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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

★ 大阪府内の全ての市町村教育委員会に要望書と公開質問書を送りました。

2023年05月08日 | 暴走する都教委と闘う仲間たち

★ 2024年度使用小学校教科書の採択に関する要望書と公開質問状

2023年5月6日

教育委員会 教育長  様
教科用図書選定委員会 様

子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会

 貴教育委員会の教育への日頃のご尽力に敬意を表します。
 さて2024年度から使用される小学校教科書の採択に向けて、貴教育委員会も準備作業を進めておられることと存じます。3月の末に公表された文部科学省の教科書検定結果では、道徳教科書において愛国心教育を強化しようとする記述が増え、社会科においては日本の加害の事実を曖昧にする記述が増えました。
 また、全ての出版社で「北方領土」「竹島」「尖閣諸島」「日本固有の領土」と記述もされました。しかし、これら三つの領土問題は、かつての日本の侵略戦争と深く関わっているという歴史的背景があります。それを教えずに日本政府の主張だけを教えれば、相手国への反感を子どもたちに植え込むことにしかなりません。

 また昨年11月には藤井寺市で教育委員を巻き込んだ教科書汚職事件が発覚し、元校長の有罪判決、教育委員の辞職、さらには全国で初めて教科書採択をやり直す事態にまで至りました。このような事態に至った要因として、教育委員をはじめ採択に関わる者の認識が甘かったことだけでなく、市教委が非公開の選定委員会議事録を作成せず、市民に完全に閉ざされた環境の中で選定委員会「答申」が作られていたことがあげられます。
 採択過程を広く市民に公開することが、不正を防ぐ大きな抑止力になることが改めて明らかになりました。藤井寺市での教科書汚職事件を他人事してはなりません。再度、教科書採択の公正性、透明性が十分確保されているかどうか、点検することが必要です。

 そこで私たちは、日本国憲法に体現される基本的人権、平和、民主主義、そして近隣諸国との友好関係を深める観点から、公正かつ透明性のある教科書採択が行われるよう貴教育委員会に要望するとともに、以下の公開質問への回答をお願いいたします。なお、貴教育委員会からの回答は公表を予定しています。ご多忙と思いますが、回答を5月末日までにお願いします。(回答用紙は別紙)

 

【要望書】

1.採択関係者が「利害関係者」でないことを厳密にチェックしてください。

教育委員、選定委員、調査員については、「利害関係者」でないことを、事前に厳格にチェックしてください。2019年の小学校道徳採択から、大阪市では教育委員からも「利害関係者ではない」ことを宣誓する「誓約書」の提出を義務づけました。貴教育委員会でも大阪市と同様に教育委員からも「誓約書」を義務づけてください。

2.人権、平和、共生など日本国憲法の精神を尊重した調査研究と採択を行ってください。

貴教育委員会が作成する「教科書を調査研究する観点」には、従来から「人権の取り扱い」が項目に含まれています。大阪では、部落問題や在日外国人問題、障がい者問題などさまざまな人権に関わる問題について、教育課題としても積極的に取り上げられてきたところです。道徳の教科書採択に当たっても、人権、平和、共生など日本国憲法の精神を重視する観点から調査研究をおこない、そのような観点から評価の高い教科書を採択してください。

3.偏狭なナショナリズムに繋がる「愛国心」を調査の観点に入れないでください。

教育基本法には、「愛国心」に繋がる目標がありますが、そこには「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」が同時に明記され、偏狭なナショナリズムに陥ることがないように求めています。  しかし、小学校教科書検定結果を見れば、「日本美化」「日本人はすばらしい」と言った内容がことさら強調されている教科書があります。これらは偏狭なナショナリズムにつながっていくものです。調査の観点に偏狭なナショナリズムに繋がる「愛国心」を採択基準に入れないでください。

4.「考え,議論する道徳」を重視する調査の観点を設定してください。

 新学習指導要領では、「考え、議論する道徳」が強調されています。しかし、教科書の中には、教材の前後に「学ばせたい徳目」に誘導する設問を設けて、子どもたちの学びを特定の価値観に誘導しようとするものがあります。子どもたちは、自由に発想し、幅広く考え、意見交換する中で自分の考えを深めていきます。自由な発想は、「考え、議論する道徳」の基になるものです。特定の価値観に誘導する教科書はそれらに逆行しています。

5.採択にあたっては子どもの実態をもっともよく知る教員の意見を尊重してください。

ILO・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」には、「教員は生徒に最も適した教材および方法を判断するための格別の資格を認められたものであるから、承認された計画の枠内で、教育当局の援助を受けて教材の選択と採用、教科書の選択、教育方法の採用などについて不可欠な役割を与えられるべきである。」と明記されています。「教員の意見を尊重した採択」は、国際基準です。従って、教員が調査員をつとめる「調査員報告」や「学校意見」を集約する形で選定委員会「答申」を作成し、それに基づいて採択してください。

6.選定委員会「答申」や、「調査員報告」、「学校意見」では教科書の長所・短所を記述するようにしてください。

 いうまでもなくどんな教科書にも長所と短所があります。しかしながら近年、「答申」や「調査員報告」、「学校意見」に「特長(すぐれた点)」しか書けない形式にしている地域があり、これでは教員の意見は伝わりません。また優劣がわからないため正しい判断もできません。

7.選定委員会「答申」では、専門的な調査研究の結果として「順位付け」「絞り込み」を行ってください。

 一部マスコミが「文科省は採択にあたっては教員による順位付けや絞り込みを禁止している」と報じ、また同じような解釈をしている一部の教育委員会がありますが、これは誤りです。
 下村文科大臣(当時)は、国会答弁で「(教科書採択は)教員や保護者を初めとする調査員による綿密な調査研究を行った上で、適切に行われる必要がある」(2015.4.22)と述べ、文科省初等中等教育局長も「調査研究の結果として何らかの評定を付し、それも参考に教科書の採択を行うことが不適切だというものではない」(同日)と述べています。
 選定委員会「答申」の「順位付け」や「絞り込み」は、教育委員会での公正で公平な採択を行うためにも必要な資料となるものです。

8.選定委員会の議事録(発言者名を入れた)を作成し、市民に公開してください。

 大阪府内では、発言者名を入れた選定委員会議事録を作成している教育委員会はまだまだ一部にとどまっています。しかし、藤井寺市での教科書汚職事件の教訓は、教科書採択が公正で民主的な手続きで実施されるためには、採択過程の透明性を高めることが不可欠だということです。また、教育委員会での議事録に発言者名を明記していなかったことも、教育委員の甘い認識を生みました。
 選定委員会や教育委員会議の発言者名入りの議事録を作成することは、採択の透明性を確保するために絶対に必要なことです。

9.採択教科書を決める教育委員会会議は、傍聴希望者全員が傍聴できるように配慮してください。

 近年、教科書採択には市民の関心が高く、傍聴希望者が増えています。しかし、採択会議は教科書教科書会社も来るので、抽選になると傍聴できない市民が多くなります。市民に開かれた公平・公正な採択のためにも、市民の傍聴を保障することは大切です。

10.採択会議の傍聴者には、選定委員会答申など採択会議の審議内容がよくわかる資料を配布してください。また、終了後に配布資料を回収するのはやめてください。

 傍聴者に配布された資料は公開されたものであり、回収する意味はありません。

11.要望書や市民アンケートに書かれた市民の意見も採択の参考にしてください。市民の要望書やアンケートの意見は、必ず選定委員や教育委員にも見せるようにしてください。

 一部の市では教育委員会事務局が、市民の意見を選定委員や教育委員に一切見せずに採択を進め、その結果子どもたちにはふさわしくない教科書が採択されてしまいました。採択権限は教育委員会にあるとしても、選定委員会や教育委員会には、公平・公正な採択のために広く市民の意見に耳を傾ける謙虚な姿勢を持ってもらいたいと考えます。

以上


【公開質問状】

1.貴教育委員会の採択制度(公開度も含めて)は、2020年の中学校採択から変更がありますか。
   ①ある
   ②ない

2.教科書の調査研究に各学校・教員はどのように関わっていますか。
   ①学校意見を集約している。
   ②教員の意見を集約している。
   ③教員研究会の意見を集約している。
   ④意見集約を行っていない。

3.選定委員会「答申」や「調査員報告書」はどのような形式で作成されるのでしょうか。
   ①各社の長所と短所を記述している。
   ②各社の特長(すぐれた点)をまとめている。
   ③その他(                        )

4.選定委員会の「答申」はどのような方法で行う予定ですか。
   ①順位付けをして答申する。
   ②何社かに絞り込んで答申する。
   ③全社の長所と短所を文書表記して答申する。
   ④全社の特長(すぐれた点)を文書表記して答申する。
   ⑤その他(                      )

5.採択において選定委員会「答申」を重視しているのかどうか、その位置づけを教えてください。
   ①選定委員会「答申」を重視する。
   ②選定委員会「答申」を参考にする。
   ③選定委員会「答申」には一切左右されない。

6.教育委員会議では、どのような方法で採択をする予定ですか。
   ①話し合いによって採択する。
   ②記名投票(挙手)で採択する。
   ③無記名投票で採択する。

7.教育委員会議の会議録作成について教えてください。
  ① 発言者名入りの議事録を作成している。
  ② 発言者名のない議事録を作成している。
  ③ 議事録は作成していない。

8.選定委員会の会議録作成について教えてください。
   ①発言者名入りの議事録を作成している。
   ②発言者名のない議事録を作成している。
   ③ 審議のおおまかなメモを作成している。
   ④議事録は作成しない。

9.選定委員会「答申」の公開はいつの時点ですか?
   ①「答申」ができた時点で公開請求があれば公開する。
   ②「答申」は採択日以降に公開する。

10.教育委員協議会(採択の教育委員会の前に開かれるもの。名称は教育委員会によって異なる場合がある)は秘密会としておこなわれています。採択過程の透明性の確保の観点から、協議会も議事録を作成すべきだと考えますが、どのようにされていますか。
  ①協議会の議事録は作成している。
  ② 協議会の議事録はないがメモは作成している。
  ③協議会の議事録もメモも作成していない。
  ④協議会のような会議は行っていない。

11.市民からの要望書や市民アンケートの意見を、選定委員や教育委員に見せていますか。
    ①すべて見せている。
    ?見せていない。
    ③一部は見せている(見せているもの:       )

12.採択の教育委員会議の傍聴者について
  (1)2020年の中学校採択時、傍聴人数は何人に設定されましたか?  (    )人
  (2)傍聴希望者の手続きについて
     ① 当日、会議開始前に集合
     ② 事前に申し込みを必要としている
     ③  その他(                )

13.傍聴者が定員を超えた場合、どのように対応されていますか?
    ① できるだけ全員が傍聴できるように配慮している。
    ② 傍聴希望者で抽選を行い、定員内の傍聴としている。
    ③ その他の対応(                       )

14.傍聴者に配布した資料の取扱いについてどのようにされていますか?
   ① 配布資料は回収している。
   ②配布資料は回収しているが、後に希望者には配布する。
   ② 傍聴者には資料を配付していない。

15.情報公開請求に対して、市民アンケート(教科書アンケート)は公開されていますか。
    ①名前、住所を含めて全て公開している。
    ②名前、住所以外は全て公開している。
    ③名前、住所以外にも非公開部分があり、部分公開としている。
    ④ 公開していない。

16.今年度の小学校採択に関して、貴市の市長、教育長、教育委員に対して、教科書会社から何らかの接触・働きかけがありましたか?
    ①あった。
    ②あったが、詳細ははっきりしていない。
    ③ない。

以上


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