(01)
①(日本人の女性である)ならば日本人である。
という「命題」は、「偽にはなり得ない」。
従って、
(01)により、
(02)
①(日本人の女性である)ならば日本人である。
という「命題」は、「恒に真」である。
従って、
(02)により、
(03)
例へば、
P=日本人である。
Q=女性である。
として、
① P&Q→P
という「命題」は、
(ⅰ)P=真。Q=真。
(ⅱ)P=真。Q=偽。
(ⅲ)P=偽。Q=真。
(ⅳ)P=偽。Q=偽。
に於いて、すなわち、
(ⅰ) P& Q
(ⅱ) P&~Q
(ⅲ)~P& Q
(ⅳ)~P&~Q
に於いて、「恒に真」である。
然るに、
(04)
補題:任意の論理式に対する真理表テストの各行に対応して、導出可能な連式を書くことができる。
(E.J.レモン著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、昭和48年、107頁)
従って、
(03)(04)により、
(05)
(ⅰ)
P& Q(1) P& Q A
P& Q(2) P 1&E
P& Q(3) ~Q∨P 2∨I
P& Q(4) ~P∨~Q∨P 3∨I
P& Q(5)(~P∨~Q)∨P 4結合法則
P& Q(6) ~(P&Q)∨P 5ド・モルガンの法則
P& Q(7) P&Q→P 6含意の定義
(ⅱ)
P&~Q(1) P&~Q A
P&~Q(2) ~Q 1&E
P&~Q(3) ~Q∨P 2∨I
P&~Q(4) ~P∨~Q∨P 3∨I
P&~Q(5)(~P∨~Q)∨P 4結合法則
P&~Q(6) ~(P&Q)∨P 5ド・モルガンの法則
P&~Q(7) P&Q→P 6含意の定義
(ⅲ)
~P& Q(1)~P&Q A
~P& Q(2)~P 1&E
~P& Q(3)~P∨~Q 2∨I
~P& Q(4)~(P&Q) 3ド・モルガンの法則
~P& Q(5) ~(P&Q)∨P 4∨I
~P& Q(6) P&Q→P 5含意の定義
(ⅳ)
~P&~Q(1)~P&~Q A
~P&~Q(2) ~Q 1&E
~P&~Q(3)~P∨~Q 2∨I
~P&~Q(4)~(P&Q) 3ド・モルガンの法則
~P&~Q(5) ~(P&Q)∨P 4∨I
~P&~Q(6) P&Q→P 5含意の定義
といふ「計算」は、4つとも、「正しい」。
然るに、
(06)
「プログラミング」の「二重ループ」に倣って、
Pで、(Q∨~Q)を「計算」してから、
~Pで、(Q∨~Q)を「計算」するならば、
(1) P∨~P 排中律(TI)
2 (2) P A
(3) Q∨~Q 排中律(TI)
4 (4) Q A
24 (5) P& Q 24&I
24 (6) P& Q→P (ⅰ)による。
7 (7) ~Q A
2 7 (8) P&~Q 27&I
2 7 (9) P& Q→P (ⅱ)による。
2 (ア) P& Q→P 34679∨E
イ(イ) ~P A
4 イ(ウ)~P& Q イ4&I
4 イ(エ) P& Q→P (ⅲ)による。
7イ(オ)~P&~Q イ7&I
7イ(カ) P& Q→P (ⅳ)による。
イ(キ) P& Q→P 34エ7カ∨E
(ク) P& Q→P 12アイキ∨E
然るに、
(06)により、
(07)
この例から、どうして一般に∨Eの適用によって、論理式Aが依存する仮定の数が次第に減って行き、排中律の代入例が最後に用いられるときには、全く仮定が残らなくなる(仮定の数がゼロになる)かということが明らかになるはずである。
(E.J.レモン著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、昭和48年、113頁)
然るに、
(08)
定理とは、仮定の数がゼロの証明可能な連式の結論である。
(E.J.レモン著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、昭和48年、64頁)
従って、
(03)~(08)により、
(09)
例へば、
P=日本人である。
Q=女性である。
として、
① P&Q→P
①(日本人の女性である)ならば日本人である。
という「トートロジー(恒真命題)」に関して、
メタ定理Ⅱ:すべてのトートロジー的論理式は、定理として導出可能である。
(E.J.レモン著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、昭和48年、104頁)
といふ『メタ定理』は、「正しい」。
然るに、
(10)
わざわざ、「このやうな証明」をしなくとも、
①(日本人の女性である)ならば日本人である。
といふ「命題」が「偽」になり得ないことは、「直観的に、明らかである」。
然るに、
(11)
といふよりも、
特に第2章の第5節は、本書の他の部分よりも遥かに難しい(good deal more difficult)。
普通の読者(the ordinary reader)はとばす(つまり早く読み通す)のが賢明であろう。
(E.J.レモン著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、昭和48年、64頁)
従って、
(10)(11)により、
(12)
①(日本人の女性である)ならば日本人である。
といふ「命題」が「偽」になり得ないことを、
メタ定理Ⅱ:すべてのトートロジー的論理式は、定理として導出可能である。
といふ『メタ定理』として「理解」することは、「普通の人には、かなり難しい」。