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一体どれだけの時が経っただろう.熊野の二木島湾,楯ヶ崎遊歩道の入口手前にある駐車場へオートバイを停めて,二木島湾の東端,英虞崎を目指して紀伊半島の原生林の中を歩いていく.
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前回訪れたのは,確か2019年の初冬だったと思う.実に約3年振りの再訪だ.3年前に初めて楯ヶ崎を見た時の感動は,とても衝撃的なもので,またいつか見に行こうと思いながらも,どういう訳か3年もの月日が経ってしまった.
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陽が昇ってまだ間もない楯ヶ崎の原生林は,まだ薄暗くて,静けさが張り詰めていた.曲がりくねった道を歩き,カーブからストレートの道に差し掛かると,鹿の群れに出くわす.
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鹿たちは一瞬のうちに危険を察知して,一目散に四方八方,山の中へと消えてしまった.それでも群れのうちの何頭かは,山の斜面でわたしの様子をうかがっていた.その後も山の斜面に野生動物の気配を感じることが何度かあった.
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駐車場から1.5キロメートルほど歩いただろうか.二木島灯台まで200メートルを示す標識までたどり着く.この辺りは,谷のような格好になっており,太陽の光が差し込むことがなく,かなり薄暗いが,海はもうすぐそこだ.
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薄暗い道を登り抜けると,二木島湾の東端,英虞崎にたどり着く.東端の大部分は,岩盤がスロープ状になった千畳敷になっている.そして,末端は柱状節理の岩体が,空に向かって真っすぐ突き出ている.
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スロープ状になった岩盤の上を滑るように下りて行くと,手に届くまでの位置に海がある.二木島湾はリアス式海岸ということで,波は驚くほどに穏やかでとても静かな海だ.そして,紺碧色の海が美しかった.
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背後の陸地側の方には,柱状節理の上に白亜の二木島灯台が建っている.灯台の勇ましい姿がとても印象的だ.それにしても,このような場所に灯台を建てるのは,大変な労力だったことだろう.初点灯は昭和28年の10月だそうだ.
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千畳敷を散策し,末端にある柱状節理の真下に来てみた.圧倒的な存在感で,自然の偉大さを改めて思い知る.そして,この柱状節理には,句碑のような石板が設置されている.
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その石板には次のように文字が刻まれている.
荒波の寄せては返す 砕けては 又寄せ来る 楯ヶ崎
昭和十六年八月一日 岡田信次
昭和十六年八月一日 岡田信次
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