殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

手抜き料理・定番の目論見・2

2022年06月14日 08時39分36秒 | 手抜き料理
祭りの人数も段取りもわからないままだったが

フタを開けて見ると、手伝いの人々は去年の倍の30人余り

複数人とだけ聞いていた大学生は、男女合わせて12〜3人はいただろうか。

つまり考えていたよりずっと多い人数だったものの

料理の方はそこそこうまくいったと思う。


オードブルの便利な点は、減った料理を次々に補充できるところ。

家でも食べられて値の張らないサラダや漬物は、なかなか減らないと決まっている。

減るのは動物性たんぱく質と、手のかかる揚げ物。

それらを一度に盛り付けてしまわず、舞台裏にキープしておくと

一つの団体が食べて減った部分に再度盛り付け直し

次の団体に出すという卑怯な手が使える。

カレーをメインにしたため、添え物扱いになったオードブルの減りは緩やかだったので

合間で米を炊き足す時間的な余裕もあり、バタバタしなくて済んだ。


早くから来ていた大学生に昼食を出すのが一段落し

我々裏方が昼食を摂っていると、りっくんからLINEが。

お茶の師範をやっている、同級生だ。

私は男とLINEはしないが、りっくんは中性なので許可した。


「今日はお祭りだよね、顔出してもいいかな?」

「どうぞ。カレー食べにおいで」

「了解!着物で行くよ」

「手伝ってもらうから、普段着で来て」

「わかった」


このやり取りを口頭で皆に披露していると、一緒に居たモクネン君が言った。

「この方、お茶の先生ですよね。

勤行の前にご本尊に献茶をしていただくというのはどうですか?」

「え〜?!すごく喜ぶと思います。是非お願いします」

で、りっくんに伝えたら、光栄だと大感激。

とりあえず普段着で来て、打ち合わせをすることになった。


「着物で行くとおっしゃるからには、お茶のことを広めたい気持ちがあると思います。

ささやかなチャンスになればと」

モクネン君は後で言った。

ユリちゃんには冷酷な彼だが、こういう配慮に優れた面があり

そこが檀家や同業者の尊敬を集めているのだ。


りっくんはすぐに来て、初対面のモクネン君にご挨拶。

献茶は初めてだそうで、モクネン君から親切に手順を教えてもらい

その後、カレーを食べた。


食べ終わるのを待って、私は彼に炭火をおこさせる。

献茶も初めてだが、炭火をおこすのも初めてだそう。

が、着火剤のおかげで炭には難なく火がつき

私は無事に鶏の山賊焼を制作することができた。

炭火おこすの、かったるいのよねん。


やがてりっくんは一旦帰宅して着物に着替えると、お茶道具を持参して再訪。

「そうですね…お茶碗は夏らしい雰囲気のものが良いでしょう」

モクネン君のアドバイスを受けた彼は、薄手の青磁を持って来た。


献茶は、午後4時から始まる勤行の前に行なわれ

彼は緊張した面持ちで儀式を終えた。

そしてそのまま大学生に混じり、夜9時の打ち上げまで居たが

持ち前の人懐こさですっかり人気者になっていた。


それはいい、それはいいのよ。

が、この男、台所に来て言うではないか。

「昼のカレーは米が硬かったな。

ご飯の量も多過ぎた。

もっと柔らかく炊いたご飯をほんの少し、というのが上品でええな」


なに?こいつ?腹立つわ〜。

先月のお茶席に行った後、こいつから礼状が届いたけど

12円だか13円だかの料金不足だった。

繊細クンなので気にするだろうから黙っていたというのに、こいつときたら。

若いモンにチヤホヤされて興に乗り、食通を気取って余計なことを口走る…

腐ったオジン丸出しじゃんか。


昔、OLだった頃にも似たようなことがあった。

相手は姫路出身の男の子。

ある日、仕事上の必要にかられ、私は社内でおむすびを作る状況になった。

そしたら、そいつが後で言ったではないの。

「おむすびの塩が効いてなかった。

塩の中へおむすびをぶち込むぐらいのつもりで握らんとな」


所長に頼まれたとはいえ、炊飯器の無い事務所で米を炊けるのは私しかいなかった。

善意で取り組んだにもかかわらず、食通を気取ってケチをつけるので

私は頭にきたものだ。

「山ほど食べといて、いまさら何をほざく。

嫌なら一個でやめときゃよかったんだ」


するとヤツは平然と言ったね。

「まずい物はまずいと、本人にはっきり言うてあげるのが本当の親切やって

お母ちゃんから教えられてんねん、ボク」

「やかましい、このマザコンが」

「自分の作った物がマズいって知らんまま、一生を送る方が不幸やんか」

「いずれ結婚したら、自分の女房に言って捨てられろ」


今思い出しても、腹立つわ〜!

まずい物はまずいと教えてあげるのが本当の親切…

理屈ではそうかもしれないけど、人の好みはそれぞれ違う。

行きずりで口にする食べ物まで自分色に染めたがる習慣こそ、不幸ではないのか。

おむすびを作ったのが、すっごく偉い人でも塩が効いてないと言えるのか。

すっごく偉い人がおむすびをくれるかどうかは知らないが、言えはすまい。

相手を見て言ってるのが、さらに腹立つわ〜!



さて、カレーとご飯の関係について、さんざんウンチクをたれたりっくんだったが

打ち上げが終わると、あれもこれもと残り物を詰めたパックをごっそり抱え

嬉しそうに帰って行った。

一人暮らしだと、一品でも多く欲しくなるものよね。

荷物の中にはもちろんカレーも

そして硬いと文句を言ったカレーの残りご飯を握ったおむすびも入っている。


大人数の食事なんか作ったことないから

一人一人の好みに合わせてるわけにいかないなんて、わからないわよね。

カレーだから、ご飯を硬めに炊いたことも知らないだろうし

ご飯が多ければ潔く残すか、カレールーを足せばいいことよ。

祭りはまだ序の口、打ち上げまでに足りなくなったら困るもんで

カレールーを早い時間から、みんなにザブザブとかけまくるわけにいかないのよ。

そもそも誰の善意で献茶の栄誉に浴し、さらにタダメシまでありつけたっちゅうねん。

ま、炭火おこしてくれたから許そう。


こうして祭りは終わったが、今年は皆さん、料理にひどくお喜びだった。

毎年手伝う人たちも、去年とは全く違う反応。

先にカレーでお腹を満たしたのが、満足感につながったと思う。

来年からは、カレーとオードブルを定番にしようと誓った。


そうそう、モクネン君もかなり嬉しかったらしく、彼から我々女子に金一封が出た。

後日、行うであろう慰労会の足しにしてくださいということだった。

努力が報われたようで嬉しいけど、近日開催予定のその慰労会に

ユリちゃんの兄嫁さんとその娘も参加するという。

金一封の喜びを分かち合うつもりらしい。


決して嫌ではないけど、そうなると同級生5人会の女子会ではなくなる。

主催者とその身内、そして我々使用人の会合じゃん。

人数が増えて強気になった彼女らから、積年の苦労話を聞かされるのは決定事項。

なんだか釈然としないが、あきらめよう。



さてと、定番つながりでお祭りの時にマミちゃんに教えてもらい

私がこの夏、定番にしようと決めた感動の一品をご紹介したい。

クラシルというアプリに出ているそうだけど

マミちゃんから教わった方がわかりやすかった。


『キャベツの豚肉巻き・レンジ蒸し』



①豚バラ肉の薄切りを長い物は半分に切って3枚程度、まな板に並べ塩コショウ

②千切りにして水を切ったキャベツをひとかたまり、豚バラの上に縦に並べ

テキトーに巻く

③キャベツを巻いてロール状になった肉の終わりの部分を上にして、皿に並べる

④軽くラップをかけたらレンジでチン…肉巻きの数にもよるけど3分ぐらい

出来上がりは肉がきっちりと締まって、バラバラにならない。

⑤白ネギ、またはネギとミョウガのみじん切り

すりおろしたニンニクとショウガ

醤油、酢、砂糖を合わせたタレをかける


何といってもフライパンや火を使わず手軽にできるので、夏に最適。

こんなに簡単で、野菜が食べられ、味もけっこう美味しくて

ちゃんと一品になるところが気に入っている。

中に巻く生の野菜はキャベツでなくても、ネギ、豆苗、水菜などでもいい。

中途半端に持て余している野菜の処分にぴったり。


下は水菜バージョン。



タレを作るのが面倒であれば、ポン酢でもいい。

酸味が嫌な人は、ポン酢にミリンを少し加えるとまろやかになる。

今年の夏、我が家ではたびたび登場しそうだ。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする