日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(60)すべての馬の頭は動物の頭である(ド・モルガンの例)。

2018-07-22 19:22:16 | 論理
(01)
 すべての馬が動物であれば、馬の頭はすべて動物の頭である。(ド・モルガンの例)
というようなのものに備えて「何々の」に対しても敏感であることが望ましい。
(三上章、日本語の論理、1963年、40頁)
(02)
ド・モルガンが、明らかに健全であるにもかかわらず、伝統的論理学のわくぐみのなかでは取り扱うことができなかった論証として挙げた、有名なま簡単な論証がある。
(1)すべての馬は動物である。故にすべての馬の頭は動物の頭である。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英、論理学初歩、1973年、167頁)
(03)
There is a famous and simple argument, cited by de Morgan as an example of a kind of reasoning which, though patently sound, could not be handled within the framework of traditional logic. It runs
(1)All horses are animals; therefore all horses' heads are animals' head.
(E.J.Lemmon, Beginning Logic、2002年、第10版、P131)
(03)
123 ∀x(馬x→動物x)├ ∀x{∃y(馬y&頭xy)→∃y(動物y&頭xy)}
1  (1)   ∀x(馬x→動物x)               A
1  (2)      馬a→動物a                1UE
 3 (3)   ∃y(馬y&頭by)               A
  4(4)      馬a&頭ba                A
  4(5)      馬a                    4&E
  4(6)         頭ba                4&E
1 4(7)         動物a               26MPP
1 4(8)      動物a&頭ba               56&I
1 4(9)   ∃y(動物y&頭by)              8EI
13 (ア)   ∃y(動物y&頭by)              349EE
1  (イ)   ∃y(馬y&頭by)→∃y(動物y&頭by)  3アCP
1  (ウ)∀x{∃y(馬y&頭xy)→∃y(動物y&頭xy)} イUI
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英、論理学初歩、1973年、167頁改)
然るに、
(04)
この書物は日本語で書かれている(This book is written in English)ので、日本語の文と語に言及している。しかし、適当な翻訳をすれば、わたしの知っているすべての言語にあてはまるであろう。論理学には国による違いは、一見その反対に思われのであるが、存在しないのである。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英、論理学初歩、1973年、10頁改)
従って、
(01)~(04)により、
(05)
① All horses are animals; therefore all horses' heads are animals' head.
① Tous les chevaux sont des animaux; donc la tête de tous les chevaux est la tête des animaux.
といふ「推論」を行ふカナダ人も、
① すべての馬は動物である。故にすべての馬の頭は動物の頭である。
といふ「推論」を行ふ日本人も、両方とも、
① ∀x(馬x→動x)├ ∀x{∃y(馬y&頭xy)→∃y(動y&頭xy)}。
といふ「論理」で、「推論」を行ってゐることになる。
然るに、
(06)
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)},∃x{象x&∃z(耳zx&~鼻zx)}├ {∀x(象x→動物x)}→∃x∃y∃z(象x&鼻yx&長y&耳zx&~長z&動物x).
1     (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
 2    (2)∃x{象x&∃z(耳zx&~鼻zx)}            A
  3   (3)∀x(象x→動物x)                     A
1     (4)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  1UE
   5  (5)   象a&∃z(耳za&~鼻za)             A
   5  (6)   象a                          5&E
1  5  (7)      ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  46MPP
1  5  (8)      ∃y(鼻ya&長y)               7&E
    9 (9)         鼻ba&長b                A
1  5  (ア)                 ∀z(~鼻za→~長z)  7&E
1  5  (イ)                    ~鼻ca→~長c   アUE
  3   (ウ)   象a→動物a                      3UE
  35  (エ)      動物a                      6ウMPP
   5  (オ)      ∃z(耳za&~鼻za)             5UE
     カ(カ)         耳ca&~鼻ca              A
     カ(キ)             ~鼻ca              カUE
1  5 カ(ク)                         ~長c   イカMPP
     カ(ケ)         耳ca                   カ&E
   59 (コ)    象a&鼻ba&長b                    69&I
1  5 カ(サ)             耳ca&~長c            クケ&I
1  59カ(シ)   象a&鼻ba&長b&耳ca&~長c コサ&I
1 359カ(ス)   象a&鼻ba&長b&耳ca&~長c&動物a エシ&I
1 359 (セ)    象a&鼻ba&長b&耳ca&~長c&動物a       オカスEE
1 35  (ソ)   象a&鼻ba&長b&耳ca&~長c&動物a 89セEE
123   (タ)   象a&鼻ba&長b&耳ca&~長c&動物a 25ソEE
123   (チ)∃z(象a&鼻ba&長b&耳za&~長z&動物a)      タEI
123   (ツ)∃y∃z(象a&鼻ya&長y&耳za&~長z&動物a)    チEI
123   (テ)∃x∃y∃z(象x&鼻yx&長y&耳zx&~長z&動物x)  ツEI
12    (ト){∀x(象x→動物x)}→ 
         {∃x∃y∃z(象x&鼻yx&長y&耳zx&~長z&動物x)}3トCP
従って、
(06)により、
(07)
1     (1){すべてのxについて、xが象ならば、あるyはzの鼻であって、(すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない)。}
 2    (2){あるxは象であって(あるzはxの耳であって、鼻でない)。}
  3   (3)(すべてのxについて、xが象ならばxは動物である。)
12    (ト){すべてのxについて、xが象ならばxは動物である。}ならば、
         {あるxは象であって、あるyはxの鼻であって長く、あるzはxの耳であって長くなく、xは動物である。}
従って、
(07)により、
(08)
1  (1)象は鼻が長い。然るに、
 2 (2)象の耳は鼻ではなく、
  3(3)象は動物である。従って、
12 (ト)象が動物であるならば、象といふ、鼻が長く耳が長くない動物がゐる。
然るに、
(09)
② Elephant has an long nose and no other part of it is long. The elephant's ear is not a nose. Therefore, if an elephant is an animal, there is an animal we call it elephant whose nose is long, ears are not long.
に対する、「グーグル翻訳」は、
② 象は長い鼻を持ち、他の部分は長くありません。 象の耳は鼻ではありません。 したがって、象が動物であれば、鼻が長く、耳が長くないゾウと呼ばれる動物があります。
である。
従って、
(05)~(09)により、
(10)
② Elephant has an long nose and no other part of it is long. The elephant's ear is not a nose. Therefore, if an elephant is an animal, there is an animal we call it elephant whose nose is long, ears are not long.
といふ「推論」を行ふカナダ人も、
② 象は鼻が長い。象の耳は鼻ではない。従って、象が動物であるならば、象といふ、鼻が長く耳が長くない動物がゐる。
といふ「推論」を行ふ日本人も、
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)},∃x{象x&∃z(耳zx&~鼻zx)}├ {∀x(象x→動物x)}→∃x∃y∃z(象x&鼻yx&長y&耳zx&~長z&動物x).
といふ「論理」で、「推論」を行ってゐることになる。
従って、
(04)(10)により、
(11)
② 象は鼻が長い。
② Elephant has an long nose and no other part of it is long.
といふ「日本語」と「英語」は、
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「述語論理」に、対応し、尚且つ、
論理学には国による違いは、一見その反対に思われのであるが、存在しないのである(There is nothing parochial about logic, despite this appearance to the contrary)。
従って、
(11)
② 象は鼻が長い。
② Elephant has an long nose and no other part of it is long.
といふ「二者」を比較して、
② 象は鼻が長い。 には「主語」が無い。
とするのであれば、
② 象は鼻が長い。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「二者」を比較した際にも、
② 象は鼻が長い。 には「主語」が無い。
と言へるのか。
といふことを、「検証」すべきである。
(11)
② 象は   は、② ∀x{象x→ に対応し、
② 鼻は長い は、② ∃y(鼻yx&長y) に対応し、
② 鼻が長い は、② ∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} に対応する。