パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

再任用打ち切りという「君が代」不起立者への思想差別

2022年04月16日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ◆ “君が代”不起立で再任用打ち切り
   ~都教委、貴重な「人財」を奪う
(週刊新社会)
取材・文=永野厚男・教育ジャーナリスト

"君が代不起立処分歴"を理由に都教委から再任用を打切られ、支援者らに経過報告する
川村佐和さん(左は澤藤統一郎・平松真二郎弁護士)/撮影・永野厚男

 対東京都教育委員会"君が代"処分撤回訴訟を闘う都立学校現・元教職員ら4団体が3月31日、都内で「卒業式総括集会」を開き、約70人が参加した。
 都立高の川村佐和教諭は2016年3月、卒業式"君が代"不起立で戒告処分。18年度末60歳の定年を迎えた。
 都の制度では65歳まで再任用で働けるが、都教委の落合真人(まさと)選考課長(当時)は19年1月24日、川村さんの勤務校の男性校長宛、「被処分者は再任用職員としての資質に欠け、公的年金支給の63歳の年度末でクビ切り」と宣告メール。同校長が「怒っていいよ」と言う冷酷な内容だ。
 落合氏の後任・荒木進太郎氏もこの後3年連続、同内容をメールし続け、昨年4月着任の女性校長は、都教委の再任用選考実施通知の定める面接を実施しないまま、今年1月19日、都教委からの「不合格」を通告した
 川村さんは生徒たちと文化祭の企画・運営に取り組み、校門アーチ作り等も行った。平和学習を含む現代文、古典とも授業が分かり易いと生徒に好評だ。
 3月25日の終業式兼離任式で退職が公になると、生徒は驚き「先生がいないなら生徒会に立候補しない。文化祭実行委員になりません」という声が。
 離任式後「退職理由」を問う生徒たちに、川村さんが"君が代"不起立の理由を話すと、「今まで卒業式等で何も考えず起立してきたけど、先生は深い考えで行動したんですね」と語る生徒もいた。
 都教委の国家主義思想が、貴重な「人財」を生徒から奪ったのだ。

『週刊新社会』(2022年4月20日)


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 ※ 『パワー・トゥ・ザ・ピープル!! パート2』の読者の皆様に、筆者の永野厚男(教育ジャーナリスト)から『週刊新社会』の記事本文では、紙幅の関係で載せられなかった情報を5点、皆様に追加で情報提供します。
 〇 追加取材情報1

 「川村さんは生徒たちと文化祭の企画・運営に取り組み、校門アーチ作り等も行った。」について
         ↓
 文化祭開催は2021年9月21日・22日だったが、川村さんは生徒たちと一緒に夏休み前から取り組んでおられた。
 〇 追加取材情報2

 「平和学習含む現代文、古典とも授業が分かり易いと生徒に好評だ。」について
         ↓
 都教委の都立学校教育部・教育改革推進担当部長の佐藤聖一氏と都立高校改革企画調整担当課長の光永功嗣氏は、2022年4月14日の都教育委員会定例会に『都立高校の現状把握に関する調査の結果について』なる文書を報告事項として出し、同日HPに掲載した。
 その全体版の10頁「結果の概要⑨、都立高校在学生対象」の「ク 今通っている高校の先生に対する印象」で、都教委は「2011年→2016年→2021年」の数値を示し、
 ――質問各項目において、「そう思う」「多少そう思う」の割合が増加――
 と誇らしげに記述している。

 その質問項目は、①教育に熱心である、②信頼できる、③生徒をよく理解している、④授業が上手である、⑤部活動の指導に熱心である、⑥保護者とよく連絡をとっている、の6つだ。
 筆者は"10・23"通達以降20年近い、「裁判の法廷や閉廷後の集会、記者会見、都教委の"再発防止"と称するいじめ懲罰"研修と抗議集会"、毎年3月の報告集会」等での取材を通し、川村さんはこの①~⑥において、全都立高校で最高の評価を得られる教員の一人だ、と確信している。
 一方、都教委の指導主事の多くや、都教委の言いなりで動くことの多い(副)校長らが現場教員時代に、この①~⑥において、生徒から高い評価を得られていたか否かは、調査そのものがなさそうで、全く不明だ。
 〇 追加取材情報3

 都教委の選考課長(当時)として2019年1月24日、川村さんの勤務校の校長宛、「被処分者は再任用職員としての資質に欠け、公的年金支給の63歳の年度末でクビ切り」と、冷酷な宣告メール(いわゆる事前通知メール)を送信した落合真人(まさと)氏と、20年・21年・21年の1月に同内容の宣告メールを送信した荒木進太郎氏の、その後の"出世"について。
         ↓
 落合真人氏は19年4月1日付で都立学校教育部・高校教育課長("統括課長"職)に、22年4月1日からは都立学校教育部・特別支援教育推進担当部長に"出世"した。
 19年4月1日~22年3月31日の3年間、選考課長だった荒木進太郎氏は、21年4月1日~22年3月31日の1年間は"統括課長"職に"出世"した。そして22年4月1日付で地域教育支援部・生涯学習課長("統括課長"職)になった。
 彼らの"出世"に対しては、「"君が代"という国家主義思想絡みで、東京の貴重な『人財』である不起立の教員を雇い止めにし、それを"踏み台"に自分たちは"出世"しているのではないか」と批判する人が少なくない。
 〇 追加取材情報4

 離任式後「退職理由」を質問してきた生徒たちに、川村さんが"君が代"不起立の理由を話した時の、生徒の反応等について。
         ↓
 筆者が川村さんに取材すると、「今まで卒業式等で何も考えず起立してきたけど、そういうことがあったんですね。先生は深い考えで行動したんですね」と語る生徒もいた、ということである。
 「そういうこと」とは、川村さんがこの生徒たちに、
――"国旗・国歌法制定"前までは都立高校の卒業・入学式に"君が代"はほとんどなかった(日の丸も舞台壇上正面への張り付けではなく目立たない掲揚だった)。それは日の丸・"君が代"過去、侵略戦争の象徴として使われた歴史を持っているから。
/しかし都教委は99年の第1次通達で"君が代"を強制。03年の第2次の"10・23通達"を出して強制を強め、"君が代"斉唱時に起立しないと教員は処分されるようになった。川村さんは強制は間違っていると考え、起立せず、処分され、解雇、つまり再任用雇い止めにされた。――
 という趣旨の説明をした事実を指す。
 「今まで(中学校までの)卒業式等で何も考えず"君が代"時に起立してきた、という生徒たち」が、川村さんのこの話を聞いて、自分の頭で「天皇の歌を強制してくる文科省や都教委の官僚の政策が良いか悪いか」を考え、主体的に判断し、来年の卒業式では「多くの生徒が不起立してくれるといいなあ」と、筆者は願っている。
 〇 追加取材情報5

 昨年(21年)4月着任の女性校長(都教委の再任用選考実施通知の定める面接を実施しなかった人物)について
         ↓
 『週刊新社会』2022年4月20日には紙幅の関係で(字数制限があるので)、最終段落に載せられなかった情報を、皆さんにお伝えする。川村さんによると、前記・女性校長は最後の職員会議で「今年度は服務事故なく無事終わりました」と述べる等、生徒より都教委の方を向いた人物だという。
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