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教科書を政府の広報誌に変える新基準

2014年03月17日 | こども危機
  《子どもと教科書全国ネット21ニュース》から
 ◆ 暴走!また暴走! 安倍政権の「教育再生」政策
俵 義文 子どもと教科書全国ネット21事務局長

 ◆ 文科省が教科書検定基準の改定を告示
 文科省は1月17日に小・中学校社会科(高校は地歴・公民)の教科書検定基準の改定を官報に告示しました。自民党・教育再生実行本部・教科書検定の在り方特別部会(主査・萩生田光一安倍総裁補佐)が13年6月25日に出した「中間まとめ」に基づいて下村文科相が11月15日に発表した「教科書改善実行プラン」を受けて文科省が検定基準などの改定案を作成し、教科用図書検定調査審議会(教科書検定審議会)が11月22日と12月20日のたった2回の会議で改定案を了承しました。
 20日の検定審議会では、委員の山上和雄国学院大学教授が強い反対意見を述べたが杉山武彦会長(成城大学教授)がそれを無視して了承を宣言しました。
 文科省は12月25日~1月14日にパブリックコメントの募集を行い、6000件以上あったパブコメの意見などは無視して検定基準の改定を告示しました。
 歴史の事実を教科書から消す検定基準改定改定した検定基準は、
 ①未確定な時事的事象について、特定の事柄を強調しないこと、
 ②近現代の歴史的事象のうち、通説的な見解がない数字などの事項については、通説的な見解がないことを明示し、子どもが誤解するおそれのある表現をしないこと、
 ③閣議決定などの政府の統一的な見解や最高裁判所の判例に基づいて記述すること、です。
 「未確定な時事的事象」「特定の事柄」などは何を指すのか、またどのように書けば「強調」したことになるのか、これらを誰が、何を基準に判断するのか、きわめて曖昧で抽象的な基準です。
 文科省は「検定審議会が判断する」といいますが、これまでの検定実態からみれば実際に判断するのは教科書調査官(検定官)でしょう。
 判断する側が「特定の考え」にもとついて判断する危険性がつきまとう、歯止めのない基準です。
 また、「何が通説か」「通説があるかないか」を誰が判断するのか、「誤解するおそれのある表現」とは何か、ということも問題になります。これも教科書調査官が恣意的に判断する危険性があります。
 安倍首相や下村文科相、自民党の主張からみれば、「未確定な事象」「特定の事柄」は、南京事件や日本軍「慰安婦」、強制連行など日本の侵略・加害、植民地支配などの歴史の事実を指しているといえます。
 これらを書くな、どうしても書くなら強調するなということです。
 下村文科相らは、新検定基準は「バランスの取れた記述」を求めるもので、少数説も書けということだと主張しています。日本の戦争は侵略戦争ではなくアジア解放戦争である、南京事件や「慰安婦」は「無かった」、などの侵略・加害を否定する主張も「少数説」として書かされる危険性があります。
 「つくる会」系教科書の歴史をわい曲した内容も容易に検定合格させるねらいといえます。
 閣議決定などの政府見解や最高裁判決に基づく記述を要求するのは、具体的には、領土問題で政府見解通りの記述-「竹島は日本の固有の領土なのに韓国が不法に占拠している」「尖閣諸島には領有権問題はない」など-を求めるものです。さらに、戦後補償や「慰安婦」問題でも韓国との間は、1965年の日韓基本条約で解決済みである、「慰安婦」強制連行はなかった、などが政府見解として書かされることになります。
 教科書を政府の広報誌に変える基準です。

 ◆ 「一発不合格」の審査規定を新設
 文科省は、検定基準の改悪だけでなく、「審査要項」を改定して、「教育基本法の目標等に照らして重大な欠陥があれば検定不合格とする」という規定を追加しました。「重大な欠陥」があると判断すれば、申請図書の個々の内容を審査しないで不合格とするという規定です。
 「何が欠陥かは秘密」のまま、容易に恣意的判断で不合格にできる、「一発不合格」の規定であり、出版社への威嚇効果は絶大です。
 「重大な欠陥」の存否を判断するのは検定審議会(実際は教科書調査官)ということですが、文部科学大臣や自民党の意見でも判断されることになりかねません。
 出版社は「一発不合格」にならないためには、どこまでも「自主規制」して、「にらまれる」可能性のあるものは載せないようになります。
 ◆ 近隣諸国条項は骨抜き・無効化
 下村文科相や文科省は、検定基準の「近隣諸国条項」の見直しはしていない、と主張しています。しかし、新検定基準や新審査要項は、日本の侵略・加害記述に対して検定で修正・削除や不合格にするものであり、さらに、歴史をわい曲する記述も検定合格させるねらいです。このような新基準などによって近隣諸国条項は骨抜き・無効化され、見直しされなくても機能しなくなります。
 この検定制度改悪は、アジア諸国の人びと、日本の国民への国際的な公約である近隣諸国条項を事実上廃棄するものです。
 ◆ 自民党は「教育再生推進法」の制定をめざす
 自民党・教育再生実行本部は「改正教育基本法の理念を具現化する」ために「教育再生推進法案(仮称)」を3月までにまとめて4月以降に議員立法で通常国会に提出する予定です。
 この法案には、学習指導要領や教科書の作成を盛り込むとしています。
 自民党は当初「教科書法」(教科書国家統制法)の制定をめざすとしていました。しかし、「教科書法」の制定は国民の大きな反対運動で1956年と1982年に2度失敗しています。そこで、「実行本部」は、包括的な教育再生推進法を制定し、この中に、教科書国家統制制度を盛り込もうとしています。
 また、自民党は学習指導要領を詳細な内容にするとしていますが、1976年5月の旭川学力テスト事件の最高裁大法廷判決で、指導要領は「大綱的基準」である限りで合憲合法とされています。指導要領を詳細化するのはこの判決に違反するので、教育再生推進法に指導要領を盛り込み、法的な位置づけをしてこの判決を反故にし、指導要領に強制力をもたせるねらいだと思われます。
 ◆ 安倍「教育再生」の暴走をストップさせる運動を!
 安倍政権の暴走はますます激しくなっています。巨大与党を擁し、「みんな」「維新」「結い」などの「準与党」の取り込みで「なんでもやれる」と突っ走っているようです。教育分野の暴走は急テンポで進めています。
 しかし、安倍政権と国民との矛盾は拡大しています。安倍政権のアキレス腱である靖国参拝や「慰安婦」問題などの歴史認識問題では、国民はもちろん国際社会との矛盾が深まっています。
 昨年12月6日に秘密保護法を強行成立させましたが、すぐに「秘密保護法」廃止へ!実行委員会が発足し、たたかいは継続し、国会開会日(1月24日)には3000人の国会包囲を成功させました。
 憲法改悪反対、脱原発、消費増税・TPP反対など各地でそして全国的に大きな運動が進んでいます。「教育再生」反対の運動も、各地で学習会や集会など草の根の取り組みが広がっています。
下村文科相は、通常国会を「教育再生国会」にして10本以上の法案を出すといっています。たたかいはここから、たたかいは今からです。
 前述のような諸課題の運動と連帯・連携しながら各地から草の根の取り組みを進めましょう。(たわらよしふみ)
「子どもと教科書全国ネット21ニュース」94号(2014.2)

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