大阪の会の伊賀です。
大阪の会で教育出版の道徳教科書の不採択を求める要望書を作成しましたので、各地でご活用ください。必要に応じてアレンジしてくださって結構です。
貴教育委員会の教育へのご尽力に敬意を表します。
現在、2018年度から使用される小学校道徳教科書の採択業務が進められていると存じます。
すでに各地で教科書展示会が始まっており、8社の教科書の特徴が明らかになってきました。それらを読み比べた結果、かなり問題点のある教科書と、子どもたちにとって重要なことを伝えようとしている教科書があることがわかってきました。
そこで私たちは次のことを要望いたしますので、ご検討の上、貴教育委員会が子どもたちにとって最も良い教科書を採択してくださるようにお願いいたします。
1.教育出版の道徳教科書は問題点が多いので採択しないでください。
<理由>
(1)教育出版の5年生の道徳教科書には現職の政治家2名の写真が掲載されています。「下町ボブスレー -町工場の挑戦―」には安倍首相の写真が、「一人はみんなのために・・・」には野田東大阪市長の写真があります。いずれも本文の内容と直接の関係はなく、政治家の宣伝のような印象を受けます。現職の政治家の写真を載せているのは教育出版だけです。
道徳教科書に掲載されている限り、子どもたちは”立派な人”だと思うでしょう。しかし安倍首相は森友学園や加計学園の優遇、森友学園への100万円寄付が疑われ、野田市長は2015年の育鵬社公民教科書採択の際に政治介入したことが疑われており、いずれも議会で追及されている政治家です。そもそも歴史的評価の定まっていない現職の政治家を、人としての生き方を学ぶ道徳教科書に載せることは不適切ではないでしょうか?
(2)教育出版は明治維新を美化し、立志伝中の人物をたくさん取り上げ、西郷隆盛を3年生と6年生で取り上げています。しかし西郷隆盛は「征韓論」を唱え、朝鮮の植民地化を強く主張した人物です。西郷の主張を実行した結果、日本は朝鮮を35年間に渡って支配し朝鮮の人々を苦しめたことが、今になっても日韓関係に暗い影を落としています。西郷隆盛など歴史上の人物の負の側面を教えずに、お手本になる”偉人”として子どもたちに教えてよいのでしょうか?歴史教科書とは異なり、道徳教科書で人物を取り上げる場合はもっと慎重になるべきではないでしょうか?
(3)教育出版の編著者には育鵬社道徳教科書(パイロット版)の関係者が多く入っています。貝塚茂樹氏(武蔵野大学教授)、柳沼良太氏(岐阜大学大学院准教授)、木原一彰氏(鳥取市立世紀小学校)の他、道徳教育に熱心なことで知られる東京都武蔵村山市立第八小学校からは校長以下3人の教員が入っています。一つの学校から編著者が3人も入っているのは極めて異例です。
貝塚茂樹氏は日本最大の右翼団体といわれる日本会議のブレーンとして知られ、戦前の「教育勅語」や『修身』を賛美する発言をしています。育鵬社が発行している道徳教科書のパイロット版は、戦前の『修身』と共通する軍国美談や天皇賛美の教材が多く、日本国憲法や教育基本法に抵触すると考えられますが、教育出版の道徳教科書の内容に問題が多いのは、編著者の構成にもよることが明らかです。
(4)教育出版の2年「大切な国旗と国歌」ではオリンピックで使用される旗を「国旗」と明記していますがこれは誤りです。オリンピックで使用されるのは「選手団の旗」であり、必ずしも「国旗」でなければならないわけではありません。これが混同されて報道されたりしていますが、「国」対「国」の争いではないというオリンピックの精神にのっとって正確に教えるべきではないでしょうか?
以上のことから、教育出版の道徳教科書は採択しないでください。
2.人類普遍の道徳である「人権・平和・共生」の大切さを教える教科書を採択してください。
<理由>
道徳教育は古来、その時々の政権の支配の道具として、政権に都合のよい価値観を信じこませる道具として利用されてきました。近くは戦前、「教育勅語」の忠君愛国精神が『修身』教科書をつうじて国民にたたきこまれ、国民は侵略戦争をアジア解放の「聖戦」と信じこんで戦いました。その結果、日本国民は軍人・民間人合わせて310万人が命を失い、多くの人が生涯癒えぬ傷を負って戦後も苦しみました。被害を受けたアジアの人々の犠牲者数はその何倍にもなります。
日本国憲法はその戦争への深い反省から生まれたものであり、日本国憲法の「人権・平和・共生」の精神は、当然道徳教科書にも貫かれるべきものです。
今回発行された8社の道徳教科書にはこの日本国憲法の精神や、世界人権宣言の精神を伝えようとしている教科書があります。「人権」問題を個人の思いやりに解消せず、社会的な問題として取り上げ多くの教材を掲載している教科書や、「平和」問題を積極的に取り上げている教科書があるのは、編集者の良心がうかがわれます。
私たちは決して道徳教育そのものを否定しているわけではありません。人間が社会生活を送る以上、道徳もきまりも必要です。私たちが反対しているのは、国家のために命を懸けることが正義だと教える道徳教育であり、社会の責任を問わず自己責任論を刷り込む道徳教育です。
私たちは教えるべきは人類普遍の道徳ともいえる「人権」「平和」「共生」の大切さであると考えます。命の大切さ、人は皆平等であり、どんな夢も平和があってこそ描けるということを伝え、人としての努力、自立、助け合いの大切さを学ぶ道徳教育であってほしいと願っています。
そのような教科書はどれかをよく吟味していただき、より良い教科書を採択してくださるように切に要望いたします。
大阪の会で教育出版の道徳教科書の不採択を求める要望書を作成しましたので、各地でご活用ください。必要に応じてアレンジしてくださって結構です。
◎ 2018年度使用小学校教科書採択にあたっての要望書
貴教育委員会の教育へのご尽力に敬意を表します。
現在、2018年度から使用される小学校道徳教科書の採択業務が進められていると存じます。
すでに各地で教科書展示会が始まっており、8社の教科書の特徴が明らかになってきました。それらを読み比べた結果、かなり問題点のある教科書と、子どもたちにとって重要なことを伝えようとしている教科書があることがわかってきました。
そこで私たちは次のことを要望いたしますので、ご検討の上、貴教育委員会が子どもたちにとって最も良い教科書を採択してくださるようにお願いいたします。
1.教育出版の道徳教科書は問題点が多いので採択しないでください。
<理由>
(1)教育出版の5年生の道徳教科書には現職の政治家2名の写真が掲載されています。「下町ボブスレー -町工場の挑戦―」には安倍首相の写真が、「一人はみんなのために・・・」には野田東大阪市長の写真があります。いずれも本文の内容と直接の関係はなく、政治家の宣伝のような印象を受けます。現職の政治家の写真を載せているのは教育出版だけです。
道徳教科書に掲載されている限り、子どもたちは”立派な人”だと思うでしょう。しかし安倍首相は森友学園や加計学園の優遇、森友学園への100万円寄付が疑われ、野田市長は2015年の育鵬社公民教科書採択の際に政治介入したことが疑われており、いずれも議会で追及されている政治家です。そもそも歴史的評価の定まっていない現職の政治家を、人としての生き方を学ぶ道徳教科書に載せることは不適切ではないでしょうか?
(2)教育出版は明治維新を美化し、立志伝中の人物をたくさん取り上げ、西郷隆盛を3年生と6年生で取り上げています。しかし西郷隆盛は「征韓論」を唱え、朝鮮の植民地化を強く主張した人物です。西郷の主張を実行した結果、日本は朝鮮を35年間に渡って支配し朝鮮の人々を苦しめたことが、今になっても日韓関係に暗い影を落としています。西郷隆盛など歴史上の人物の負の側面を教えずに、お手本になる”偉人”として子どもたちに教えてよいのでしょうか?歴史教科書とは異なり、道徳教科書で人物を取り上げる場合はもっと慎重になるべきではないでしょうか?
(3)教育出版の編著者には育鵬社道徳教科書(パイロット版)の関係者が多く入っています。貝塚茂樹氏(武蔵野大学教授)、柳沼良太氏(岐阜大学大学院准教授)、木原一彰氏(鳥取市立世紀小学校)の他、道徳教育に熱心なことで知られる東京都武蔵村山市立第八小学校からは校長以下3人の教員が入っています。一つの学校から編著者が3人も入っているのは極めて異例です。
貝塚茂樹氏は日本最大の右翼団体といわれる日本会議のブレーンとして知られ、戦前の「教育勅語」や『修身』を賛美する発言をしています。育鵬社が発行している道徳教科書のパイロット版は、戦前の『修身』と共通する軍国美談や天皇賛美の教材が多く、日本国憲法や教育基本法に抵触すると考えられますが、教育出版の道徳教科書の内容に問題が多いのは、編著者の構成にもよることが明らかです。
(4)教育出版の2年「大切な国旗と国歌」ではオリンピックで使用される旗を「国旗」と明記していますがこれは誤りです。オリンピックで使用されるのは「選手団の旗」であり、必ずしも「国旗」でなければならないわけではありません。これが混同されて報道されたりしていますが、「国」対「国」の争いではないというオリンピックの精神にのっとって正確に教えるべきではないでしょうか?
以上のことから、教育出版の道徳教科書は採択しないでください。
2.人類普遍の道徳である「人権・平和・共生」の大切さを教える教科書を採択してください。
<理由>
道徳教育は古来、その時々の政権の支配の道具として、政権に都合のよい価値観を信じこませる道具として利用されてきました。近くは戦前、「教育勅語」の忠君愛国精神が『修身』教科書をつうじて国民にたたきこまれ、国民は侵略戦争をアジア解放の「聖戦」と信じこんで戦いました。その結果、日本国民は軍人・民間人合わせて310万人が命を失い、多くの人が生涯癒えぬ傷を負って戦後も苦しみました。被害を受けたアジアの人々の犠牲者数はその何倍にもなります。
日本国憲法はその戦争への深い反省から生まれたものであり、日本国憲法の「人権・平和・共生」の精神は、当然道徳教科書にも貫かれるべきものです。
今回発行された8社の道徳教科書にはこの日本国憲法の精神や、世界人権宣言の精神を伝えようとしている教科書があります。「人権」問題を個人の思いやりに解消せず、社会的な問題として取り上げ多くの教材を掲載している教科書や、「平和」問題を積極的に取り上げている教科書があるのは、編集者の良心がうかがわれます。
私たちは決して道徳教育そのものを否定しているわけではありません。人間が社会生活を送る以上、道徳もきまりも必要です。私たちが反対しているのは、国家のために命を懸けることが正義だと教える道徳教育であり、社会の責任を問わず自己責任論を刷り込む道徳教育です。
私たちは教えるべきは人類普遍の道徳ともいえる「人権」「平和」「共生」の大切さであると考えます。命の大切さ、人は皆平等であり、どんな夢も平和があってこそ描けるということを伝え、人としての努力、自立、助け合いの大切さを学ぶ道徳教育であってほしいと願っています。
そのような教科書はどれかをよく吟味していただき、より良い教科書を採択してくださるように切に要望いたします。
以上
教科書採択委員会に呼び掛けるだけでなく、国会議員などにも呼びかけて、国会質疑を通して文部科学省の検定能力を正す必要もあるだろう。
パン屋を和菓子屋に変えてる場合じゃない!