沖縄県は県の廃棄物処理計画において溶融炉の整備を推進していますが、このブログの管理者は溶融炉は「時代遅れ」のごみ処理施設だと考えています。
そこで、内地の市町村が溶融炉に対してどのように考えているのか、厚木愛甲環境施設組合(神奈川県)の資料に基づいて整理してみました。
なお、同組合は一旦溶融炉を整備することを決めていましたが、その後の社会情勢の変化等を考慮して計画を見直しています。
(1)ごみの焼却方式は、組合設立に先行して構成市町村(厚木市、愛川町及び清川村)間で協議を重ね、最終処分量の削減や溶融スラグ の有効利用の可能性がある、焼却+灰溶融又はガス化溶融を中心に検討することとなった。
(2)流動床炉+灰溶融方式は、流動床式ガス化溶融方式へ転用されている。
(3)溶融スラグを有効利用するには、構成市町村等の公共工事への土木資材及びコンクリート二次製品が考えられますが、 この場合、溶融スラグを生産する組合がJIS認証の取得や品質の維持管理を行うこととなり、そのための体制の整備や品質維持管理のための財政的負担が生じる。
(4)近年の民間事業者による焼却灰の資源化技術の発展、溶融施設の整備に伴う環境負荷(CO2排出の増大)及び財政負担から、組合と同時期に施設整備計画を始めた近隣の自治体等は、溶融施設を整備せず、焼却灰は民間事業者において資源化を図る計画へ見直しが行われている。
(5)スラグの用途が限定されており、 需供バランスが取れずに全量有効活用されない事例が多いとともに、溶融コストが高く、水蒸気爆発等のトラブルが多い。
(6)新設焼却施設に溶融炉を併設する計画が激減しており、溶融炉を廃止する事例が発生している。
(7)流動床炉+灰溶融方式は近年の建設実績が極端に少なく、メーカーアンケートにおいても推奨するメーカーは無か った。
(8)流動床炉+灰溶融方式は平成12年度~平成22年度で2件、平成18年度~平成22年度で1件の契約実績しか有しない。
同組合は最初に流動床炉+灰溶融方式を除外していますが、最終的にガス化溶融炉も除外しています。
※流動床炉+灰溶融方式は沖縄県では中城村北中城村清掃事務組合が選定していますが、内地で稼動している事例はありません。