☆ 知新 温 (Arata On) ☆ のお菓子だぁ~い好き!

食空間カメラマン 知新 温 (あらた おん)の日々是修行←話題脱線中
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【 オピニオンリーダーが語る 「厨房談義」 第23回 】

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作例写真も合わせて掲載しておりますので、お時間のある際にご覧下さいませ。

奈良市写真美術館レポート

2008年11月17日 | 展覧会な1日

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秋は、温かい色彩が街にあふれる季節ですね。
東京では、街路樹が、光のベールに衣替えをはじめたようです 。(早っ!)

さて、かれこれ1年近く前の話になりましょうか・・・。(遅っ!)
昨年の今頃、奈良方面を訪れたので、奈良市写真美術館に立ち寄りました。
本日は、そんな話をチラホラと。秋の夜長、お時間がある方、お付き合い下さい!

奈良市写真美術館は、市内循環バスに乗り、奈良公園を横目に眺めながら、
「破石町」で下車。閑静な住宅街を歩くこと10分、視界が開けた!と思った途端
に、目の前に現れます。(←つまり、道に迷ってたんですね。魔法のランプじゃあるまいし~。

ほど近くに新薬師寺があり、周囲の景観に調和するよう配慮されたのでしょうか?
1階のエントランスから中にはいると、展示スペースのほとんどが地下階に設定
されています。

この美術館は、写真家入江泰吉氏(以下敬称略)の8万点に及ぶ作品を所蔵して
おり、作品としてだけでなく、学術的資料としても貴重な入江の写真を、保存展示
し、広くその名を知られています。

入江泰吉は戦前大阪で写真店を営むも、戦災で消失。戦後は郷里の奈良に戻り、
その後半世紀に渡り一貫して、奈良大和路をテーマに撮影を行った写真家でした。
奈良公園で鹿の親子が寝そべったまま振り向く写真、目にされた方も多いのでは
ないでしょうか。(小学校でしたか?たしか、教科書に掲載されていると思うのですが・・・。)

入江の撮影スタイルは、『定点写真家』とも呼ばれ、同じ場所、同じ時間、季節
が変わっても、毎年毎月毎日、一つの風景を追ったと伝えられています。
大判カメラを担いで、大和路を撮る!?デジタルカメラ全盛の昨今、その様を想像
できる方も、少なくなってしまいました。(連続してシャッターは切れないです。機材重いです!)

大きなフォーマットで撮影された入江の写真は、大きなプリントに相応しい描写力
で、訪れる人を迎えてくれます。また、遠近感を意識した構図、伽藍越しの風景、
前景のぼけを生かした撮影法など、美術デザイン的な要素と写真機の構造特性を
組み合わせた表現は、後進の写真家に与えた影響の大きさを伺わせていました。

こうやって書いていきますと。例によって、写真理論の話が続くと思いますよね!
しかし、昨年、この美術館へ、「写真術を超えた何か?」を見にいったのです。

常日頃、自分でも撮影し、人が撮影した写真を見ていて。どうして、長い時間推敲
され、人の手によって生み出された絵画やその他の芸術作品のもつ力、独創性に、
写真作品は一向に及ばないのだろう?と考え続けてきました。

ある時、資料探しで偶然、入江の写真【斑鳩の里 落陽】を目にして、ジャンルを
超えて、人の心を掴む写真があるということに驚きを覚えたのです。すると無性に、
自分の目で、確かめに行ってみたくなったという訳なのです。(笑)

入江は、大和路とその地方にまつわる史実研究に余念がなく、先人の生きてきた
心情を風景の中に撮し込もうとしたようだ、と彼を語る本には書き記されています。

入江の心に映っていた物語をおもんばかる術はなくても、絵画よりも長い時間を
かけて対象と向き合い、描く様に写し止められた一瞬は、作品となって、対峙する
全ての人の足を、その場に釘付けにしていました。受け手に、その人なりの大和路
の物語を喚起しているようにも、思われました。

理屈抜きに美しい!もし機会がございましたら、そんな写真達に出会って下さい。

 この話の流れから、今日の私の写真はありませんっ!!
  以前、入江泰吉の写真が好きだ!というと、「それ、誰?」という答えが
  帰ってきたものでしたが・・。どうやら、テレビで取り上げられた様ですね。どんな
  番組だったのでしょうか?再放送はないの?ご存知の方がいらっしゃいましたら、
  教えて下さ~い!