三重r778は,尾鷲市の3桁県道で尾鷲湾に沿って市街と九鬼町をつなぐ.とりわけ行野浦と九鬼間は,八鬼山を迂回して海沿いの絶壁を縫うように道が走っている.いわゆる険道だが,尾鷲ヒノキと海の眺望がすばらしいルートでもある.
この道については何度か記事にしてきたが,改めてこのルートの良さを紹介しようと思う.道中,随所で尾鷲湾を一望することができる.そして,尾鷲湾の南側に位置する桃頭島(とがしま)が常に視界のうちにあるのが印象的だ.
尾鷲ヒノキの間からは紀伊半島の雄大なリアス式海岸を一望することができる.須賀利の岬や佐波留島も手に取るように見える.海のすぐ近くでこれほど高い場所から熊野灘を眺望できる貴重なスポットだと思う.
果てしなく続く熊野灘と空の境界があいまいで,青一色の世界に今にも動き出しそうな桃頭島の緑が存在感を主張している.この景色に見とれていると何だかとても不思議な気持ちになって,こわばっていた肩の力がすとんと抜けていくような気がする.
これほどまでに素晴らしい道なのに,ここで自動車やオートバイにすれ違うことは全くない.それもそのはずで,尾鷲から九鬼へは国道の八鬼山トンネルを使えば,数分で済んでしまう.わざわざこの道を走るのは,合理的なこの世の中では考えられないことかもしれない.
とは言え,この道は1992年に現国道の八鬼山トンネルが開通するまでは列記とした国道だったそうだ.その頃は離合などが大変で,のんびり景色など楽しんでいる余裕はなかっただろう.今はおかげさまで,好きなところにオートバイを停めることができる.尾鷲に来て晴れていたら,三重r778を走るのがいつの間にかルーティンになってしまった.
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