので
急に料理をたくさん作れと言っても無理だ。
彼女には、我々と同等の労働を望んでいない。
労働は、慣れた我々がする。
静かでひょうひょうとした、モンちゃんの人柄があればいい。
さて、この日の人数は我々3人を入れて11人と
5日の準備より少なかった。
いつも来る人たちが、体調不良や用事で来られなかったという話だが
回を重ねるごとに人数が減って、ユリちゃんは残念そうだ。
作る我々が密かに安堵しているのは、秘密だ。
献立をご紹介させていただこう。
写真を撮っておきたかったが、食事が始まる時間に
駆け込みで参加者が増えたため、撮影する暇が無かった。
申し訳ない。
●鯛めし
けいちゃんが現地で調理
●豚汁
けいちゃんが材料を切って持参し、現地で調理
●ミートボール
けいちゃん持参
●かぼちゃコロッケ
マミちゃんが衣を付けて持参し、現地で揚げる
●冬瓜と鶏ミンチのあんかけ煮
マミちゃん持参
●お祭きんちゃく
みりこん持参
●大根と柿の酢の物
みりこん持参
●デザート・柿
みりこん持参
見ておわかりのように、お寺の台所で調理したのは鯛めしと豚汁で
あとはマミちゃんのかぼちゃコロッケを揚げただけ。
我々が、だんだんずる賢くなってきた証拠である。
使い勝手の悪い台所で悪戦苦闘の末に疲労困憊するより
自宅で作った料理を持ち寄る方が楽と知ったのだ。
そのまま、あるいは温めて盛り付けたり、切って並べるだけなので
時間に余裕が生まれ、おしゃべりタイムが増える。
あ〜、楽ちん。
鯛めしに関しては例のごとく、魚料理が鬼門のけいちゃんとひと悶着あった。
偏食で白いごはんが嫌いなけいちゃんは、味のついたごはんを作りたがる。
が、この日は行事の性質上、訪れた檀家に
帰りの手土産として精進の炊き込みごはんと紅白のお餅を配る。
その炊き込みごはんは早朝
ユリちゃんと兄嫁さんが大釜で製作する手はずになっていた。
帰りに炊き込みごはんを配るなら、 昼の会食は白いごはんが望ましいのではないか…
献立を決める際に私はそう言ったが、けいちゃんは炊き込みごはんを強く主張。
人の言うことを聞いて折れる子ではないため、こっちが折れるしかない。
そこで折衷案として、精進の炊き込みごはんとは真逆の生ぐさ物…
うちの冷凍庫にある鯛をお勧めしたら、けいちゃんはすんなり同意した。
主食が決まると、次は汁だわな。
鯛のアラでお澄ましでも…と考えていたが、けいちゃん、即座に豚汁を主張。
組み合わせ的にどうなのよ…と思ったが、私は早くも戦意喪失。
けいちゃんと一緒に料理をするのは、今回で最後だからだ。
だってこの子は11月の末、完全に東京へ行ってしまう。
同居するはずだった彼女の娘は結局来ないが
今住んでいるアパートは11月末に退去することになっているので
東京で借りたアパートへ移るしかないのだ。
だったら迷走する献立に身を任せ
この日を楽しい思い出にする方がいいじゃないか。
お祭きんちゃくと酢の物に決めたのは
けいちゃんが豚汁を作り、マミちゃんがおっとりと
かぼちゃコロッケを揚げるとなると、私は火が使えないからだ。
ユリ寺のガスコンロは、普通の家庭用のが2台くっついて並んでいるが
豚汁の大鍋と油の鍋を置いたら、他の料理を煮炊きするのは困難。
マミちゃんの冬瓜も温めなければならないし、コンロは諦めた方がいい。
そこで再加熱の必要が無く、晴れの行事にふさわしい色彩のお祭きんちゃくと
季節柄、柿を入れた大根生酢を作って持参したのだった。
ちなみに酢の物とデザートに使った柿は、5日に料理をした時にユリちゃんがくれた
お供え物のお下がり。
6日が経過して、ちょうど食べ頃になったので酢の物に使い
残りはそっくりそのまま持って行った。
けいちゃんが作ってきたミートボールは
鶏ミンチに酒、ショウガ汁、醤油で下味をつけて丸く成形。
小麦粉をまぶして茹でてから、砂糖を足したケチャップをからめたもの。
小さくて、ほんの少量だったため、食べてないので味はわからない。
マミちゃんのかぼちゃコロッケは、玉ねぎやミンチが入らない
本当に潰したかぼちゃだけのコロッケ。
マミちゃんは、それをかぼちゃコロッケだと信じている様子だった。
「え…かぼちゃだけ?」
食べた人からは、そんな声も聞こえたが
これはこれで珍しい一品かもしれない。
さて会食と後片付けが終わったら、例のごとく晩ごはんの用意。
ユリちゃん夫婦と兄嫁さん一家、それに兄貴分の酒の肴よ。
この日、兄貴分は来てなかったけど
ユリちゃんのご主人モクネン君が届けるという。
どこまで兄貴分に忠誠を尽くすのだ。
その忠誠心の犠牲になるのは我々…というか、私である。
しかしもう、以前の私ではない。
来てすぐ、冷蔵庫に秘密のタッパーを隠しておいた。
前の晩、義母ヨシコの友達、骨肉のおトミにもらったレンコンで作った
レンコン団子じゃ。
内緒じゃが、うちの晩ごはんじゃ。
多めにこしらえて、余った分を冷凍しといたんじゃ。
今後はこれで行くもんね。
うっしっし。
この作戦によってかなり時間が余ったので
けいちゃんが鯛めしを作った際
例のごとく「臭い」と言って使わなかった鯛の頭を
甘辛いアラ炊きにして、モクネン君と兄貴分の弁当パックに足した。
身はあんまり無いが、オジさんはこういうのに目が無いはずである。
こうして我々の“奉仕”は終わった。
今年はもう会食が無いと聞き、けいちゃん、マミちゃん、私の3人は
密かに顔を見合わせてホッとするのだった。
次から、けいちゃんはいない…そう思ったら悲しくなった。
そうそう、何の料理が喜ばれたかをお話ししておこう。
冬瓜煮と、お祭きんちゃく。
しかし一番喜ばれた料理?は、デザートの柿である。
同級生ユリちゃんの実家のお寺へ料理を作りに行った。
この日はユリ寺にとって大切な行事があるので
やはり同級生のけいちゃん、マミちゃんも一緒だ。
白内障の手術をして間がないモンちゃんは欠席。
この子は何か一品でも作って来るような気概が無く
かといって、こうした集まりや遊びに車を出すことも一度として無く
手伝いの方は言われたことをタラタラするだけで、あとはせいぜい皿を割るぐらい。
でなければラップを取り落とし、端がわからなくなってずっと探している。
ただし余った料理を自分と旦那の晩ごはんとして持ち帰るためのパック詰めは
誰よりも素早く手際がいい。
つまり戦力にならないので、いなくても困らない。
誰にでも向き不向きがある。
旅館の娘モンちゃんは宴会料理に詳しいが
詳しいだけで実戦には慣れてない。
ずっと外で働いて、家事は亡き姑さんがやり
旦那と娘が一人ずつの環境が長かったので
急に料理をたくさん作れと言っても無理だ。
彼女には、我々と同等の労働を望んでいない。
労働は、慣れた我々がする。
静かでひょうひょうとした、モンちゃんの人柄があればいい。
さて、この日の人数は我々3人を入れて11人と
5日の準備より少なかった。
いつも来る人たちが、体調不良や用事で来られなかったという話だが
回を重ねるごとに人数が減って、ユリちゃんは残念そうだ。
作る我々が密かに安堵しているのは、秘密だ。
献立をご紹介させていただこう。
写真を撮っておきたかったが、食事が始まる時間に
駆け込みで参加者が増えたため、撮影する暇が無かった。
申し訳ない。
●鯛めし
けいちゃんが現地で調理
●豚汁
けいちゃんが材料を切って持参し、現地で調理
●ミートボール
けいちゃん持参
●かぼちゃコロッケ
マミちゃんが衣を付けて持参し、現地で揚げる
●冬瓜と鶏ミンチのあんかけ煮
マミちゃん持参
●お祭きんちゃく
みりこん持参
●大根と柿の酢の物
みりこん持参
●デザート・柿
みりこん持参
見ておわかりのように、お寺の台所で調理したのは鯛めしと豚汁で
あとはマミちゃんのかぼちゃコロッケを揚げただけ。
我々が、だんだんずる賢くなってきた証拠である。
使い勝手の悪い台所で悪戦苦闘の末に疲労困憊するより
自宅で作った料理を持ち寄る方が楽と知ったのだ。
そのまま、あるいは温めて盛り付けたり、切って並べるだけなので
時間に余裕が生まれ、おしゃべりタイムが増える。
あ〜、楽ちん。
鯛めしに関しては例のごとく、魚料理が鬼門のけいちゃんとひと悶着あった。
偏食で白いごはんが嫌いなけいちゃんは、味のついたごはんを作りたがる。
が、この日は行事の性質上、訪れた檀家に
帰りの手土産として精進の炊き込みごはんと紅白のお餅を配る。
その炊き込みごはんは早朝
ユリちゃんと兄嫁さんが大釜で製作する手はずになっていた。
帰りに炊き込みごはんを配るなら、 昼の会食は白いごはんが望ましいのではないか…
献立を決める際に私はそう言ったが、けいちゃんは炊き込みごはんを強く主張。
人の言うことを聞いて折れる子ではないため、こっちが折れるしかない。
そこで折衷案として、精進の炊き込みごはんとは真逆の生ぐさ物…
うちの冷凍庫にある鯛をお勧めしたら、けいちゃんはすんなり同意した。
主食が決まると、次は汁だわな。
鯛のアラでお澄ましでも…と考えていたが、けいちゃん、即座に豚汁を主張。
組み合わせ的にどうなのよ…と思ったが、私は早くも戦意喪失。
けいちゃんと一緒に料理をするのは、今回で最後だからだ。
だってこの子は11月の末、完全に東京へ行ってしまう。
同居するはずだった彼女の娘は結局来ないが
今住んでいるアパートは11月末に退去することになっているので
東京で借りたアパートへ移るしかないのだ。
だったら迷走する献立に身を任せ
この日を楽しい思い出にする方がいいじゃないか。
お祭きんちゃくと酢の物に決めたのは
けいちゃんが豚汁を作り、マミちゃんがおっとりと
かぼちゃコロッケを揚げるとなると、私は火が使えないからだ。
ユリ寺のガスコンロは、普通の家庭用のが2台くっついて並んでいるが
豚汁の大鍋と油の鍋を置いたら、他の料理を煮炊きするのは困難。
マミちゃんの冬瓜も温めなければならないし、コンロは諦めた方がいい。
そこで再加熱の必要が無く、晴れの行事にふさわしい色彩のお祭きんちゃくと
季節柄、柿を入れた大根生酢を作って持参したのだった。
ちなみに酢の物とデザートに使った柿は、5日に料理をした時にユリちゃんがくれた
お供え物のお下がり。
6日が経過して、ちょうど食べ頃になったので酢の物に使い
残りはそっくりそのまま持って行った。
けいちゃんが作ってきたミートボールは
鶏ミンチに酒、ショウガ汁、醤油で下味をつけて丸く成形。
小麦粉をまぶして茹でてから、砂糖を足したケチャップをからめたもの。
小さくて、ほんの少量だったため、食べてないので味はわからない。
マミちゃんのかぼちゃコロッケは、玉ねぎやミンチが入らない
本当に潰したかぼちゃだけのコロッケ。
マミちゃんは、それをかぼちゃコロッケだと信じている様子だった。
「え…かぼちゃだけ?」
食べた人からは、そんな声も聞こえたが
これはこれで珍しい一品かもしれない。
さて会食と後片付けが終わったら、例のごとく晩ごはんの用意。
ユリちゃん夫婦と兄嫁さん一家、それに兄貴分の酒の肴よ。
この日、兄貴分は来てなかったけど
ユリちゃんのご主人モクネン君が届けるという。
どこまで兄貴分に忠誠を尽くすのだ。
その忠誠心の犠牲になるのは我々…というか、私である。
しかしもう、以前の私ではない。
来てすぐ、冷蔵庫に秘密のタッパーを隠しておいた。
前の晩、義母ヨシコの友達、骨肉のおトミにもらったレンコンで作った
レンコン団子じゃ。
内緒じゃが、うちの晩ごはんじゃ。
多めにこしらえて、余った分を冷凍しといたんじゃ。
今後はこれで行くもんね。
うっしっし。
この作戦によってかなり時間が余ったので
けいちゃんが鯛めしを作った際
例のごとく「臭い」と言って使わなかった鯛の頭を
甘辛いアラ炊きにして、モクネン君と兄貴分の弁当パックに足した。
身はあんまり無いが、オジさんはこういうのに目が無いはずである。
こうして我々の“奉仕”は終わった。
今年はもう会食が無いと聞き、けいちゃん、マミちゃん、私の3人は
密かに顔を見合わせてホッとするのだった。
次から、けいちゃんはいない…そう思ったら悲しくなった。
そうそう、何の料理が喜ばれたかをお話ししておこう。
冬瓜煮と、お祭きんちゃく。
しかし一番喜ばれた料理?は、デザートの柿である。