殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

まさかさま・ヤフオク篇

2016年11月07日 10時10分16秒 | みりこん童話のやかた
森のお屋敷に嫁がれて

心のご病気になられたといわれるまさか様。

ご病気なのか、あるいは仮病なのか

見分けがつかないままに長い年月が経ち

まさか様は「ロイヤル・ニート」という

なんとも気高い称号で呼ばれるようになりました。


それでも村人たちは、祈る思いを捨てきれませんでした。

本当にご病気であっても、あるいは仮病だとしても

「いつかきっと、目覚めてくださる」

そう信じていたのです。

けれども皮肉なことに、目覚めたのは

まさか様ではなく一部の村人たちでした。


「まさか!」

ある時、彼らは叫びました。

見てはならぬものを見てしまったからです。

誰でも参加できるオークションに

勲章、刀剣、小物、お召しもの

乗り物のお籠(かご)、調度品など

ご先代様やごー族の遺品が、たくさん並んでいたのでした。


「トプカプ宮殿」「菊栄」と名乗る二人の人物によって出品された

数十点の品々は、総額数千万円にのぼる珍品揃い。

それもそのはず、お屋敷に伝わり

大切に保管されているはずの品々ですから

珍品しか無いのでした。


このような物を個人が大量放出できるとなると

さしあたって考えつくのは泥棒です。

盗品であれば、大変なことです。

お屋敷に泥棒が入り、窃盗が行われたことになります。

警備の行き届いたお屋敷に忍び込み

大小さまざまの品をまんまと盗み出せるのは

ルパン三世並みの大泥棒に違いありません。

しかし警察は、なぜか動きませんでした。


泥棒でなく、承知の上で行ったとすると

お屋敷の経済がひっ迫していることになります。

財政難で売却に踏み切ったとすれば

これもやはり大変なことです。

村を挙げて救済しなければなりません。

しかし村長以下、村議会は知らん顔です。


泥棒でも財政難でもないとすると

お屋敷のどなたかのしわざということになります。

これは最も大変なことでした。

伝統を現金に変えようとする大馬鹿者が

高貴なお屋敷に生息していることになるからです。

しかしお屋敷は、沈黙したままです。


村人たちが騒ぎ出したためか

オークションに出品されたおびただしい品々は

取り下げられました。

出品に至る経緯を詮索されると都合が悪いことは

間違いないようです。


これをやったのが誰なのか

一部の村人たちには想像がついていました。

出品された品の幾つかに、それをカメラで撮影する人影と

撮影された部屋の様子が写っていたからです。


写り込んだ背景は普通の家屋ではなく、洋風の豪華な御殿。

一般的でない家に住み、鏡面加工の金属が

文字通り鏡の役割をしてしまうことに気づかず

オークションなんかに出したら大変なことになるのも知らない

世慣れぬ人物であることは確かです。


カメラを持つ手つきとヘアスタイルが

カメラ好きと言われるあのお方に似ていること‥

別の出品物に写り込んでいた顔が

あのお方の奥様の妹様に似ていること‥

出品されたポートレートのうち

あのご夫妻の写真だけがケタ違いに高値のスタート‥

全ては闇に葬られたため、真相は謎ですが

例のご夫妻ではないかとささやかれるようになりました。


この一件以来、一部の村人が前々から

何となく抱いていた疑惑は

彼らの心の中で大きくなっていきました。

お屋敷が、何やら大きな勢力に取り込まれ

いいように操られているような疑惑です。


けれどもそれを口に出し、問題にすることははばかられます。

ナンなのは知っていても、まさかここまでとは

誰しも思いたくありませんし

これほどの大問題をなぜ皆が揃って黙認しているのかを

薄々は知っていたからです。


あのお方の奥様の元カレと言われる男性が2人

偶然にも海外で非業の死を遂げています。

海外に強いといえば、奥様のお父様‥

などと言っている場合ではありません。

余計なことを言っていると

自分の所に偶然が訪れるかもしれないので

滅多なことは言えないのでした。


誰もオークションのことを究明しないまま

時効が満了になった翌年

お屋敷の当主様が村民に向けて

お気持ちを発表されることになりました。

村民一同は固唾を飲んで見守り

「年だから退職して譲りたい、摂政制は嫌」

という内容に、賛同したり異を唱えたりしました。


オークションの一件を知る一部の村人たちも

同じく固唾を飲んで見守り、そしてうなだれました。

まさか「長男一家がナンで困る」とか

「オークションとは何の関係もありません」

などとはおっしゃらないだろうけど

少しは次代を考慮したご発言が

あるかもしれないと思っていたからです。


血統と序列で織られたカーテンの向こうには

人柄や能力とは無関係の

庶民に計り知れない世界が存在するようです。

それを高貴と呼ぶ者あり。

闇と呼ぶ者あり。


どっとはらい。


この物語はフィクションであり

実在する団体や人物とは一切関係ありません。

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (モモ)
2016-11-09 16:06:33
こわいですネー こわいですね~

やっぱり、富士山、噴火するかもしれないですね~

今までとは違う流れの世の中になってきているのを、何となく感じます。

どうなることやら…
返信する
君子危うきに近寄っちゃった (みりこん〜モモさんへ)
2016-11-09 20:59:35
やったやらない以前に、疑いを持たれる時点でアウト‥
というのは、すでに過去の常識となりましたね。
それでも、きちんと義務を果たしている方々は
ちゃんといらっしゃる。
そこに神意を感じます。
返信する
ちょっとワクワク! (モモ)
2016-11-10 07:13:35
トランプさんの奥さんが来日したら、やはりお揃いを目指されるのでしょうかね~
どんなお洋服になるのか、今から楽しみです(^^)
それにしても…、劇薬を選んだ世界を見届けましょう。

以前、日本も耳障りの良い○○党を選んでガタガタ(T-T)になった記憶が思いおこされます。
今は、それを教訓にして手堅いところを選んで精進の国造り?(笑)の最中でしょうか?
次期大統領との折衝、色々と日本も試される次期ですね。
返信する
第1ティアラ (しなもん)
2016-11-10 14:11:24
第1ティアラ、バラしてヤフオクで現金化したのでしょうか?
第2ティアラもブリキのような鈍さ。マチコ様がお召しになったとき、東洋のサンライズと言われたのに、まさか様が身につけるとブリキティアラ。
どうしてこうもダメなのでしょう?
日本には皇后のためのティアラはあっても、天皇のためのティアラは存在しません。
女性天皇制ができたとしても、マチコ様のように首がお疲れになるので、晩餐会にすら身につけない方もいらっしゃる。
この際、ティアラは全部国庫に返還してほしい。
返信する
新大統領 (みりこん〜モモさんへ)
2016-11-10 20:09:52
奥さんは元モデルだから、真似っこしても
太刀打ちできないでしょうね。

おおかたの予測に反した彼の当選。
腐ったリンゴと腐ったオレンジのどっちがいいか
なんて言われてましたが
選挙戦のうまさだけは、文教畑の対抗馬より
数段上に感じました。

とはいえ手腕は未知数で、両国にとって
どうなのかわかりませんが
お屋敷にとっては、それほど悪い目ではないような
気がしています。
下世話なおっちゃんというイメージですが
少なくともあのおばちゃんよりは
万世一系の世界随一の権威というものが
感覚的にわかる人だと思うからです。

あのおばちゃんだったら、ちょっと危なかったかも。
国防その他は、ベテランらしい安定感で
政府は楽だったかもしれないけど
女性差別撤廃だ、なんだかんだということで
女系天皇推進の道が、全くのゼロでは
なかったように思います。
敗戦国に対する注文は、きついらしいから。
何も知らん人の方が、まだマシ。

今後の見どころとしては、当主様との面会で
表向きは平静を装いながらも心でひれ伏すか
それとも面会の直前に、また何かあって中止になるか
ってところでしょうか。

早くも当選直前の彼に会いに行ってくれた
亀井のおじさまの行動は感涙ものです。
情報をつかんでいて、国の援護射撃に出たのだと思います。
真の政治家を見極めるのも、大きな見どころです。
返信する
ティアラ (みりこん〜しなもんさんへ)
2016-11-10 21:02:56
1個、何億とか何千万ですからね〜。
とんとお目にかからない第一ティアラの行方は
気になるところです。
今の第ニティアラは、レプリカでしょう。
あんなに輝かないダイヤは存在しないし
存在してはいけない。
ジルコニアですら、もっと輝く。
村民もナメられたものです。

売っぱらったのでなければ、旦那様に投げつけて壊れた。
旦那様、額に怪我してらしたこと、あったし。
投げても重症にならない超軽量タイプのレプリカ。

マチコ様が近年、頑としてティアラをお付けにならないのも
気になるところですが、これも売っぱらったのでなければ
嫁のレプリカを目立たせないため?

マチコ様のティアラは、ご身分上
他の方々よりも断然豪華。
他の方々のは小さいので、半分くらい髪に埋もれて
目立たないからいいけど
マチコ様とまさか様はお立場上、並ばれる順が近い。
近くで本物がキンキラキンキラじゃあ
嫁の超軽量タイプと差が出てしまい
ただでさえ滅多に出て来ない嫁の機嫌が悪い。
そこで頸椎の問題となる。
勝手な想像で申し訳ありませ〜ん。
返信する
??? (夫人)
2016-11-15 17:09:34
一体何の話ですか?
私、知らな過ぎなんでしょうか。
あ、詳細な説明は結構です。
なんか怖いですから。
返信する
じゃ、簡潔に(笑) (みりこん〜夫人さんへ)
2016-11-16 16:22:42
2008年、ヤフーオークションで
お屋敷のお宝が大量に売り出されました。
誰から誰に贈られた品か
調べればすぐにわかる品も含まれており
あとは文面の通りです。

当時は今ほどネットが普及していなかったため
情報弱者と呼ばれる人口の方が多く
この事実を知る人は、一部のネットオークション好きが
中心でした。
現在この一件は、当主の奥様とまさか様の
消えた第一ティアラの行方と共に
確認の困難な謎として語り継がれています。

皇室 オークションで検索すると
秀逸なブログがたくさん出てきます。
当時、私は噂としてこの件を聞いていたのですが
信じていませんでした。
そこまで堕ちているとは思いたくなかったからです。
確認して、なかなかの衝撃でした。
返信する

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