「坂の上の雲」NHKスペシャルドラマ第3回の続きです。
いやあ、もう、最初は気持ちよく見てたんです。
好古の描き方に文句はないですし、米倉斉加年の大山巌も、年が行き過ぎだけど雰囲気は出てるわ、といった感じで、なにしろいま、若かりし日の巌の普仏戦争観戦日記を読んでいるものですから、時が流れたのよねえ、と感慨深かったり。
今回、松山が出てきませんので、あんまりつっこみどころはなかろう、と安心していたのですが、とんでもない間違いでした。
えー、子規のおかあさんが、ですね。仏壇にむかって、「漢学者だったおじいさまが夢の国のように言っていた国と戦争するのねえ」とか言い出しものですから、つい、「大原観山がそんな馬鹿みたいなこと言うわけなかろうがっ!!!」と、最初のつっこみを。
もちろん、こんな馬鹿な場面は、原作にはありません。
あーた、漢学の元になった中華文明と、現実の清帝国を混同するほど、幕末の漢学者は馬鹿ではありませんわよ。
例えば、です。もし、当時のイギリスがギリシャと戦争することになったとして、イギリス人従軍記者のおかあさんが、「ギリシャ学者だったおじいさまが夢の国みたいにいっていた国と戦争するのねえ」といったら、かなり馬鹿馬鹿しい場面になります。
まあ、しかし、そこらへんは、中国で撮影したらしいからサービスだろう、と耐えました。
極めつけは超似合わない榎木孝明の森鴎外です。「この戦争の戦死8000名のうち三分の二が脚気などの戦病死者。日本の衛生は遅れている」とかなんとか言い出されたときには、えー、セリフの人数とか数字をまちがえて覚えているかもしれませんが、ともかく、もうお口ぽっかーん。
「NHKっ!!! あんたいつから2ちゃんねるになったの? 視聴者に、おまえが言うなっ!!!!! と叫ばせたいのっ?」
日清戦争における陸軍の戦死者は、293人にすぎません。えらく悲惨そうに描いていましたが、戊辰戦争より西南戦争より、はるかに戦死者が少ないんです。
ところが、日清戦争における陸軍の脚気の死者は、なんと3944人!!!。戦死者の10数倍なんです。
「衛生がなってない」なんて、とんでもないです。 じゃあ、なぜかって、陸軍は兵士に白米を食べさせていたからです。
それよりなにより、海軍では脚気の死者をほとんど出していません。遠洋航海をする海軍では、脚気による死者が相次ぎ、イギリス留学を経験した海軍医務局長の高木兼寛が、食物に関係していることを突き止め、ともかく白米の取りすぎがよくないらしいと、兵士の食事を麦ご飯に変えて、日清戦争までに脚気による死者をほぼ根絶したんですね。
ところが、陸軍と東大は、ドイツ医学です。海軍のイギリス医学を軽く見て、イギリス医学を修めた高木兼寛を総攻撃。「脚気は感染による。麦飯で直るなぞと馬鹿げている」と主張した急先鋒が森鴎外でして、極端な言い方をしますと、日清戦争における陸軍の戦病死者3944人は、森鴎外が殺した!!! ということになります。
まあ、本人が感染だと思い込んでいたんですから、仕方がないといえばないんですけどねえ。現実に海軍では麦飯で死者がいなくなったんですから、自分の思い込みより、目の前の事実に目をむけるべきだったでしょうが、鴎外っ!!! 兵士に麦飯食べさせたからって死ぬわけじゃなし、ためしにでも食わせろよ。 写生の精神が一番必要だったのは、陸軍の広報担当者じゃない、あんたよっ!!!
いったいこのドラマ、これからどうなるんでしょう。
まあ、仕方がないです。突っ込みを楽しみましょう。
人気blogランキングへ
いやあ、もう、最初は気持ちよく見てたんです。
好古の描き方に文句はないですし、米倉斉加年の大山巌も、年が行き過ぎだけど雰囲気は出てるわ、といった感じで、なにしろいま、若かりし日の巌の普仏戦争観戦日記を読んでいるものですから、時が流れたのよねえ、と感慨深かったり。
今回、松山が出てきませんので、あんまりつっこみどころはなかろう、と安心していたのですが、とんでもない間違いでした。
えー、子規のおかあさんが、ですね。仏壇にむかって、「漢学者だったおじいさまが夢の国のように言っていた国と戦争するのねえ」とか言い出しものですから、つい、「大原観山がそんな馬鹿みたいなこと言うわけなかろうがっ!!!」と、最初のつっこみを。
もちろん、こんな馬鹿な場面は、原作にはありません。
あーた、漢学の元になった中華文明と、現実の清帝国を混同するほど、幕末の漢学者は馬鹿ではありませんわよ。
例えば、です。もし、当時のイギリスがギリシャと戦争することになったとして、イギリス人従軍記者のおかあさんが、「ギリシャ学者だったおじいさまが夢の国みたいにいっていた国と戦争するのねえ」といったら、かなり馬鹿馬鹿しい場面になります。
まあ、しかし、そこらへんは、中国で撮影したらしいからサービスだろう、と耐えました。
極めつけは超似合わない榎木孝明の森鴎外です。「この戦争の戦死8000名のうち三分の二が脚気などの戦病死者。日本の衛生は遅れている」とかなんとか言い出されたときには、えー、セリフの人数とか数字をまちがえて覚えているかもしれませんが、ともかく、もうお口ぽっかーん。
「NHKっ!!! あんたいつから2ちゃんねるになったの? 視聴者に、おまえが言うなっ!!!!! と叫ばせたいのっ?」
日清戦争における陸軍の戦死者は、293人にすぎません。えらく悲惨そうに描いていましたが、戊辰戦争より西南戦争より、はるかに戦死者が少ないんです。
ところが、日清戦争における陸軍の脚気の死者は、なんと3944人!!!。戦死者の10数倍なんです。
「衛生がなってない」なんて、とんでもないです。 じゃあ、なぜかって、陸軍は兵士に白米を食べさせていたからです。
それよりなにより、海軍では脚気の死者をほとんど出していません。遠洋航海をする海軍では、脚気による死者が相次ぎ、イギリス留学を経験した海軍医務局長の高木兼寛が、食物に関係していることを突き止め、ともかく白米の取りすぎがよくないらしいと、兵士の食事を麦ご飯に変えて、日清戦争までに脚気による死者をほぼ根絶したんですね。
ところが、陸軍と東大は、ドイツ医学です。海軍のイギリス医学を軽く見て、イギリス医学を修めた高木兼寛を総攻撃。「脚気は感染による。麦飯で直るなぞと馬鹿げている」と主張した急先鋒が森鴎外でして、極端な言い方をしますと、日清戦争における陸軍の戦病死者3944人は、森鴎外が殺した!!! ということになります。
まあ、本人が感染だと思い込んでいたんですから、仕方がないといえばないんですけどねえ。現実に海軍では麦飯で死者がいなくなったんですから、自分の思い込みより、目の前の事実に目をむけるべきだったでしょうが、鴎外っ!!! 兵士に麦飯食べさせたからって死ぬわけじゃなし、ためしにでも食わせろよ。 写生の精神が一番必要だったのは、陸軍の広報担当者じゃない、あんたよっ!!!
いったいこのドラマ、これからどうなるんでしょう。
まあ、仕方がないです。突っ込みを楽しみましょう。
人気blogランキングへ
ほとんどNHKしか見ません私たちのような視聴者を敵にまわすとは、いい度胸です。私、大昔ですが就職活動の時に、マスコミ関係に就職した先輩たちのファイルを見まして、あそこがどれほど酷いコネ優先採用をしていたか、知っていますのよ。
黄海海戦もろくに描かずにおいて、真之は部下が一人死んだからとおろおろする状態で、今回、マハンが「我々は黄海海戦から多くを学んだ」って、笑わせてくれました。
日露戦争が心配です。まあ、今度は中国ロケじゃないそうなので、あんまりにも日本兵らしくない日本兵は、見なくてすむかもしれないのですが。カズオ・イスグロ原作の映画「上海の伯爵夫人」は、さすがジェームズ・アイボリー、日本軍野蛮一辺倒な描き方ではなかったのですが、それでも、中国人が日本兵をやると、なんとも不自然でした。挙動がちがうんですよねえ。
ああ、そうでした!!! 日華事変を題材にして、あきらかに日本軍の侵略を描いた映画で、ジェームズ・アイボリーは、あれほど規律正しい日本軍を描いていますのにねえ。真田広之はすばらしく恰好がよかったですし。いい作品というのは、とってつけたような、紋切り型は避けるものですわ。
と、もう、言い出せばきりがないです。
また、おこしくださいませ。
原作「坂の上の雲」の大ファンで、私もスペシャルドラマを楽しみにしておりました。
真之の定遠への不法潜入や、正岡八重の日清戦争へのコメント、日本軍将兵の清国民への粗暴な振る舞いなど、耐えがたきを耐えておりましたが、私も森鴎外で激怒に至ってしまいました。
「伊東祐亨が丁汝昌に『貴国も維新と文明開化を実現せよ』と伝えている。清と朝鮮への維新と文明開化の輸出と押し売りが、この戦争の本質なんだよ。両国にとっては有難迷惑な話だ。…… 正岡君、そこを見誤ってはいけないよ。」みたいなことをNHKは森鴎外に語らせました。
伊東の言葉は、敵将を救いたい一心で、「自害はせず、生きて再起を期せばよいではないか」という意味だったのに、見事に悪用されてしまいました。
可哀想に森鴎外は、脚気を見抜けないヤブ医者だけでなく、伊東祐亨の武士道精神をも見抜けないヘボ文学者にされてしまいました。
NHKは自らの主義主張を貫くために、真実を捻じ曲げてしまうのですね。
これは、先の大戦で大本営がやってしまった重大な過ちと同じことを、NHKがやっていることになります。
NHKは先の大戦の反省と総括ができておらず、中国と朝鮮に媚びることだけを覚えてしまったことが露呈しました。
そのために、大好きな「坂の上の雲」が汚されてしまったことに強い憤りを感じております。
この想いを郎女さんと共有したく、投稿させていただきます。
愛媛ということは、松山ではおられないんですね。もし松山にお住まいなら、お会いしてぐちりたいところです(笑)
私は、原作そのままでなくともいいとは思っているんですが、今回の子規さんに関する改変は、ちょっとひどかったですよね。当時としては、不治の病にかかりながら、食欲旺盛で好奇心にあふれ、前向きだった人ですのに、さっぱり、そういうふうには描かれてませんし、とってつけたような架空の日本軍の蛮行に子規さんが文句をつけるなんて、ありえないことです。あんなリアリティのない改変をするのなら、前回、夏目漱石が松山に来て、坊っちゃん列車に乗り、子規さんの影響を受けて俳句に目覚めるシーンを、入れて欲しかったのですが。死の直前に、子規さんがロンドンの漱石に出した手紙は感動的ですし、近代日本語の手本になるもの、といわれています。そういう改変ならば、歓迎だったのですが。なんのつもりで、鴎外を出したのでしょうか。
おっしゃるように、前回くらいからちょっと、原作の透明な明るさが損なわれてきていますよね。
ぐちを言い出すときりがありませんが、どうぞ、またお越し下さい。
同じ愛媛に在住の主婦です。
こちらのブログは時々拝見しては勉強させてもらってます。(歴史好きなんです、詳しくないですが)
「坂の上の雲」ドラマは原作を読みながらずっと楽しみに待っていた一人です。第1回、第2回は期待を裏切らない良い出来で録画も繰り返し見ていました。が、第3回は?なところもあり、今回はやはりNHKだなとがっかりした次第です。
というより日本のテレビや映画は同じような作りしかできないのだなと情けなくなりました。
司馬さんの原作に忠実であってほしいですね、特に子規さんが出てくるシーンは殆どが原作になかったような・・・。史実や原作を知らない人はやはり信じてしまいますよね。
仕方なく、これからも見続けますが、歴史に詳しい郎女さんのつっこみを楽しみにしています。