荒船海岸を後にして,潮岬でサンセットを見ようとしたが,残念ながら夕日は雲に遮られて見えなかった.ちょうど真っ暗になる頃,橋杭岩の前にある宿へ到着し,一夜を明かした.翌朝,目覚めると外は厚い雲に覆われていた.
そして,どうやら海沿いは,小雨が舞っているようだった.雨が通り過ぎるのを待っているのは,ちょっと退屈なので,小雨が降る中,オートバイで宿を出た.朝の人通りがまばらな橋杭岩の前で,オートバイの暖気をおこなった.なんとも贅沢な景色の中での暖気である.
海沿いは,しばらくの間,雨が続きそうなので,コンビニで朝ご飯を調達してから,紀伊半島の山中を北上することにした.選んだ道は,ひさしぶりの和r229だ.古座川町から,一路,熊野川町を目指す.北上するにしたがって,雨はいつのまにか止んでいた.
コンクリートで表面だけを固められた素掘りのトンネルを通り抜ける.なかなかに酷道の雰囲気が出ていて,いいなと思う.この辺りは,このようなトンネルが連続して続く.
そして,気が付けば,太陽の光が少しずづ雲の合間から差し込んで,辺りが明るくなってきた.それにしても,11月中旬を過ぎているのに,この辺りは常緑樹林ばかりなので,紅葉はまったく期待できない.まあ,それに引き換え,暖かなのでよしとしておこう.
深い谷を結ぶ赤く,そして長い橋脚の長瀞橋を渡れば,熊野川町の集落まであと少しだ.この長瀞橋は,柵がとても低いので,高所恐怖症でないけれども,渡るときはちょっと怖い.この橋から下をのぞくと,数十メートルほど下にきれいな和田川が流れている.
長瀞橋の低い柵から,おっかなびっくりカメラを下の方に差し出して,和田川を撮ってみる.水は驚くほどに透明で,青味がかっていた.ところで,長瀞と言えば,関東出身者であれば,埼玉県の秩父市の北の方にある長瀞川を連想する.また,秩父辺りをオートバイで走ることはあるのだろうか.
長瀞橋を後にして,熊野川町の集落を目指して,ラストスパートをかける.すると,少し先の方に行ったところで,崖沿いのとても心許ない路肩のあるカーブが現れる.どうやら,土砂崩れがあって,道を直したばかりのようだった.先には,工事中で通行止めの看板が立っていた.
無事に和r229を走り抜け,ようやく熊野川町へたどり着く.ここに来るのも随分とひさしぶりで,とても懐かしく感じた.天気はすっかり回復していて,気持ちがいいほどの冬晴れの日だった.
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