◆ 小学校道徳教科書採択:育鵬社と同一化する教育出版の危険性
大阪の会の伊賀です。
現在、小学校道徳教科書採択が行われていますが、教育出版が育鵬社と一体化していることが分かってきました。育鵬社は、小学校道徳採択に参入していませんが、教育出版が育鵬社の代案となっていたのです。
教育出版の危険性を訴えたいと思います。
教育出版の道徳教科書の編著者3名の中に、貝塚茂樹氏(武蔵野大学教授)と柳沼良太氏(岐阜大学院准教授)が入っていることが分かりました。
貝塚氏は日本会議系の教育学者で、文科省の中央教育審議会委員を歴任した安倍政権の道徳教育政策ブレーンです。育鵬社が2012年に出した「13歳からの道徳教科書」(中学校道徳教科書のパイロット版として発行、安倍首相は「これぞ理想の道徳教科書」と絶賛)の編集者であり、日本教育再生機構の理事でもあります。
柳沼氏は、育鵬社の「はじめての道徳教科書」(小学校道徳教科書のパイロット版として発行)の編著者でした。
小学校道徳教科書を作成していない育鵬社・日本教育再生機構は、教育出版にパイロット版の編著者を送り込み、事実上の育鵬社道徳の代案として作成したことがはっきりとわかります。
2人は日本教育再生機構の機関誌「教育再生」(2013年12月号)で、八木秀次氏(同機構理事長)と対談していました。
その中で貝塚氏は「皇室を抜きにしては日本の伝統文化を語ることはできない、軍人や宗教家を無視して、公の精神などを理解するのは不可能ではないか」と主張し、柳沼氏は「『はじめての道徳教科書』には、『自分たちの生まれ育った国っていいなあ』とか、『こんな立派な日本人がいるんだったら、私たちも頑張っていこう』と子どもたちが奮い立つような話がたくさん載っているので有意義だ」と主張しています。日本会議の主張そのものです。
さらには、教育出版の道徳教科書には、育鵬社道徳教科書に関わっている人物がもっと入っていることがわかりました。
(1)教育出版の執筆者・木原一彰氏(鳥取県鳥取市立世紀小学校教諭):『学校で学びたい日本の偉人』(貝塚茂樹・柳沼良太編、育鵬社出版)に自分が作成した教材と授業実践を載せています。「世界の医聖―野口英世」(当時は鳥取大学付属小学校教諭)
(2)教育出版の編著者には、東京都武蔵村山市立第八小学校の教員が3人も入っています。牧一彦(校長)、嶺井勇哉(主任教諭)、小山直之(教諭)の3人で、一つの学校から何人も編著者が入っているのは教育出版だけで、それだけでも異常です。
武蔵村山市は育鵬社教科書を採択していて、武蔵村山市立第八小学校は道徳教育のモデル校として教員研修が盛んにおこなわれ、2015年の3月にはニュース23が特集していました。
『学校で学びたい日本の偉人』には道徳の授業実践報告者として、先の3人とは異なりますが、武蔵村山市から次の3人の教員が出ています。
酒井敦子氏(武蔵村山市立第八小学校教諭)―「あかぎれ―中江藤樹とその母」、
内田調氏(武蔵村山市立第十小学校教諭)―「小さなことの積み重ね―二宮尊徳」、
盆子原正光氏(武蔵村山市立第五中学校教諭)―「米百俵―小林虎三郎」です。
ちなみに武蔵村山市立第五中学校は、ミニブートキャンプ(横田基地の兵士が指導する海兵隊の新兵訓練)を学校行事でやっていた(過去5年間)ことが2016年の7月の報道された学校です。
大きく報道されて今はやっていないようですが、武蔵村山市は市を挙げて道徳教育を熱心に、それも育鵬社、日本会議の内容でやっていると思われます。
(3)柳沼良太氏は偉人伝を通じて道徳教育をやるのがもっとも効果的だと主張し、これは日本教育再生機構の主張とまったく同じです。特に柳沼が推薦する「偉人」というのは“歴史の風雪に耐えてきた人物”ということで、二宮尊徳、吉田松陰、熊沢蕃山、塙保己一など戦前の修身教科書で多く取り上げられた人物を上げています。
(4)教育出版の6年には「六千人の命のビザ―杉原千畝―」という教材がありますが、これは柳沼良太が『学校で学びたい日本の偉人』に書き下ろした文章とほぼ同じです。
杉原千畝は今回4社(光村図書、光文書院、日本文教出版、教育出版)が取り上げていますが、教育出版だけが検定修正を求められませんでした。
他の3社は杉原がビザを下ろすのを迷った理由として日本とナチス政権との同盟関係について記述していたので、そこに検定意見がついて修正させられたのですが、そもそも教育出版はそこをあいまいにしていたため修正を求められることもなかったわけです。
ただ、教育出版だけがこの教材のモラルジレンマにあえて踏み込んで子どもに考えさせようとしています。
「自分が杉原千畝の立場だったら、どのような行動をするでしょう」と質問を投げかけ、「ビザを出す」「ビザを出さない」「日本の命令にそむくことはしない」という3つの回答を用意して自分はどれかと答えさせようとしています。
柳沼氏は『学校で教えたい日本の偉人』のあとがきで、杉原の例をあげて「肝心なのは国家に従順かどうかではなく、よりよい社会を築くためにどれだけ貢献したか」だと言っています。したがって人道上ビザを出した杉原は道徳的な偉人ということになり、子どもたちのお手本ということになります。
これは一見、文科省の「遵法精神」という徳目には反するように見えますが、育鵬社はナチスとソ連だけは全体主義の絶対悪として歴史で教えるので、ナチスに迫害されたユダヤ人を助けるのは正義であるという極めて限定的な“正義”に過ぎません。
育鵬社によると、日本がやった戦争行為はアジア解放の正義の戦争だったので、当時の日本の戦争政策に反対した人々は決して許されないでしょう。柳沼氏の巧みな誘導にごまかされないように気をつけないといけないと思います。
大阪の会の伊賀です。
現在、小学校道徳教科書採択が行われていますが、教育出版が育鵬社と一体化していることが分かってきました。育鵬社は、小学校道徳採択に参入していませんが、教育出版が育鵬社の代案となっていたのです。
教育出版の危険性を訴えたいと思います。
教育出版の道徳教科書の編著者3名の中に、貝塚茂樹氏(武蔵野大学教授)と柳沼良太氏(岐阜大学院准教授)が入っていることが分かりました。
貝塚氏は日本会議系の教育学者で、文科省の中央教育審議会委員を歴任した安倍政権の道徳教育政策ブレーンです。育鵬社が2012年に出した「13歳からの道徳教科書」(中学校道徳教科書のパイロット版として発行、安倍首相は「これぞ理想の道徳教科書」と絶賛)の編集者であり、日本教育再生機構の理事でもあります。
柳沼氏は、育鵬社の「はじめての道徳教科書」(小学校道徳教科書のパイロット版として発行)の編著者でした。
小学校道徳教科書を作成していない育鵬社・日本教育再生機構は、教育出版にパイロット版の編著者を送り込み、事実上の育鵬社道徳の代案として作成したことがはっきりとわかります。
2人は日本教育再生機構の機関誌「教育再生」(2013年12月号)で、八木秀次氏(同機構理事長)と対談していました。
その中で貝塚氏は「皇室を抜きにしては日本の伝統文化を語ることはできない、軍人や宗教家を無視して、公の精神などを理解するのは不可能ではないか」と主張し、柳沼氏は「『はじめての道徳教科書』には、『自分たちの生まれ育った国っていいなあ』とか、『こんな立派な日本人がいるんだったら、私たちも頑張っていこう』と子どもたちが奮い立つような話がたくさん載っているので有意義だ」と主張しています。日本会議の主張そのものです。
さらには、教育出版の道徳教科書には、育鵬社道徳教科書に関わっている人物がもっと入っていることがわかりました。
(1)教育出版の執筆者・木原一彰氏(鳥取県鳥取市立世紀小学校教諭):『学校で学びたい日本の偉人』(貝塚茂樹・柳沼良太編、育鵬社出版)に自分が作成した教材と授業実践を載せています。「世界の医聖―野口英世」(当時は鳥取大学付属小学校教諭)
(2)教育出版の編著者には、東京都武蔵村山市立第八小学校の教員が3人も入っています。牧一彦(校長)、嶺井勇哉(主任教諭)、小山直之(教諭)の3人で、一つの学校から何人も編著者が入っているのは教育出版だけで、それだけでも異常です。
武蔵村山市は育鵬社教科書を採択していて、武蔵村山市立第八小学校は道徳教育のモデル校として教員研修が盛んにおこなわれ、2015年の3月にはニュース23が特集していました。
『学校で学びたい日本の偉人』には道徳の授業実践報告者として、先の3人とは異なりますが、武蔵村山市から次の3人の教員が出ています。
酒井敦子氏(武蔵村山市立第八小学校教諭)―「あかぎれ―中江藤樹とその母」、
内田調氏(武蔵村山市立第十小学校教諭)―「小さなことの積み重ね―二宮尊徳」、
盆子原正光氏(武蔵村山市立第五中学校教諭)―「米百俵―小林虎三郎」です。
ちなみに武蔵村山市立第五中学校は、ミニブートキャンプ(横田基地の兵士が指導する海兵隊の新兵訓練)を学校行事でやっていた(過去5年間)ことが2016年の7月の報道された学校です。
大きく報道されて今はやっていないようですが、武蔵村山市は市を挙げて道徳教育を熱心に、それも育鵬社、日本会議の内容でやっていると思われます。
(3)柳沼良太氏は偉人伝を通じて道徳教育をやるのがもっとも効果的だと主張し、これは日本教育再生機構の主張とまったく同じです。特に柳沼が推薦する「偉人」というのは“歴史の風雪に耐えてきた人物”ということで、二宮尊徳、吉田松陰、熊沢蕃山、塙保己一など戦前の修身教科書で多く取り上げられた人物を上げています。
(4)教育出版の6年には「六千人の命のビザ―杉原千畝―」という教材がありますが、これは柳沼良太が『学校で学びたい日本の偉人』に書き下ろした文章とほぼ同じです。
杉原千畝は今回4社(光村図書、光文書院、日本文教出版、教育出版)が取り上げていますが、教育出版だけが検定修正を求められませんでした。
他の3社は杉原がビザを下ろすのを迷った理由として日本とナチス政権との同盟関係について記述していたので、そこに検定意見がついて修正させられたのですが、そもそも教育出版はそこをあいまいにしていたため修正を求められることもなかったわけです。
ただ、教育出版だけがこの教材のモラルジレンマにあえて踏み込んで子どもに考えさせようとしています。
「自分が杉原千畝の立場だったら、どのような行動をするでしょう」と質問を投げかけ、「ビザを出す」「ビザを出さない」「日本の命令にそむくことはしない」という3つの回答を用意して自分はどれかと答えさせようとしています。
柳沼氏は『学校で教えたい日本の偉人』のあとがきで、杉原の例をあげて「肝心なのは国家に従順かどうかではなく、よりよい社会を築くためにどれだけ貢献したか」だと言っています。したがって人道上ビザを出した杉原は道徳的な偉人ということになり、子どもたちのお手本ということになります。
これは一見、文科省の「遵法精神」という徳目には反するように見えますが、育鵬社はナチスとソ連だけは全体主義の絶対悪として歴史で教えるので、ナチスに迫害されたユダヤ人を助けるのは正義であるという極めて限定的な“正義”に過ぎません。
育鵬社によると、日本がやった戦争行為はアジア解放の正義の戦争だったので、当時の日本の戦争政策に反対した人々は決して許されないでしょう。柳沼氏の巧みな誘導にごまかされないように気をつけないといけないと思います。
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