◎ 日本は101番目の
女性差別撤廃条約・選択議定書批准国になれるのか
~男女平等を求め、国連女性差別撤廃委員会シモノヴィッチ委員をJNNCが招聘
昨年7月に国連女性差別撤廃委員会において第6次の日本政府報告が審議された。この審議に向け2008年夏に日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)の活動が再開され、NGOレポートを提出し、ニューヨークには84名もの女性たちがロビーイングや審議傍聴に参加した。翌8月には委員会から日本に対し厳しい内容の総括所見が出され、その中の2項目(民法改正と雇用・学界・政治・公的活動分野の女性の参加を引き上げるための暫定的特別措置の実施)がフォローアップ項目となり、2011年8月までに進行状況の報告が求められた。
JNNCはフォローアップ項目の実現を目指し、日本のフォローアップ担当となったシモノヴィッチ委員(クロアチア)を招購し、多くの団体・個人の協力を得て8月27日から9月5日の訪問が実現した。
シモノヴィッチさんは8月28日、国立女性教育会館でのNWECフォーラム・ワークショップ「国連女性差別撤廃委員と語る日本の課題」を皮切りに、大阪のWWN、内閣府の聞く会、日弁連両性の平等委員会、福島県男女共生センターによる5回の講演を行い、その間に法務省事務次官、内閣府特命担当玄葉大臣(当時)、外務省西村政務官(当時)を表敬訪問し、選択議定書批准やフォローアップ項目の実現を要請した。9月2日には参議院議員会館で記者会見も行った。
2003年と2009年の2回日本政府報告審議を担当したシモノヴィッチさんは、ヌエックでの講演で、
・女性差別撤廃条約が目指すものは、締約国やその機関、あらゆる個人や団体の作為や不作為の結果生まれた、あらゆる形態の女性に対する差別を撤廃することであり、
・新たに導入したフォローアップ手続きによって、締約国に対して2年以内にどのような措置を取ったかを報告するよう求めている
・フォローアップ手続きでは、NGOにもシャドーレポートの提出を求めており、NGOの役割が大きい
・2009年の総括所見で懸念とされたのは、03年に懸念とされたことが十分に実行されていないことであり、具体的には条約に沿った差別の定義の欠如、民法に残る差別的規定、本条約の認知度、労働の場における女性の状況と女性への賃金差別、選挙で選ばれる高いレベルの機関への女性の参加が低いことなどが取り組まれていないことなどである
・委員会は、本条約を女性における差別撤廃分野における最も重要な法的拘束力を持つ国際文書として認識することと、条約が完全に国内法に組み込まれることを求めた
・第3次男女共同参画基本計画の策定は、女性に対する差別を撤廃し、女性の地位向上を加速させるために条約を活用する機会であり、政府がフォローアップ勧告の実施を優先事項として具体的な立法その他適切な措置によって委員会の総括所見に、取り組むことが必要
・重要なのは選択議定書の批准を含め達成された成果が、日本の女性の日々の生活に反映されることであり、日本の女性たちは条約批准から25年たった今、条約のもとで日本が負っている義務にしたがって、自らの権利を完全に保獲されるに値する
と明快に語り、会場からの質疑にも丁寧に答えてくれた。
ヌエックワークショップには元男女共同参画担当大臣の福島みずほ議員も参加し、会場は全国からの参加者でいっぱいだった。
国連女性差別撤廃委員会から再三要講されている選択議定書の批准は、シモノヴィッチさん来日当時は99力国であったが、10月にカンボジアが100番目の批准国となった。
JNNCは12月9日岡崎男女共同参画担当大臣、10日に小宮山厚労副大臣に面会し、選択議定書批准とフォローアップ項目の実施を要請した。政権交代後の日本が性差別をなくす国になれるのか、来年8月7日の期限まであと半年余りとなったフォローアップ項目に関する政府報告や動きに注目していこう。
このシモノヴィッチさん招聘活動の記録が近々完成する。5か所の講演文書の翻訳、記者会見の記録、女性差別撤廃委員会が今年発表した「女性差別撤廃委員会と国会議員の関係に関する声明」、「非政府組織との関係に関する女性差別撤廃委員会の声明」の翻訳など資料も充実している。是非読んでほしい。
◎ 第3次男女共同参画基本計画が年末にも決定される
福島みずほ議員が大臣として精力的に取り組んでくれた第3次男女共同参画基本計画はこの年末にも閣議決定される。7月23日の首相あて答申「第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的考え方」に基づくものだ。
答申の「基本的な考え方」、目指すべき社会には①固定的性別役割分担意識をなくした男女平等な社会、②男女の人権が尊重され、尊厳を持って個人が生きることのできる社会、③男女が個性と能力を発揮することによる多様性に富んだ活力ある社会、④男女共同参両に関して国際的な評価を得られる社会が、記載されている。
労働関連では、施策の基本的方向としてILO100号条約(同一価値労働同一報酬)の趣旨を踏まえ、男女間の賃金格差の解消をはかることが明記され、具体的取組みには「職務評価手法等の研究開発を進める」、また非正規雇用関連では、「同一価値労働同一賃金の実現に向けて、法整備も含めて具体的な取組み方法を検討する」、ポジティブ・アクションの推進では「公共調達において労働関係等各種法令の遵守のみならず、賃金も含めた適正な労働条件の確保、男女共同参画への積極的な取組等を受託企業の条件とすることについて法整備を検討する」、多様な生き方への支援では「配偶者控除の縮小・廃止を含めた税制の見直しの検討を進める」ことなどが提起されている。
パート女性の低賃金の背景には性役割分担意識にのった配偶者控除の存在がある。その見直しが延期されるとの報道がなされているが、性差別のない社会実現には個人単位の税制・社会保障の仕組みが必要だ。(注:2010/12/17に閣議決定された)
『労働情報』(806,807号 2011/1/1,15)
女性差別撤廃条約・選択議定書批准国になれるのか
~男女平等を求め、国連女性差別撤廃委員会シモノヴィッチ委員をJNNCが招聘
柚木康子●全石油昭和シェル労組副委員長・JNNC世話人
昨年7月に国連女性差別撤廃委員会において第6次の日本政府報告が審議された。この審議に向け2008年夏に日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)の活動が再開され、NGOレポートを提出し、ニューヨークには84名もの女性たちがロビーイングや審議傍聴に参加した。翌8月には委員会から日本に対し厳しい内容の総括所見が出され、その中の2項目(民法改正と雇用・学界・政治・公的活動分野の女性の参加を引き上げるための暫定的特別措置の実施)がフォローアップ項目となり、2011年8月までに進行状況の報告が求められた。
JNNCはフォローアップ項目の実現を目指し、日本のフォローアップ担当となったシモノヴィッチ委員(クロアチア)を招購し、多くの団体・個人の協力を得て8月27日から9月5日の訪問が実現した。
シモノヴィッチさんは8月28日、国立女性教育会館でのNWECフォーラム・ワークショップ「国連女性差別撤廃委員と語る日本の課題」を皮切りに、大阪のWWN、内閣府の聞く会、日弁連両性の平等委員会、福島県男女共生センターによる5回の講演を行い、その間に法務省事務次官、内閣府特命担当玄葉大臣(当時)、外務省西村政務官(当時)を表敬訪問し、選択議定書批准やフォローアップ項目の実現を要請した。9月2日には参議院議員会館で記者会見も行った。
2003年と2009年の2回日本政府報告審議を担当したシモノヴィッチさんは、ヌエックでの講演で、
・女性差別撤廃条約が目指すものは、締約国やその機関、あらゆる個人や団体の作為や不作為の結果生まれた、あらゆる形態の女性に対する差別を撤廃することであり、
・新たに導入したフォローアップ手続きによって、締約国に対して2年以内にどのような措置を取ったかを報告するよう求めている
・フォローアップ手続きでは、NGOにもシャドーレポートの提出を求めており、NGOの役割が大きい
・2009年の総括所見で懸念とされたのは、03年に懸念とされたことが十分に実行されていないことであり、具体的には条約に沿った差別の定義の欠如、民法に残る差別的規定、本条約の認知度、労働の場における女性の状況と女性への賃金差別、選挙で選ばれる高いレベルの機関への女性の参加が低いことなどが取り組まれていないことなどである
・委員会は、本条約を女性における差別撤廃分野における最も重要な法的拘束力を持つ国際文書として認識することと、条約が完全に国内法に組み込まれることを求めた
・第3次男女共同参画基本計画の策定は、女性に対する差別を撤廃し、女性の地位向上を加速させるために条約を活用する機会であり、政府がフォローアップ勧告の実施を優先事項として具体的な立法その他適切な措置によって委員会の総括所見に、取り組むことが必要
・重要なのは選択議定書の批准を含め達成された成果が、日本の女性の日々の生活に反映されることであり、日本の女性たちは条約批准から25年たった今、条約のもとで日本が負っている義務にしたがって、自らの権利を完全に保獲されるに値する
と明快に語り、会場からの質疑にも丁寧に答えてくれた。
ヌエックワークショップには元男女共同参画担当大臣の福島みずほ議員も参加し、会場は全国からの参加者でいっぱいだった。
国連女性差別撤廃委員会から再三要講されている選択議定書の批准は、シモノヴィッチさん来日当時は99力国であったが、10月にカンボジアが100番目の批准国となった。
JNNCは12月9日岡崎男女共同参画担当大臣、10日に小宮山厚労副大臣に面会し、選択議定書批准とフォローアップ項目の実施を要請した。政権交代後の日本が性差別をなくす国になれるのか、来年8月7日の期限まであと半年余りとなったフォローアップ項目に関する政府報告や動きに注目していこう。
このシモノヴィッチさん招聘活動の記録が近々完成する。5か所の講演文書の翻訳、記者会見の記録、女性差別撤廃委員会が今年発表した「女性差別撤廃委員会と国会議員の関係に関する声明」、「非政府組織との関係に関する女性差別撤廃委員会の声明」の翻訳など資料も充実している。是非読んでほしい。
◎ 第3次男女共同参画基本計画が年末にも決定される
福島みずほ議員が大臣として精力的に取り組んでくれた第3次男女共同参画基本計画はこの年末にも閣議決定される。7月23日の首相あて答申「第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的考え方」に基づくものだ。
答申の「基本的な考え方」、目指すべき社会には①固定的性別役割分担意識をなくした男女平等な社会、②男女の人権が尊重され、尊厳を持って個人が生きることのできる社会、③男女が個性と能力を発揮することによる多様性に富んだ活力ある社会、④男女共同参両に関して国際的な評価を得られる社会が、記載されている。
労働関連では、施策の基本的方向としてILO100号条約(同一価値労働同一報酬)の趣旨を踏まえ、男女間の賃金格差の解消をはかることが明記され、具体的取組みには「職務評価手法等の研究開発を進める」、また非正規雇用関連では、「同一価値労働同一賃金の実現に向けて、法整備も含めて具体的な取組み方法を検討する」、ポジティブ・アクションの推進では「公共調達において労働関係等各種法令の遵守のみならず、賃金も含めた適正な労働条件の確保、男女共同参画への積極的な取組等を受託企業の条件とすることについて法整備を検討する」、多様な生き方への支援では「配偶者控除の縮小・廃止を含めた税制の見直しの検討を進める」ことなどが提起されている。
パート女性の低賃金の背景には性役割分担意識にのった配偶者控除の存在がある。その見直しが延期されるとの報道がなされているが、性差別のない社会実現には個人単位の税制・社会保障の仕組みが必要だ。(注:2010/12/17に閣議決定された)
『労働情報』(806,807号 2011/1/1,15)
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