◆ 米アカデミー賞 受賞スピーチにくぎ付け
タブーなし 社会的メッセージ訴え
米国のアカデミー賞授賞式で注目を集めるのは、賞の行方だけではない。受賞者がどんなスピーチをするかもファンの関心の的だ。二十二日にハリウヅドで開かれた第八十七回授賞式では、自殺未遂体験や男女の賃金格差、移民間題をめぐる発言が飛び出した。政治・社会的発言がタブー視されがちな日本の芸能界とは大違いだ。(鈴木伸幸)
◆ 若者へ 女性へ 移民へ 黒人へ
「最も印象的だった」と伝えた米メディアもあったのは脚色賞を受賞したグレアム・ムーアさんのスピーチだ。ナチス・ドイツの暗号を解読する男が主人公の「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」を脚色したムーアさんは意外な打ち明け話をした。
「私は十六歳の時に自殺未遂をした。自分が変わっていて、世の中に居場所がないと思い悩んだから。だけど、私は今、ここに立っている」
会場は静まり返り、ムーアさんが「自分が変わっていると感じても、そのままでいい。居場所は必ずある。そして、あなたの番が来たときに同じメッセージを伝えてほしい」と続けると大きな拍手が湧いた。
「6才のボクが、大人になるまで。」で主人公の少年の母親役を演じて助演女優賞に輝いたバトリシア・アークエットさんは男女の賃金格差を話題に。
「納税者となる子どもを産む女性の皆さんへ。今こそ、平等な賃金をもらうべき時です」と話すと、女優のメリル・ストリープさんやジェニファー・ロペスさんが「その通りだ」と声を上げた。
作品賞では、プレゼンターの俳優ショーン・ペンさんが受賞作が書かれた紙を見ながら「だれがやつにグリーンカード(永住権)を出したんだ?」とひとくさり。そしてメキシコ出身のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」と発表した。
イニャリトゥさんは監督賞も同時受賞。前年の監督賞も同国出身のアルフォンソ・キュアロンさんだったことから、イニャリトゥさんは「来年から政府は移民を制限するかもしれない」と返して笑いを誘った。
映画は人気の落ちた熟年男優の復活劇。イニャリトゥさんは、映画とは無関係にメキシコからの移民間題について話しだし「移民は古くからの住民と同じように、尊厳と尊敬をもって扱われるよう祈っている」とスピーチを締めた。
「博士と彼女のセオリー」で実在の物理学者で筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者でもあるステイーブン・ホーキング博士役を演じ、主演男優賞を受賞したエディ・レッドメインさんは「賞はALSと闘っている皆さんのものだ」。
物議を醸したのは、司会者のニール・バトリック・ハリスさんが冒頭で「ハリウッドでホワイテスト(最も白い)、いやブライテスト(最も輝いている)な人たちをたたえます」との発言。今回、候補となった俳優全員が白人だったことをやゆ椰楡した。
それに対抗した訳でもないが、公民権運動の指導者で凶弾に倒れたキング牧師を描いた「セルマ」の主題歌「グローリー」が歌曲賞を受賞し、それを歌った二人の黒人ジョン・レジェンドさんとコモンさんは公民権運動をたたえた上で、フランスでの「表現の自由」の戦いや香港の民主化運動についても言及。そうした活動への支持を表明した。
米社会に詳しい明治大の越智道雄名誉教授は「ハリウッドはロシア系ユダヤ人が多数派で多くが左派。政治的発言で仕事を干されるようなことは少なく、注目される場は、政治的なアピールの場にならざるをえない。戦後のマッカーシズム(赤狩り)でひどい目にあった映画人もいたし、政治的な立場をしっかりとする伝統がある」と解説した。
タブーなし 社会的メッセージ訴え
米国のアカデミー賞授賞式で注目を集めるのは、賞の行方だけではない。受賞者がどんなスピーチをするかもファンの関心の的だ。二十二日にハリウヅドで開かれた第八十七回授賞式では、自殺未遂体験や男女の賃金格差、移民間題をめぐる発言が飛び出した。政治・社会的発言がタブー視されがちな日本の芸能界とは大違いだ。(鈴木伸幸)
◆ 若者へ 女性へ 移民へ 黒人へ
「最も印象的だった」と伝えた米メディアもあったのは脚色賞を受賞したグレアム・ムーアさんのスピーチだ。ナチス・ドイツの暗号を解読する男が主人公の「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」を脚色したムーアさんは意外な打ち明け話をした。
「私は十六歳の時に自殺未遂をした。自分が変わっていて、世の中に居場所がないと思い悩んだから。だけど、私は今、ここに立っている」
会場は静まり返り、ムーアさんが「自分が変わっていると感じても、そのままでいい。居場所は必ずある。そして、あなたの番が来たときに同じメッセージを伝えてほしい」と続けると大きな拍手が湧いた。
「6才のボクが、大人になるまで。」で主人公の少年の母親役を演じて助演女優賞に輝いたバトリシア・アークエットさんは男女の賃金格差を話題に。
「納税者となる子どもを産む女性の皆さんへ。今こそ、平等な賃金をもらうべき時です」と話すと、女優のメリル・ストリープさんやジェニファー・ロペスさんが「その通りだ」と声を上げた。
作品賞では、プレゼンターの俳優ショーン・ペンさんが受賞作が書かれた紙を見ながら「だれがやつにグリーンカード(永住権)を出したんだ?」とひとくさり。そしてメキシコ出身のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」と発表した。
イニャリトゥさんは監督賞も同時受賞。前年の監督賞も同国出身のアルフォンソ・キュアロンさんだったことから、イニャリトゥさんは「来年から政府は移民を制限するかもしれない」と返して笑いを誘った。
映画は人気の落ちた熟年男優の復活劇。イニャリトゥさんは、映画とは無関係にメキシコからの移民間題について話しだし「移民は古くからの住民と同じように、尊厳と尊敬をもって扱われるよう祈っている」とスピーチを締めた。
「博士と彼女のセオリー」で実在の物理学者で筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者でもあるステイーブン・ホーキング博士役を演じ、主演男優賞を受賞したエディ・レッドメインさんは「賞はALSと闘っている皆さんのものだ」。
物議を醸したのは、司会者のニール・バトリック・ハリスさんが冒頭で「ハリウッドでホワイテスト(最も白い)、いやブライテスト(最も輝いている)な人たちをたたえます」との発言。今回、候補となった俳優全員が白人だったことをやゆ椰楡した。
それに対抗した訳でもないが、公民権運動の指導者で凶弾に倒れたキング牧師を描いた「セルマ」の主題歌「グローリー」が歌曲賞を受賞し、それを歌った二人の黒人ジョン・レジェンドさんとコモンさんは公民権運動をたたえた上で、フランスでの「表現の自由」の戦いや香港の民主化運動についても言及。そうした活動への支持を表明した。
米社会に詳しい明治大の越智道雄名誉教授は「ハリウッドはロシア系ユダヤ人が多数派で多くが左派。政治的発言で仕事を干されるようなことは少なく、注目される場は、政治的なアピールの場にならざるをえない。戦後のマッカーシズム(赤狩り)でひどい目にあった映画人もいたし、政治的な立場をしっかりとする伝統がある」と解説した。
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