旨い処探索同好会

アトリエ葉神 公式 ブログ・サイト

芸術鑑賞 自作品の解説 その1

2023年03月19日 13時32分22秒 | 画家のツブヤキ


今度新しい試みをやろうと思っている。
芸術鑑賞のカテゴリーで自作品の解説をして絵画に対する理解度や親密度などを高めることができればとの試みである。 意識してわかりやすくシンプルな文章になるよう注意し、興味深い内容にしたいと考えている(難しいかもしれないけれど)。 まぁ内容は思ったり考えたりしていることを書くだけだからイージーのはずだ。



例えばここに一枚の画像として最近のジェームス・ウエッブ・テレスコープが観測した木星のワイドビュー・イメージがあります。 この画像は、今までの見慣れた暖かいオレンジ色系の木星とは違い、よりリアルで斬新感があると思います。 木星の両極には、なんとオーロラとその反射光が見えています。 木星表面ではお馴染みの大赤斑は、太陽光を反射して白く見えているのも斬新ですね。



太陽から5番目の木星は、太陽系の中一番大きな惑星で実はリングもあります。 リングの明るさは木星の百万分の一程度なので撮影するのは簡単ではありません。 木星にある100個近くのムーンのうち2つが写っています、アマルティアとアドラステアです。 そして下の方をよく見ると遠くの銀河が見えます。 一枚の画像を観る上でより多くの情報が理解度の向上に役立つのは、殆どの画像に対して言えるでしょう。



ここで私がもっと天文学の知識があって、NASAの説明を翻訳するだけでなく、より興味深い解説をすれば、もっと面白い一枚の画像となるかもしれません。 勿論科学的写真と絵画とは存在の意味合いが違います。 例えが余り良くなかったかも知れませんが、見る対象への知識がより多くの情報を得るのに役立って、イマジネーションの枠も広がって、チョット大袈裟かもしれませんが、観る喜び知る喜びをより一層楽しめるでしょうし、人生の質も向上するでしょう。



自身の作品の説明をする必要はないと昔は思っていたので、いざ解説をするとなると、いったいどのようにしてよいのか分からない。 制作中はいろいろの事を考えるが、一過性のことで何を考えながら描いたのか、たいてい覚えていない。 そんな訳で、一応まぁ思い当たることを手始めに記して見ようかなと思う。
絵画の特徴の一つは、他の画像媒体の写真もそうだが、画像を見た瞬間に絵の持っている情報のほとんどを見て感じることが出来ることことかもしれない。 もっと解りやすく言えば、人の第一印象とか直感に似たような感じかなと思ったりする。



人の第一印象は、一瞬で感じてしまう。 そしてその後親しくなって長く知り合う関係になって、人格の観察時間が出来て違う評価になっても、最初の第一印象の記憶は、強いものがあるように思います。
意外と一瞬の決定の情報の方が、ゆっくり時間をかけて決めるより雑念が入る時間がないぶん物事の核心に近いのではないかと考えたりする。



印象というものは、人によってそれぞれで千差万別であるだろう。 ある程度の同一性はあっても同じ顔はないのと似ているだろう。 一つの絵を見ても同じことが言えるだろう。 見る人の知識教養や年齢差その他諸々の要因で違う印象を持つ可能性があるだろう。 そしてその印象を作る要因の一つが知識教養で、そのために作品のバックグラウンドや意図など作者からの情報をインプットできれば、より深い印象を持つことが出来るのではないかと思ったりする。



当方抽象画家の認識であるゆえ意外と写実的な静物画が少ない。 写実的な画は、それらしく描かねばと云うプレッシャーがあるので制作には疲れる。 この赤いスタジオ用のワーキング・チェアーは、丁度レイトンビルに引っ越してくる頃にサンフランシスコにあるアートショップでフラックスというお店が、当時はダウンタウンにあって、そこで2つ買って持って来たものです。



実はこの画は、日本に持っていって額縁を調達したと思う。 岡山でいつも額縁は母校操山高校の前にある株式会社日本フレーム製作所で額縁を作ってもらっている。 カリフォルニアのアトリエではレディメイドのモールディングを通販で買って自分で作るのだが、日本では道具がないのでお願いしている。



多分この画を額に入れている時にでた話だと思うが、この椅子はサンフランシスコのフラックスで買ったと言う話になって、すると日本フレーム製作所の大熊社長ご夫妻は声を揃えて、サンフランシスコのフラックスを知っているとおっしゃった。 なんと昔取引があったそうで、フラックスからの注文で額縁を卸していたいたそうだ。 フラックスの方から問い合わせが来たそうだから、当時よく調べたと思う。 多分今は台湾やメキシコからのやすい額縁を仕入れているのかもしれない。



椅子のバックグラウンドはさておき先ず最初の動機と言うか、画にしてみようと思った原因は、色と形、つまり人工的造形美が気に入ったからだと思う。 赤い椅子の肌地で光沢のある反射光を多く持った生地の表面とバックカバーの黒いプラスチックの造り出す立体曲面の面白さが気にいった。 私の作品では余り静物画は多くはないが、単にイスの造形美と色のバランスの美しさをキャプチャーし表現しているので構図もシンプルで解りやすいと思う。 背景は、これもイスが主役なのでシンプルでイスを引き立てる様な感じに必然的になって来る。



いずれにしてもシンプルなイスの静物画なので、これといって大した解説の必要はないだろう。 まさに説明の必要もない作品であるが、以上解説でこの絵を鑑賞するうえで少しでも面白みが増せば、報われるかも知れないと思ったりしている。

そして、この椅子は四半世紀後どうなったかと言うと、いまだに健在で背もたれは大分くたびれて来たけれど、まだ使っています。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする