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パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

インクルーシブ教育

2007年06月03日 | ノンジャンル
 障害がある子どもの進学先を実質的に振り分けている「障害児就学指導(支援)委員会」の廃止を、埼玉県東松山市が決めた。通常学級への受け入れを阻んできたといわれる組織だが、「廃止は全国でも聞いたことがない」(文部科学省)という。発案者で、ユニークな施策で知られる坂本祐之輔市長(五二)らに背景事情を聞いた。(橋本誠)

   東松山市で「就学指導委」廃止
 ◆「障害児も一緒が自然」
   本人に決定権、教委は抵抗


 「教育委員会はすごく反発した。『うるさくて、障害のない子どもが勉強する権利が損なわれる』と言うんです。じゃあ、障害のある子どもの権利はどうなるんですか」廃止に至る内幕を、坂本市長が熱っぽく語る。
 就学委は教員、医師、心理学者ら約二十人の専門家で構成。法律上の根拠はなく、文部科学省の通達に従って全国の地方自治体に設置されている。障害児が入学する際に親子と面談。通常学級、特別支援学級(旧特殊学級)、特別支援学校(旧盲・ろう・養護学校)の中から「適切な進学先」を「判定」している。
 これに従って地方自治体は保護者に「助言」するが、通常学級を希望しても、学校の設備や教員数を理由に実現しないケースが多い。

 文科省の二〇〇五年度の全国調査では、「特別支援が望ましい」とされた約一万六千人の84%が特別支援学校か特別支援学級に進んでいる。
 障害者の地域での自立を目指すNPO「DPI日本会議」(本部・東京)の尾上浩二事務局長によると、一九九三年に、障害がある子どもが通常学級進学を求める裁判を起こして以来、文科省は本人や保護者の意見を尊重するよう指導しているという。
 しかし、「実際は専門家から説得されると、そうでないとは言いにくい。鹿児島県で通常学級に入れなかった子どもが大阪府ですんなり受け入れられるなど、地域差もかなりある」と話す。

 ちなみに、障害者が地域で普通に暮らすノーマライゼーションを掲げる東松山市では、75%が地元の通常学級に通っている。坂本市長は「兄姉が地元の学校に行っているのに、バスで遠くの養護学校に通うのはおかしい。車いすの子どもがいたら、二階まで一緒に連れて行くような気持ちが東松山の先生や子どもにはある」とし、地域の実情に合わせた廃止と説明する。
 東松山市は今後、学校関係者だけでなく、保護者代表や社会福祉協議会の職員も加えた相談窓口を設置。情報提供や学校見学を行うが、進学先の「判定」はやめて、強制力のない「助言」しか行わないという。最終的な決定権は本人や保護者にあることを、はっきりさせる方針だ。六月市議会で条例改正案が通れば、七月にも運用が始まる。
 尾上事務局長は東松山市の措置について「より本人や保護者の希望に沿った形で学べるようになる。大きな一歩です。昨年、国連で採択された障害者権利条約に、障害のある子と、ない子が一緒に学ぶ『インクルーシブ教育』が盛り込まれたが、その理念に先んじている。普通学級でも介助員を置けるところまで進んでくれれば」と期待する。
 三十九歳で市長になった坂本市長は、加山雄三が大好きな"若大将"。「荒れる成人式」が問題になった〇二年には会場でバンド演奏を披露し、新成人と肩を組んで歌った。昨年も名産品やきとりの味を競う「全国やきとり文化サミット」を開催。
 定期的にごみ収集にも参加するなど、型にはまらない活動が注目される坂本市長だが、今回の件を、真剣に語る。「ある村長さんから『うちは教委の抵抗に遭ってできなかった』というメールが来た。不自然なことが全国で行われているんでしょう。子どものころから障害者と一緒に生活するのが本来の教育。そこから思いやりの気持ちも生まれてくる」

『東京新聞』(2007/6/2朝刊「ニュースの追跡」)

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