2018年に関西へ来てから,ただその名前だけに惹かれていた峠がある.三重県の伊勢神宮と南伊勢町の切原を南北に結ぶ伊勢南勢線の剣峠だ.剣や切原など血生臭いイメージを彷彿とさせる地名である.剣峠を目指して,伊勢神宮のある北側からオートバイを走らせた.
剣峠の北側は,最初から幅員の狭い道だ.そして,しばらくの間は傾斜のない平坦な道が続く.常緑樹林地帯であるため,師走でも辺りは緑のトンネルで覆われている.交通量は皆無だが,木漏れ日が眩しくて,路面状況を把握し難かった.
これでも列記とした主要地方道だが,道路状況としては舗装林道クラスだと誰しもが思うことだろう.ただし,ここは三重県だ.古和峠や藤坂峠といった三重県を代表する険道も地方主要道なのだから,これ位のことで驚いてはいられない.
そうは言っても峠に近づくにつれて,藤坂峠のような九十九折れが連続してくるようになる.標高としては決して高いわけではない.しかし,やはり紀伊半島という独特の地域にあって,急峻なリアス式海岸の山中に切り開いた道は,合理的な道筋でもいわゆる険道となってしまうのかもしれない.
タイトな九十九折れをいくつ越えただろうか.ちょっと精神的に疲れてきたところで視界に飛び込んできたのは,豪快な剣峠の切り通しだった.
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