乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

谷地坊主の観察会

2018年07月07日 | 観察会

関西や東海地方で大雨による被害が生じましたが、乙女高原は曇で、観察会は実施できました。

 週間天気予報は雨だったので、そんなに参加者はいないのではないかと思っていましたが、なんと15人もの参加者があり、ちょっと戸惑いました。

 

 まずは乙女高原の谷地坊主が天然記念物に指定されたことを報告。それから、「谷地坊主」をネット検索すると、何が出てくるか?という話題。そして、今日の3つのテーマ ①谷地坊主はどうやってできる? ②谷地坊主をつくる植物 ③谷地坊主の身体測定 を確認して、出発しました。

 

 まずは天然記念物に指定された「谷地坊主の谷地」を西側の高台から眺めました。「今はこんなに草ボウボウですが、もう少し前は・・・もっと前は・・・」と季節ごとの写真を見ていただきました。「ではここで、谷地坊主を観察しながら、どうやって谷地坊主ができるかを考え、それをホワイトボートに書いてください」「近づいてもいいですが、あのシラカバの木までにしてくださいね。湿地の中に入ると、抜けなくなるかもしれませんよ」

・水が湧いているから。水を吸って、成長している(水が好き)

・水位の変化があっても、生き残るため。

などの意見が出されたところで、「今のところ、こんなふうに出来上がっていると考えられます」というのを紙芝居で説明しました。

 

 第2に、この「谷地坊主の谷地」西側の脇を歩きながら、谷地坊主を作っているスゲ属植物を観察しました。

 スゲの茎に触ってみると、茎の断面が三角になっているのがわかります。葉っぱがチョー細長い植物の代表にはイネ科植物がありますが、イネ科は断面が円いので、簡単に見分けられます。

 谷地坊主を作っているスゲは・・・どうも全部同じ種類のように見えます。紙芝居で確かめてみるとタニガワスゲでした。スゲはどれも細長い葉っぱなので、お互い見分けにくいのですが、穂(花や実)が個性的で、それを見れば、見分けられます。湿地にはほかにもカワラスゲ、オオカワズスゲ、ゴウソ、オタルスゲというスゲがありましたが、1種類ずつ確認しました。やはり谷地坊主を作っているのはタニガワスゲばかりですが、中に「タニガワスゲにオタルスゲが混ざっている」のでなく、「オタルスゲだけ」でできている谷地坊主がありました。何にも例外はあるものです。

 

 ここまでで午前の部、終了。早昼飯を食べて、午後の部に備えました。

 午後からは湿地の中に入っての作業になるので、天然記念物指定地は避けました。

 その湿地で、谷地坊主たちが見える高台から谷地坊主を見ながら歩き、「谷地坊主がなくなるところで止まってください」と指示。みんなが止まったところで、谷地坊主がある所とない所の違いを観察しました。

 ないところには、岩がごつごつしています。「岩がごつごつある」ということは・・・傾斜がそこから急になり、土が流されてしまったため、重くて流されない岩だけが残った・・・と考えられます。つまり、山だからといって、谷川には谷地坊主は生育しないということです。

 谷地坊主が生育する条件って、じつは繊細です。

 冬、地面が凍って、持ち上がってしまうのが条件の一つですが、では、冬、寒ければいいかというと、いくら寒くても、雪が降ってしまうと、雪がふとんの役割をしてしまうので、ダメです(だから、北海道の中でも、雪の少ない釧路地方で谷地坊主が育つんです)。

 

 そんなことを確認してから、湿地に降りました。

 そして、各自で谷地坊主の「スリーサイズ」を測りました。スリーサイズとは①地面から谷地坊主の一番上までの高さ=葉っぱを引っ張り上げることはしない、自然の状態で ②地面から「谷地坊主の頭皮のてっぺん」までの高さ ③自然な状態での葉っぱの広がり・・・です。みんなで今日の最高値を目指しました。

 今日の最高値は、①90 ②50 ③140(㎝)でした。

 

 そして、谷地坊主のモニタリングをしてもらいました。

 2年前から谷地坊主のうちの5つを選んで、印を付けてあります。そして、毎年、フォーサイズを測っています。どれくらい谷地坊主が大きくなるのか、寿命はあるのか、どんな運命をたどるのか、確かめたいと思います。3チームに分かれて、それぞれ2つずつの谷地坊主の身体検査をしてもらい、ワークシートに記録してもらいました。どのチームも和気あいあいと調査することができました。

 

 これで本日の調査・観察会を終了させました。

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