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安倍前首相「桜を見る会」懇親会で検察審査会「不起訴不当」

2021年08月02日 | 平和憲法
 ◆ 検察審査会、安倍晋三不起訴不当議決 (『前田朗blog』)
 令和3年東京第一検察審査会審査事件(申立)第8号
 申立書記載罪名 公職選挙法違反,政治資金規正法違反
 検察官裁定罪名 公職選挙法違反,政治資金規正法違反

 議決年月日 令和3年7月15日
 議決書作成年月日 令和3年7月28日

議  決  の  要  旨

 被 疑 者  安 倍 晋 三
 被 疑 者  配 川 博 之
 被 疑 者  阿 立 豊 彦
 被 疑 者  西 山   猛

 不起訴処分をした検察官 東京地方検察庁 検事  田 渕 大 輔
 議決書の作成を補助した審査補助員    弁護士  宇田川 博 史

 上記被疑者安倍晋三に対する公職選挙法違反,政治資金規正法違反被疑事件(東京地検令和2年検第18325号),被疑者配川博之に対する公職選挙法違反被疑事件(同第18326号),被疑者阿立豊彦に対する政治資金規正法違反被疑事件(同第18327号),被疑者西山猛に対する政治資金規正法違反被疑事件(同第32650号)につき,令和2年12月24目上記検察官がした不起訴処分の各当否に関し,当検察審査会は,上記審査申立人の申立てにより審査を行い,次のとおり議決する。
譜  決  の  趣  旨

 本件各不起訴処分は,

 1 被疑者安倍晋三について,

 (1)公職選挙法違反(後援団体関係寄附)及び政治資金規正法違反(晋和会代表者の会計責任者に対する選任監督責任)は不当である。
 (2)政治資金規正法違反(後援会の収支報告書不記載,晋和会の収支報告書不記載,晋和会代表者の重過失責任)については相当である。
 2 被疑者配川博之について,公職選挙法違反(後援団体関係寄附)は不当である。
 3 被疑者阿立豊彦について,政治資金規正法違反(後援会の収支報告書不記載)は相当である。
 4 被疑者西山猛について,政治資金規正法違反(晋和会の収支報告書不記載)は不当である。
議  決  の  理  由


 1 被疑事実

 (1)公職選挙法違反(後援団体関係寄附)

 都内のホテルで,桜を見る会に先立ち行われた「安倍晋三後援会桜を見る会前夜祭」において,選挙区内の後援会員に対し,飲食代金不足分を補てんしたことが後援団体関係寄附に当たるという被疑者安倍及び被疑者配川に対する公職選挙法違反
 (2)政治資金規正法違反(後援会の収支報告書不記載)

 前記前夜祭に関する収入及び支出を後援会の収支報告書に記載せず,選挙管理委員会に提出したという被疑者安倍及び被疑者阿立に対する政治資金規正法違反
 (3)政治資金規正法違反(晋和会の収支報告書不記載)

 前記前夜祭に関するホテルに支払うべき代金の補てん分として,後援会に代わり、晋和会が支払ったことにつき、晋和会の収支報告書に支出及び収入を記載せず,総務大臣に提出したという被疑者安倍及び被疑者西山に対する政治資金規正法違反
 (4)政治資金規正法違反(晋和会代表者の会計責任者に対する選任監督責任)
 被疑事実(3)事件につき,晋和会の会計責任者である被疑者西山の選任及び監督につき,相当の注意を怠ったという被疑者安倍に対する政治資金規正法違反
 (5)政治資金規正法違反(晋和会代表者の重過失責任)

 被疑事実(3)事件につき,重大な過失があったという被疑者安倍に対する政治資金規正法違反
 2 被疑者安倍及び被疑者配川に対する公職選挙法違反(後援団体関係寄附)について
 前夜祭における会費収入を上回る費用が発生し,その不足額を後援会側が補てんした事実が認められるものの,寄附を受けた側に,寄附を受けた認識があったことを認定する十分な証拠がないとする。
 しかしながら,寄附の成否は,あくまで個々に判断されるべきであり,一部の参加者の供述をもって,参加者全体について寄附を受けた認識に関する判断の目安をつけるのは不十分と言わざるを得ない。
 また,実際に提供された飲食物の総額を参加人数で除すると1人当たりの不足額は大した金額ではなく,参加者において不足分があることを認識し得なかったとも考えられるが,都心の高級ホテルで飲食するという付加価値も含まれているのであるから,単純に提供された飲食物の内容だけで寄附を受けたことの認識を判断するのは相当とは言えない。
 さらに,被疑者安倍の犯意について,不足額の発生や支払等について,秘書らと被疑者安倍の供述だけでなく,メール等の客観的資料も入手した上で,被疑者安倍の犯意の有無を認定すべきである
 以上のとおり、寄附を受けた側の認識及び被疑者安倍の犯意のいずれについても,十分な捜査を尽くした上でこれを肯定する十分な証拠がないとは言いがたく,不起訴処分の判断には納得がいかない。したがって,被疑者安倍及び被疑者配川両名とも不起訴処分は不当である。
 3 被疑者安倍及び被疑者阿立に対する政治資金規正法違反(後援会の収支報告書不記載)について
 被疑者安倍は,後援会の会計責任者でも会計責任者の職務を補佐する者でもなく,被疑者配川と意を通じ,後援会の収支報告書の不記載の罪を実行したと言えるような,共謀の事実を認定することは困難と思われるため,不起訴処分はやむを得ないと判断する。
 被疑者阿立については,仮にも内閣総理大臣の後援会の会計責任者という立場を自覚していたはずであり,責任を問われないことには納得がいかないが,犯意を認定することは困難であり,不起訴処分はやむを得ないと判断する。
 4 被疑者安倍及び被疑者西山に対する政治資金規正法違反(晋和会の収支報告書不記載)について
 前夜祭の主催者は後援会であるとしても,前夜祭の開催には,被疑者西山が主体的,実質的に関与していたと認められるから,晋和会による政治資金規正法違反(収支報告書の不記載)の事実が認められるか否かについては,慎重な捜査が行われなければならない。
 また,領収証は,一般的には宛名に記載された者が領収証記載の額を支払ったことの証憑とされるから,宛名となっていない者が支払ったという場合は,積極的な説明や資料提出を求めるべきであり,その信用性は,慎重に判断されるべきである。
 以上のとおり,晋和会の資金による支払があったかどうかについて,十分な捜査が尽くされているとは言いがたいため,不起訴処分の判断には納得がいかず,被疑者西山の不起訴処分は不当である。
 被疑者安倍については,今後捜査を尽くしても収支報告書の不記載につき,認識があったという証拠を入手できる見込みが大きいとは考えにくいことを踏まえ,不起訴処分は相当と判断する。
 5 被疑者安倍に対する政治資金規正法違反(晋和会代表者の会計責任者に対る選任監督責任,晋和会代表者の重過失責任)について
 前述のとおり,政治資金規正法違反(晋和会の収支報告書不記載)について,被疑者西山の不起訴処分は不当であり,今後,同事実に関し再検査が行われるのに併せて,被疑者安倍の会計責任者被疑者西山に対する選任監督に対する注意義務違反の有無の捜査も行われるべきであり,不起訴処分は不当である。
 なお,被疑者安倍の収支報告書不記載に関する重過失責任については,今後捜査を尽くしても重過失を裏付ける新たな証拠を入手できる見込みが大きいとは考えにくいことを踏まえ,不起訴処分は相当と判断する。
 6 まとめ

 よって,上記趣旨のとおり議決する。

 付言すれば,「桜を見る会」は税金を使用した公的な行事であるにもかかわらず,本来招待されるべき資格のない後援会の人達が多数参加しているのは事実であって,今後は,候補者の選定に当たっては,国民からの疑念が持たれないように,選定基準に則って厳格かつ透明性の高いものにしてもらいたい。
 また「桜を見る会前夜祭」の費用の不足分を現金で補てんしているが,現金の管理が杜撰であると言わざるをえず,そういった経費を政治家の資産から補てんするのであれば,その原資についても明確にしておく必要があると思われ,この点についても疑義が生じないように証拠書類を保存し,透明性のある資金管理を行ってもらいたい
 最後に,政治家はもとより総理大臣であった者が,秘書がやったことだと言って関知しないという姿勢は国民感情として納得できない。国民の代表者である自覚を持ち,清廉潔白な政治活動を行い,疑義が生じた際には,きちんと説明責任を果たすべきであると考える。
『前田朗blog』(FRIDAY, JULY 30, 2021)
http://maeda-akira.blogspot.com/2021/07/blog-post_30.html
 <これまでの経過>
 ※ 「桜を見る会」を追及する法律家の会・検察審査会申立
https://maeda-akira.blogspot.com/2021/02/blog-post_3.html
 ※ 「税金私物化を許さない市民の会」安倍晋三不起訴処分に抗して検察審査会申立
https://maeda-akira.blogspot.com/2021/01/blog-post_4.html
 ※ 桜を見る会疑惑刑事告発・東京地検「処分通知書」
https://maeda-akira.blogspot.com/2020/12/blog-post_26.html
 ※ 「桜を見る会」を追及する法律家の会、第2次告発状
https://maeda-akira.blogspot.com/2020/12/blog-post_32.html
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