前回の記事『慰労会』で、仲間内のドタキャンについてお話しした。
その余韻も冷めやらぬ2日後、またドタキャンの憂き目に遭う。
相手はひとつ年下のカナエさん。
20年ほど前、彼女がヤクルトレディとして
うちへ来たのをきっかけに知り合った女性だ。
知り合って10年後、彼女の別れたご主人が
今は亡き義父アツシの会社の社員だったと聞いて
ますます親しくなったことは以前、記事にしたことがある。
その男性、私と同い年のタロウちゃんは裏表の無い働き者で人柄も良く
長く勤めてくれた。
夫も彼には全幅の信頼を寄せていたものだ。
が、アツシの会社が危なくなった頃、別の車両を扱う会社に引き抜かれて辞めた。
良い運転手は転職先に困らないという実例である。
我々夫婦は淋しく思う一方、せっかく良い腕を持ちながら
倒産しそうな会社に居続けるのはもったいないと考えていたため、ホッとした。
そんな思い入れの深い人物とカナエさんが、一時期とはいえ夫婦だったと知って
私のみならず夫も驚いていた。
タロウちゃんが義父の会社に居た頃は独身だったので
カナエさんとの結婚や離婚は、それ以前の古い話だと思う。
彼女が話すには決して嫌いで別れたのではなく、同居していた舅や
近所に住むタロウちゃんの最初の奥さん
そしてその子供たちとのゴタゴタに疲れたのだそう。
離婚後のタロウちゃんとカナエさんは頻繁に行き来し
彼氏と彼女のようなホンワカした関係を保って現在に至っている。
この告白を聞いて以来
「二人でランチに行って、ゆっくりおしゃべりしたいね」
と言い合う私たちだったが、チャンスはなかなか訪れなかった。
彼女のお母さんの介護と見送り、彼女の転職などで暇が無かったからだ。
暇はあったかもしれないが、人には優先順位がある。
後発で親しくなったジェネリックな私と遊ぶ暇は、取れなかったと察する。
ランチ構想から実に10年、やっと実現したのが2年前のこと。
「穴場へご案内したい」と言うので期待していたら
山奥の公共施設に併設された小さな食堂だった。
パイプ椅子を引いたら、コンクリートの床との摩擦でガ〜と音のする…
ハイテンションのおばあちゃんたちが少ない客を切り盛りする…
山菜うどん定食とかの少ないメニューを食券で買う…
つまり、カジュアルでうらぶれた所。
2時間近く走って、ここか…私は少なからず失望。
私って滅多に外出しないじゃん。
だからたまに出かける時は、ハズしたくないという願望が強くて
時間をかけてはるばる行くなら、かけた時間にマッチする結果が欲しいわけよ。
連れて行ってもらっといて、ホント身勝手なんだけど
タロウちゃんとの食べ歩きが趣味と言ってたし
行く店の名前も良い所が揃っていたので、期待し過ぎたみたい。
私にとっては失望でも、カナエさんにとってはやっぱりお気に入りの穴場らしい。
あんまり料理をしない彼女の食べたいもの…
定食に付いてくる干し大根の煮物や肉ジャガの小鉢が嬉しいみたいだ。
男か…。
そうよ、小柄で可愛らしくて、タロウちゃんの前では女性でも
ハートは一人暮らしの長い男性なのよね…と納得。
だけど干し大根や肉ジャガは、普段の私が飽きるほど作っているマンネリ食品。
価値観の違いは、どうにもならない。
そんなカナエさんが近年、焼き物に興味を持ち始め
その流れで茶道にも関心が生じたとおっしゃる。
そこで同級生のりっくんが主催する、月に一度のお茶席を教えたのが今年の始め。
「ぜひ行ってみたいです!」
彼女が言うので一緒に行くことにしたが、休みが不規則なので予定が合わなかった。
以来半年、私は待った。
そして今月、やっとカナエさんのスケジュールが空く。
いつもLINEなので、現実の彼女に会うのは、あの山奥の食堂に連れて行かれて以来だ。
「すごく楽しみです!」
彼女は張り切っていた。
けれども私の方は、りっくんのお茶席にすっかり飽きちゃった。
ユリ寺の祭りで出したカレーのご飯が硬いと、彼が文句を言ったことも根に持っている。
が、カナエさんはそんなことなどつゆ知らず、楽しみにしている。
仕方なく同行を決め、いつもの同級生モンちゃんも行くと言ったので3人で行くことにした。
そして当日。
モンちゃんとは現地集合、カナエさんからは迎えに行くと言われていたため
私は約束の時間の午後2時まで家で待った。
だが、カナエさんは来ない。
電話にも出ないし、LINEしても既読にならない。
変ね、あれほど楽しみにしていたのに…
そうそ、午前中は近所の草刈り行事に出ると言っいたから、疲れて寝てるのかも…
などと思い、単独で行った。
お茶席に行くと、ほどなくモンちゃんも来て、お抹茶とお菓子に舌鼓を打つ。
茶道どころではない。
もはや喫茶。
それにしてもりっくん、この日は何だか元気が無いじゃんか。
彼自らが語るところによれば
ユリ寺の祭りで行った献茶について、東京の師匠から厳しいお叱りを受けたそうだ。
「画像を送って報告したら、勝手なことをするなって言われちゃって…」
献茶は神聖なもの…真似事で済ませられることではない…
まず周囲を清め、身を清め、コロナにかかわらず口にはマスク着用…
お茶を入れた茶碗は必ずフタで覆って臨まなければならない…
そんな作法も知らず、こちらの許可も得ずに独断で行うなんて…
師匠はそう言って、かなりのご立腹だという。
「俺も許可のことは考えないでもなかったけど、急だったし
許可が下りない可能性の方が高かったし
そしたらせっかく声をかけてくれたお寺に申し訳ないから
独断でやっちゃったんだよな…」
うなだれる、りっくん。
「あっら〜!それは気の毒じゃったねぇ!」
カレーの恨みの溜飲を下げる私。
「ユリちゃん夫婦は行事の格が上がったって喜んでたじゃん。
イベントとしては成功よ」
「そうだよね?来年からも続けていいよね?」
「師匠は東京じゃろ?黙っときゃ、わからんよ」
「そうだよね?
俺、モクネンさんに今後もお願いしますって、改めて頼みに行くよ」
りっくんは元気が出たようだ。
「カレー、美味かったよ…」
今頃になって、何を言うか。
1時間後、モンちゃんと別れて帰宅したら、カナエさんからLINEが入っていた。
電話もかかっていたが、気づかなかった。
「家族から込み入った内容の電話がかかっていて、みりこんさんのLINEに気がつきませんでした。
本当にすみませんでした。
今日は疲れたので寝ます」
お茶席に予約は必要無いので、全く腹は立たない。
彼女の一族は家庭運に恵まれてないらしく
いつも何か深刻な問題が起きてゴタゴタしているのは知っている。
しかもこの暑いのに、あの小さい身体で草刈りだもの、疲れて当たり前よ。
「変わったことが無かったのなら、良かった。
ゆっくり休んでください」
と返信したが、多分もう彼女と何かの約束をすることは無いだろう。
振り回されるのは、姑一人で十分だ。
で、明日はまた、同級生5人会の女子会。
先週会ってから、1週間経ってないハイペースだ。
メンバーはいつものユリちゃん、マミちゃん、モンちゃん、私
そしてユリちゃんの兄嫁さんと、今回はお寺料理のお仲間、梶田さんが初参加だそう。
だんだん5人会じゃなくなってきているのはさておき
今度は梶田さんの希望でマミちゃんの親戚の店に決まったため
マミちゃんが予約を引き受けてくれた。
予約係から解放され、手放しで楽しみにできる、この開放感。
最高じゃ。
その余韻も冷めやらぬ2日後、またドタキャンの憂き目に遭う。
相手はひとつ年下のカナエさん。
20年ほど前、彼女がヤクルトレディとして
うちへ来たのをきっかけに知り合った女性だ。
知り合って10年後、彼女の別れたご主人が
今は亡き義父アツシの会社の社員だったと聞いて
ますます親しくなったことは以前、記事にしたことがある。
その男性、私と同い年のタロウちゃんは裏表の無い働き者で人柄も良く
長く勤めてくれた。
夫も彼には全幅の信頼を寄せていたものだ。
が、アツシの会社が危なくなった頃、別の車両を扱う会社に引き抜かれて辞めた。
良い運転手は転職先に困らないという実例である。
我々夫婦は淋しく思う一方、せっかく良い腕を持ちながら
倒産しそうな会社に居続けるのはもったいないと考えていたため、ホッとした。
そんな思い入れの深い人物とカナエさんが、一時期とはいえ夫婦だったと知って
私のみならず夫も驚いていた。
タロウちゃんが義父の会社に居た頃は独身だったので
カナエさんとの結婚や離婚は、それ以前の古い話だと思う。
彼女が話すには決して嫌いで別れたのではなく、同居していた舅や
近所に住むタロウちゃんの最初の奥さん
そしてその子供たちとのゴタゴタに疲れたのだそう。
離婚後のタロウちゃんとカナエさんは頻繁に行き来し
彼氏と彼女のようなホンワカした関係を保って現在に至っている。
この告白を聞いて以来
「二人でランチに行って、ゆっくりおしゃべりしたいね」
と言い合う私たちだったが、チャンスはなかなか訪れなかった。
彼女のお母さんの介護と見送り、彼女の転職などで暇が無かったからだ。
暇はあったかもしれないが、人には優先順位がある。
後発で親しくなったジェネリックな私と遊ぶ暇は、取れなかったと察する。
ランチ構想から実に10年、やっと実現したのが2年前のこと。
「穴場へご案内したい」と言うので期待していたら
山奥の公共施設に併設された小さな食堂だった。
パイプ椅子を引いたら、コンクリートの床との摩擦でガ〜と音のする…
ハイテンションのおばあちゃんたちが少ない客を切り盛りする…
山菜うどん定食とかの少ないメニューを食券で買う…
つまり、カジュアルでうらぶれた所。
2時間近く走って、ここか…私は少なからず失望。
私って滅多に外出しないじゃん。
だからたまに出かける時は、ハズしたくないという願望が強くて
時間をかけてはるばる行くなら、かけた時間にマッチする結果が欲しいわけよ。
連れて行ってもらっといて、ホント身勝手なんだけど
タロウちゃんとの食べ歩きが趣味と言ってたし
行く店の名前も良い所が揃っていたので、期待し過ぎたみたい。
私にとっては失望でも、カナエさんにとってはやっぱりお気に入りの穴場らしい。
あんまり料理をしない彼女の食べたいもの…
定食に付いてくる干し大根の煮物や肉ジャガの小鉢が嬉しいみたいだ。
男か…。
そうよ、小柄で可愛らしくて、タロウちゃんの前では女性でも
ハートは一人暮らしの長い男性なのよね…と納得。
だけど干し大根や肉ジャガは、普段の私が飽きるほど作っているマンネリ食品。
価値観の違いは、どうにもならない。
そんなカナエさんが近年、焼き物に興味を持ち始め
その流れで茶道にも関心が生じたとおっしゃる。
そこで同級生のりっくんが主催する、月に一度のお茶席を教えたのが今年の始め。
「ぜひ行ってみたいです!」
彼女が言うので一緒に行くことにしたが、休みが不規則なので予定が合わなかった。
以来半年、私は待った。
そして今月、やっとカナエさんのスケジュールが空く。
いつもLINEなので、現実の彼女に会うのは、あの山奥の食堂に連れて行かれて以来だ。
「すごく楽しみです!」
彼女は張り切っていた。
けれども私の方は、りっくんのお茶席にすっかり飽きちゃった。
ユリ寺の祭りで出したカレーのご飯が硬いと、彼が文句を言ったことも根に持っている。
が、カナエさんはそんなことなどつゆ知らず、楽しみにしている。
仕方なく同行を決め、いつもの同級生モンちゃんも行くと言ったので3人で行くことにした。
そして当日。
モンちゃんとは現地集合、カナエさんからは迎えに行くと言われていたため
私は約束の時間の午後2時まで家で待った。
だが、カナエさんは来ない。
電話にも出ないし、LINEしても既読にならない。
変ね、あれほど楽しみにしていたのに…
そうそ、午前中は近所の草刈り行事に出ると言っいたから、疲れて寝てるのかも…
などと思い、単独で行った。
お茶席に行くと、ほどなくモンちゃんも来て、お抹茶とお菓子に舌鼓を打つ。
茶道どころではない。
もはや喫茶。
それにしてもりっくん、この日は何だか元気が無いじゃんか。
彼自らが語るところによれば
ユリ寺の祭りで行った献茶について、東京の師匠から厳しいお叱りを受けたそうだ。
「画像を送って報告したら、勝手なことをするなって言われちゃって…」
献茶は神聖なもの…真似事で済ませられることではない…
まず周囲を清め、身を清め、コロナにかかわらず口にはマスク着用…
お茶を入れた茶碗は必ずフタで覆って臨まなければならない…
そんな作法も知らず、こちらの許可も得ずに独断で行うなんて…
師匠はそう言って、かなりのご立腹だという。
「俺も許可のことは考えないでもなかったけど、急だったし
許可が下りない可能性の方が高かったし
そしたらせっかく声をかけてくれたお寺に申し訳ないから
独断でやっちゃったんだよな…」
うなだれる、りっくん。
「あっら〜!それは気の毒じゃったねぇ!」
カレーの恨みの溜飲を下げる私。
「ユリちゃん夫婦は行事の格が上がったって喜んでたじゃん。
イベントとしては成功よ」
「そうだよね?来年からも続けていいよね?」
「師匠は東京じゃろ?黙っときゃ、わからんよ」
「そうだよね?
俺、モクネンさんに今後もお願いしますって、改めて頼みに行くよ」
りっくんは元気が出たようだ。
「カレー、美味かったよ…」
今頃になって、何を言うか。
1時間後、モンちゃんと別れて帰宅したら、カナエさんからLINEが入っていた。
電話もかかっていたが、気づかなかった。
「家族から込み入った内容の電話がかかっていて、みりこんさんのLINEに気がつきませんでした。
本当にすみませんでした。
今日は疲れたので寝ます」
お茶席に予約は必要無いので、全く腹は立たない。
彼女の一族は家庭運に恵まれてないらしく
いつも何か深刻な問題が起きてゴタゴタしているのは知っている。
しかもこの暑いのに、あの小さい身体で草刈りだもの、疲れて当たり前よ。
「変わったことが無かったのなら、良かった。
ゆっくり休んでください」
と返信したが、多分もう彼女と何かの約束をすることは無いだろう。
振り回されるのは、姑一人で十分だ。
で、明日はまた、同級生5人会の女子会。
先週会ってから、1週間経ってないハイペースだ。
メンバーはいつものユリちゃん、マミちゃん、モンちゃん、私
そしてユリちゃんの兄嫁さんと、今回はお寺料理のお仲間、梶田さんが初参加だそう。
だんだん5人会じゃなくなってきているのはさておき
今度は梶田さんの希望でマミちゃんの親戚の店に決まったため
マミちゃんが予約を引き受けてくれた。
予約係から解放され、手放しで楽しみにできる、この開放感。
最高じゃ。