▼ 【モニタリングポスト撤去】 (民の声新聞)
計画浮上から1年。予想外の「反対」続出に手詰まり?
計画撤回か一部撤去か、住民説明会後の新たな方向性打ち出せぬ原子力規制庁。
委員会での議論は早くて夏ごろ?

福島県内15市町村で行われた住民説明会。全ての会場で「撤去反対」、「継続配置」の声が相次いだ。複数の市町村議会から継続配置を求める意見書も提出されており、撤去計画はとん挫した状態になっている
「リアルタイム線量測定システム」と呼ばれるモニタリングポスト(MP)の撤去計画問題で、原子力規制庁がいまだに今後の方向性を打ち出せずにいる。昨年3月20日の原子力規制委員会で撤去計画が浮上、6月から11月にかけて福島県内15市町村で開かれた住民説明会では、いずれの会場でも反対意見が続出した。
規制庁側は住民に対し「2019年3月末までに今後の方向性を打ち出す」と答えていたが、計画の公表から1年が経っても委員会での議論にならない〝手詰まり〟の状態。
強気の国を住民が押し返した格好で、国の方向性がまとまるのは早くても夏ごろになりそうだ。
【規制庁「今後の見通し立っていない」】
「(規制委員会に議題として提示する時期は)まだ全然ですね。頂いたご意見を取りまとめて、今後の方向性をどうしようか、いろいろな所と調整をしながらやっている最中なんです。財政の問題も含めてです。いつ頃、今後の方針を示せるかという事については、全く見通しが立っていないというのが実際のところです」
原子力規制庁監視情報課の担当者は、電話取材に答えた。
今後、福島県や市町村の意見も改めて聴く予定だが、春の人事異動で担当職員が替わっている市町村もあり、スムーズには進んでいないという。
昨年の住民説明会では、当然ながら「ここで出された意見はいつ、どのような形で施策に反映されるのか」という質問も相次いだ。
それに対し、監視情報課の武山松次課長は
「そんなに時間をかけずに、来年3月ぐらいまでには、何とか、何か何らかの一定の方向性というんですかね、そういったものを検討しなければいけないのではないか」、
「来年3月までに方向性を出す」、
「来年3月に1年経ちますけれども、それを大体めどにですね、今までの住民説明会で出てきた意見を総括した上で、今後改めてどうすべきかということについて、原子力規制委員会でまた議論をしたいと思っている」
などと答えていた。
しかし、最後の住民説明会(福島県伊達郡国見町)から5カ月が経っても、規制庁は今後の方向性を打ち出せていない。福島県内の自治体職員の中には「早くて夏、場合によっては年内いっぱい要するのではないか」との見方があるほどだ。
福島市放射線モニタリングセンターの担当者は「都合良い日時を検討して欲しい、という依頼は規制庁からありました」としたうえで、「国との協議となると、やはり市長ないし部長が対応する必要があるので現在、日程を調整しているところです」と話した。
いわき市原子力対策課の担当者は「福島県内での住民説明会が終了した後に『3月をめどに新たな方針案を規制委員会に諮ろうと思っています』という趣旨のメールは規制庁から届いたが、その後は何も連絡はありません。新たな方針案が固まったら、市町村に何も事前説明も無しに規制委員会に諮るとは思えないので、何らかの連絡はあるはずですね。住民説明会ではあれだけ『継続配置』を求める声が多かったので、そうなってくれれば良いのですが…」と答えている。
【「撤去反対」続出した住民説明会】
避難指示が出されなかった地域の約2400台を2021年3月末までに撤去し帰還困難区域を中心とした避難指示区域に移設する─。原子力規制庁は当初、MP撤去には強気の姿勢を見せていた。
撤去計画が議題となったのは、2018年3月20日の第74回原子力規制委員会。委員から異論は出ず、更田豊志委員長が「(資料に)記されている方針の通りに進めてもらおうと思います」と述べて約16分間で締めくくった。
その直後の電話取材に対し、原子力規制庁監視情報課の担当者は
「反対意見は不安など感情的なものが大きく占めているようだ。住民説明会では、空間線量がもはや全国水準にまで下がっている事、子どもたちの健康影響を心配する必要は無い事、リアルタイム線量計は役目を終えた事をきちんと説明して不安を解消したい」、
「設置するだけで年間3億円、維持費や通信費なども含めると年間5億円を超える税金が投入されている。国の復興特別会計の中の借金で賄われており、財務省や会計検査院には『将来の納税者に負担させて良いのか』との意見もある」
などと語っている。
住民説明会は行うが撤去計画は粛々と進める。それが本音だった。事前の文書照会では福島県内の市町村からも異論が多く出されていたが、撤去は〝既定路線〟だった。
しかし、6月25日(福島県南会津郡只見町)から始まった住民説明会では撤去に反対する声が続出。原発事故後の国の対応への不満や日頃の放射線への不安などが一気に噴出した格好になり、規制庁側も慎重に進めざるを得なくなった。
撤去ありきで形式的な住民説明会なのではないか、との不信感も複数の会場で口にされた。
撤去計画に危機感を抱いた主婦たちが立ち上がり、市民グループ「モニタリングポストの継続配置を求める市民の会」を結成。
継続配置を求める署名集めや原子力規制庁への申し入れ、福島市、いわき市、会津若松市など地元の首長に対する要請書の提出などに取り組んできた。署名は福島県内外から寄せられ、3万5000筆を超えた。
福島県放射線監視室の酒井広行室長は「規制庁としては3月の委員会での委員長報告を目指していたが、〝次の一手〟を打ち出すに至っていない状態のようだ。あれだけ撤去反対が相次いだ中で、新たな具体案が無ければ委員会で説明出来ないですから」と語る。
「全ての市町村を廻るのは難しいので、福島市や郡山市、いわき市など主要な自治体の首長と面会し県にも相談して、新たな案が受け入れられるかを見極めた上で委員会に諮る事になるでしょう。どんなに早くても、動き出すのは10連休明けか6月議会前後になるでしょうね。場合によってはもっと時間を要する可能性すらあります」。
【市民の会「継続配置求めて行く」】
市民グループ「モニタリングポストの継続配置を求める市民の会」は、次のようなコメントを本紙に寄せた。
「リアルタイム線量測定システム(モニタリングポスト)撤去問題に関し、規制庁が『3月をめどにお示しする』としていましたが、現在に至っても何ら発表はありません。復興庁の後継組織は設置されるようですので、関連法案が出される次期通常国会で具体的な施策が決まる中で、今後の方向性を示してくるのではないかと考えてます。規制委員会には、福島県内各地で行われた住民説明会で相次いだ『継続配置』の要望を真摯に受け止めて頂きたいと望んでます。そのためにも、私たちは今後も変わらず、『継続配置』を求める声を国に届けていくつもりで動いております。
署名はいったん締め切り、原子力規制庁に提出しましたが、その後も続々と届けられています。次期通常国会開催前には、新たに集まった署名を規制庁へ提出出来ると思います。また、撤去計画や今後について問い合わせが多く寄せられている事から、福島県内各地で対話の場を設けていくための準備も進めています。原発事故から8年が経過したことで様々な問題が浮き彫りになっていますが、モニタリングポストの撤去問題に関しては、多くの人が特に身近な問題として捉えているようです。
一方で、県議会に提出した『継続配置を求める請願』は未だに審議すらされていません。多くの市町村議会が継続配置や撤去反対を求めた意見書を国に提出したにも関わらず、県議会では審議すら行われない。県民の声が議会に反映されてないのではないでしょうか?今秋には県議会議員選挙が行われます。モニタリングポストの撤去計画をどう捉えているのか、改めて候補者に質していく予定です」
(了)
『民の声新聞』(2019/04/18)
http://taminokoeshimbun.blog.fc2.com/blog-entry-321.html
計画浮上から1年。予想外の「反対」続出に手詰まり?
計画撤回か一部撤去か、住民説明会後の新たな方向性打ち出せぬ原子力規制庁。
委員会での議論は早くて夏ごろ?

福島県内15市町村で行われた住民説明会。全ての会場で「撤去反対」、「継続配置」の声が相次いだ。複数の市町村議会から継続配置を求める意見書も提出されており、撤去計画はとん挫した状態になっている
「リアルタイム線量測定システム」と呼ばれるモニタリングポスト(MP)の撤去計画問題で、原子力規制庁がいまだに今後の方向性を打ち出せずにいる。昨年3月20日の原子力規制委員会で撤去計画が浮上、6月から11月にかけて福島県内15市町村で開かれた住民説明会では、いずれの会場でも反対意見が続出した。
規制庁側は住民に対し「2019年3月末までに今後の方向性を打ち出す」と答えていたが、計画の公表から1年が経っても委員会での議論にならない〝手詰まり〟の状態。
強気の国を住民が押し返した格好で、国の方向性がまとまるのは早くても夏ごろになりそうだ。
【規制庁「今後の見通し立っていない」】
「(規制委員会に議題として提示する時期は)まだ全然ですね。頂いたご意見を取りまとめて、今後の方向性をどうしようか、いろいろな所と調整をしながらやっている最中なんです。財政の問題も含めてです。いつ頃、今後の方針を示せるかという事については、全く見通しが立っていないというのが実際のところです」
原子力規制庁監視情報課の担当者は、電話取材に答えた。
今後、福島県や市町村の意見も改めて聴く予定だが、春の人事異動で担当職員が替わっている市町村もあり、スムーズには進んでいないという。
昨年の住民説明会では、当然ながら「ここで出された意見はいつ、どのような形で施策に反映されるのか」という質問も相次いだ。
それに対し、監視情報課の武山松次課長は
「そんなに時間をかけずに、来年3月ぐらいまでには、何とか、何か何らかの一定の方向性というんですかね、そういったものを検討しなければいけないのではないか」、
「来年3月までに方向性を出す」、
「来年3月に1年経ちますけれども、それを大体めどにですね、今までの住民説明会で出てきた意見を総括した上で、今後改めてどうすべきかということについて、原子力規制委員会でまた議論をしたいと思っている」
などと答えていた。
しかし、最後の住民説明会(福島県伊達郡国見町)から5カ月が経っても、規制庁は今後の方向性を打ち出せていない。福島県内の自治体職員の中には「早くて夏、場合によっては年内いっぱい要するのではないか」との見方があるほどだ。
福島市放射線モニタリングセンターの担当者は「都合良い日時を検討して欲しい、という依頼は規制庁からありました」としたうえで、「国との協議となると、やはり市長ないし部長が対応する必要があるので現在、日程を調整しているところです」と話した。
いわき市原子力対策課の担当者は「福島県内での住民説明会が終了した後に『3月をめどに新たな方針案を規制委員会に諮ろうと思っています』という趣旨のメールは規制庁から届いたが、その後は何も連絡はありません。新たな方針案が固まったら、市町村に何も事前説明も無しに規制委員会に諮るとは思えないので、何らかの連絡はあるはずですね。住民説明会ではあれだけ『継続配置』を求める声が多かったので、そうなってくれれば良いのですが…」と答えている。
【「撤去反対」続出した住民説明会】
避難指示が出されなかった地域の約2400台を2021年3月末までに撤去し帰還困難区域を中心とした避難指示区域に移設する─。原子力規制庁は当初、MP撤去には強気の姿勢を見せていた。
撤去計画が議題となったのは、2018年3月20日の第74回原子力規制委員会。委員から異論は出ず、更田豊志委員長が「(資料に)記されている方針の通りに進めてもらおうと思います」と述べて約16分間で締めくくった。
その直後の電話取材に対し、原子力規制庁監視情報課の担当者は
「反対意見は不安など感情的なものが大きく占めているようだ。住民説明会では、空間線量がもはや全国水準にまで下がっている事、子どもたちの健康影響を心配する必要は無い事、リアルタイム線量計は役目を終えた事をきちんと説明して不安を解消したい」、
「設置するだけで年間3億円、維持費や通信費なども含めると年間5億円を超える税金が投入されている。国の復興特別会計の中の借金で賄われており、財務省や会計検査院には『将来の納税者に負担させて良いのか』との意見もある」
などと語っている。
住民説明会は行うが撤去計画は粛々と進める。それが本音だった。事前の文書照会では福島県内の市町村からも異論が多く出されていたが、撤去は〝既定路線〟だった。
しかし、6月25日(福島県南会津郡只見町)から始まった住民説明会では撤去に反対する声が続出。原発事故後の国の対応への不満や日頃の放射線への不安などが一気に噴出した格好になり、規制庁側も慎重に進めざるを得なくなった。
撤去ありきで形式的な住民説明会なのではないか、との不信感も複数の会場で口にされた。
撤去計画に危機感を抱いた主婦たちが立ち上がり、市民グループ「モニタリングポストの継続配置を求める市民の会」を結成。
継続配置を求める署名集めや原子力規制庁への申し入れ、福島市、いわき市、会津若松市など地元の首長に対する要請書の提出などに取り組んできた。署名は福島県内外から寄せられ、3万5000筆を超えた。
福島県放射線監視室の酒井広行室長は「規制庁としては3月の委員会での委員長報告を目指していたが、〝次の一手〟を打ち出すに至っていない状態のようだ。あれだけ撤去反対が相次いだ中で、新たな具体案が無ければ委員会で説明出来ないですから」と語る。
「全ての市町村を廻るのは難しいので、福島市や郡山市、いわき市など主要な自治体の首長と面会し県にも相談して、新たな案が受け入れられるかを見極めた上で委員会に諮る事になるでしょう。どんなに早くても、動き出すのは10連休明けか6月議会前後になるでしょうね。場合によってはもっと時間を要する可能性すらあります」。
【市民の会「継続配置求めて行く」】
市民グループ「モニタリングポストの継続配置を求める市民の会」は、次のようなコメントを本紙に寄せた。
「リアルタイム線量測定システム(モニタリングポスト)撤去問題に関し、規制庁が『3月をめどにお示しする』としていましたが、現在に至っても何ら発表はありません。復興庁の後継組織は設置されるようですので、関連法案が出される次期通常国会で具体的な施策が決まる中で、今後の方向性を示してくるのではないかと考えてます。規制委員会には、福島県内各地で行われた住民説明会で相次いだ『継続配置』の要望を真摯に受け止めて頂きたいと望んでます。そのためにも、私たちは今後も変わらず、『継続配置』を求める声を国に届けていくつもりで動いております。
署名はいったん締め切り、原子力規制庁に提出しましたが、その後も続々と届けられています。次期通常国会開催前には、新たに集まった署名を規制庁へ提出出来ると思います。また、撤去計画や今後について問い合わせが多く寄せられている事から、福島県内各地で対話の場を設けていくための準備も進めています。原発事故から8年が経過したことで様々な問題が浮き彫りになっていますが、モニタリングポストの撤去問題に関しては、多くの人が特に身近な問題として捉えているようです。
一方で、県議会に提出した『継続配置を求める請願』は未だに審議すらされていません。多くの市町村議会が継続配置や撤去反対を求めた意見書を国に提出したにも関わらず、県議会では審議すら行われない。県民の声が議会に反映されてないのではないでしょうか?今秋には県議会議員選挙が行われます。モニタリングポストの撤去計画をどう捉えているのか、改めて候補者に質していく予定です」
(了)
『民の声新聞』(2019/04/18)
http://taminokoeshimbun.blog.fc2.com/blog-entry-321.html
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