働きたくてうずく筋肉、ただ一個人以上のものをつくり出そうとしてうずく心、これが人間なのだ。壁をつくり、家を建て、ダムを建設し、そしてその壁と家とダムのなかに自分自身をそそぎこむこと、その建設からたくましい筋肉をかちとり、その構想から明確な線と形とを引き出すこと、人間とはそういうものなのだ。なぜなら人間は、宇宙におけるさまざまな組織体のどれとも異なって、自己の創造したものをのり超え、自分の思想のわくを踏み越え、自分のなげたものの彼方に立ちあらわれるものであるからだ。
スタインベック
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