日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(1255)「矛盾(韓非子)」の「述語論理(Ⅸ)」。

2023-01-15 19:09:54 | 漢文・述語論理

(01)
[一] 矛盾(韓非子)
① 楚人有 鬻盾與矛者。
② 譽之曰、吾盾之堅、於物莫能陷也。
③ 又譽其矛曰、吾矛之利、於物無不陷也。
④ 或曰、以子之矛、陷子之盾、何如。
⑤ 其人弗能應也。
(02)
① 楚人有[鬻〔盾與(矛)〕者]。
② 譽(之)曰、吾盾之堅、莫(能陷)也。
③ 又譽(其矛)曰、吾矛之利、於(物)無〔不(陷)〕也。
④ 或曰、以(子之矛)、陷(子之盾)何如。
⑤ 其人弗〔能(應)〕也。
(03)
① 楚人[〔盾(矛)與〕鬻者]有。
②(之) 譽曰、吾盾之堅、(能陷)莫也。
③ 又(其矛)譽曰、吾矛之利、(物)於〔(陷)不〕無也。
④ 或曰、(子之矛)以、(子之盾)陷何如。
⑤ 其人〔(應)能〕弗也。
(04)
① 楚人に[〔盾と(矛)とを〕鬻ぐ者]有り。
②(之) 譽めて曰はく、吾が盾の堅きこと、(能く陷す)莫き也。
③ 又(其の矛を)譽めて曰は、吾が矛の利なること、(物に)於いて〔(陷さ)不り〕無き也。
④ 或曰、(子の矛を)以て、(子の盾を)陷さば何如。
⑤ 其の人〔(應ふる)能は〕弗る也。
(05)
楚の国の人で盾と矛を売る者がいた。この人はこれを誉めて「私の盾は頑丈で、これを貫けるものはない」と言った。また、矛を誉めて「私の矛は鋭くて、物において貫けないものはない」と言った。ある人が「あなたの矛であなたの盾を貫いたらどうなるのですか」といった。商人は答えることができなかった(WIKIBOOKS)。
(06)
(ⅰ)
1 (1)∀x{~吾盾x&盾x→∃y(吾矛y&陥没yx)}  A
 2(2)           ∀y(吾矛y→~陥ya)   A
1 (3)   ~吾盾a&盾a→∃y(吾矛y&陥没ya)   1UE
 2(4)           ∀y(吾矛y→~陥ya)   A
 2(5)              吾矛b→~陥ba    4UE
 2(6)             ~吾矛b∨~陥ba    5含意の定義
 2(7)            ~(吾矛b& 陥ba)   6ド・モルガンの法則
 2(8)          ∀y~(吾矛y& 陥ya)   7UI
 2(9)          ~∃y(吾矛y& 陥ya)   8量化子の関係
12(ア) ~(~吾盾a&盾a)               39MTT
12(イ)   吾盾a∨~盾a                ア、ド・モルガンの法則
12(ウ)   ~盾a∨吾盾a                イ、交換法則
12(エ)    盾a→吾盾a                ウ含意の定義
1 (オ)   ∀y(吾矛y→~陥ya)→(盾a→吾盾a)  2エCP
1 (カ)∀x{∀y(吾矛y→~陥yx)→(盾x→吾盾x)} オUI
(ⅱ)
1   (1)∀x{∀y(吾矛y→~陥yx)→(盾x→吾盾x)} オUI
1   (2)   ∀y(吾矛y→~陥ya)→(盾a→吾盾a)  A
 3  (3)                ~吾盾a&盾a   A
  4 (4)                 盾a→吾盾a   A
 3  (5)                     盾a   3&E
 34 (6)                    吾盾a   45MPP
 3  (7)               ~吾盾a       3&E
 34 (8)               ~吾盾a&吾盾a   67&I
 3  (9)               ~(盾a→吾盾a)  48CP
13  (ア)  ~∀y(吾矛y→~陥ya)           29RAA
13  (イ)  ∃y~(吾矛y→~陥ya)           ア量化子の関係
   ウ(ウ)    ~(吾矛b→~陥ba)           A
   ウ(エ)   ~(~吾矛b∨~陥ba)           ウ含意の定義
   ウ(オ)      吾矛b& 陥ba            エ、ド・モルガンの法則
   ウ(カ)   ∃y(吾矛y& 陥ya)           オEI
13  (キ)   ∃y(吾矛y& 陥ya)           イウカEE
1   (ク)   ~吾盾a&盾a→∃y(吾矛y&陥没ya)   3キCP
1   (ケ)∀x{~吾盾x&盾x→∃y(吾矛y&陥没yx)}  クUI
従って、
(06)により、
(07)
① ∀x{~吾盾x&盾x→  ∃y(吾矛y&陥没yx)}
② ∀x{∀y(吾矛y→~陥yx)→(盾x→吾盾x)}
に於いて、すなはち、
① すべてのxについて{xが吾が盾ではない盾であるならば、あるyは(吾が矛であって、yはxを陥す)}。
② すべてのxについて{すべてのyについて(yが吾が矛ならば、yがxを陥さない)ならば(xが盾ならば、xは吾が盾である)}。
に於いて、
①=② である。
従って、
(07)により、
(08)
① すべてのxについて{xが吾が盾ではない盾であるならば、あるyは(吾が矛であって、yはxを陥す)}。
② すべてのxについて{すべてのyについて(yが吾が矛ならば、yがxを陥さない)ならば(xが盾ならば、xは吾が盾である)}。
に於いて、すなはち、
① 私の矛は、私の盾以外の、全ての盾を貫通する。
② 私の矛が貫通しないならば、それが盾ならば、私の盾である。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(09)
一階述語論理は、数学のほぼ全領域を形式化するのに十分な表現力を持っている。実際、現代の標準的な集合論の公理系 ZFC は一階述語論理を用いて形式化されており、数学の大部分はそのように形式化された ZFC の中で行うことができる(ウィキペディア)。
従って、
(07)(09)により、
(10)
① ∀x{~吾盾x&盾x→ ∃y(吾矛y&陥没yx)}
② ∀x{∀y(吾矛y→~陥yx)→(盾x→吾盾x)}
といふ「言語(数学語)」は、「数学科の学生」が、「一番得意」であると思はれる。
然るに、
(11)
「(述語論理で書かれている)ε-δ論法」で躓く「数学科の学生」は多い。
とのことなので、だとすると、「ほとんどの数学科の1年生」は、
① ∀x{~吾盾x&盾x→  ∃y(吾矛y&陥没yx)}
② ∀x{∀y(吾矛y→~陥yx)→(盾x→吾盾x)}
に於いて、
①=② を、「理解できない」ものと、思はれる。


(1254)「ド・モルガンの法則」は「無限に続く」。

2023-01-15 11:43:39 | 論理

(01)
(ⅰ)
1   (1)  -a・-b   A
 2  (2)   a∨ b   A
1   (3)  -a      1・E
  3 (4)   a      A
1 3 (5)  -a・a    34・I
  3 (6)-(-a・-b)  15RAA
1   (7)     -b   1・E
   8(8)      b   A
1  8(9)   -b・b   78・I
   8(ア)-(-a・-b)  19RAA
 2  (イ)-(-a・-b)  2368ア∨E
12  (ウ)-(-a・-b)・
        (-a・-b)  1イ・I
1   (エ) -(a∨ b)  2ウRAA
(ⅱ)
1   (1)  -(a∨ b)  A
 2  (2) -(-a・-b)  A
  3 (3)    a      A
  3 (4)    a∨ b   3∨I
1 3 (5)  -(a∨ b)・
          (a∨ b)  14・I
1   (6)   -a      35RAA
   7(7)       b   A
   7(8)    a∨ b   3∨I
1  7(9)  -(a∨ b)・
          (a∨ b)  18・I
1   (ア)      -b   79RAA
1   (イ)   -a・-b   6ア・I
12  (ウ) -(-a・-b)・
         (-a・-b)  2イ・I
1   (エ)--(-a・-b)  2ウRAA
1   (オ)   -a・-b   エDN
従って、
(01)により、 (02)
①  -a・-b
② -(a∨ b)
に於いて、
①=② は「ド・モルガンの法則」である。
然るに、
(03)






第15図で、橋Aが上がって船が通過できるような状態をaで、橋Aが閉じて汽車が通過できるような状態にあるときを-aで現し、橋Bについてもそれぞれ同じようにbと-bと定める。船が湾を出て行くことができる可能性はAかBのどちらかが上がっていればいいのだから、
  a∨ b ・・・・・船が通れる場合
で表せる。また汽車が島をとおって向こう岸に行ける可能性はAもBも共に閉じているときだけであるから、
 -a・-b ・・・・・汽車が通れる場合
である。ところが船が通れる場合には汽車は通れないし、汽車が通れる場合には船は通れない。両方は矛盾し合う。故に一方の否定が他と等意になるから
  -(a∨b)≡-a・-b
という式が成り立つ(沢田允茂、現代論理学入門、1962年、206頁)。
然るに、
(03)により、
(04)
この場合、
橋の数=   2本
橋の数=  30本
橋の数= 400本
橋の数=5000本
であっても、「同じこと」である。
然るに、
(05)
①  -a・-b
② -(a∨ b)
に於いて、
b=(b∨c)
といふ「代入」を行ふと、
①  -a・-(b∨c)
② -(a∨ (b∨c))
然るに、
(02)により、
(06)
① -(b∨c)≡-b・-c
従って、
(05)(06)により、
(07)
①  -a・-b・-c
② -(a∨ (b∨c))
に於いて、
①=② である。
従って、
(07)により、
(08)
①  -a・-b・-c
② -(a∨ b∨ c)
に於いて、
①=② である。
従って、
(03)(04)(08)により、
(09)
「ド・モルガンの法則」は、「項の数」が「無限」であっても、「成立」する。