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パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

☆ JWCHR:入管法改正案の撤回を求める声明を発表

2023年04月28日 | 人権

☆ 入管法改正案も国際法違反――国連人権報告者の声を聴け!(抗議声明)

 2023年4月18日、国連人権理事会の「特別手続」である①恣意的拘禁作業部会、②移住者の人権に関する特別報告者、及び③宗教又は信条の自由に関する特別報告者は、連名で、2023年の内閣提出の入管法改正案(以下、単に「法案」という。)が、2021年の同法案を修正したものであっても、国際人権法に違反する旨の共同書簡を発出した。
 問題として指摘されているのは、以下の6点に及ぶ。

(1) 原則収容主義が維持されていること

 自由権規約9条は、身体の自由を原則とし、収容は最後の手段でなければならないことを規定しているにもかかわらず、法案は、監理措置が適用されない限り常に収容が優先するとして、監理措置を適用するか収容するのかは入国管理機関(主任審査官)の裁量に委ねられている問題がある。

(2) 監理措置には問題があること

 そもそも収容を正当化する理由がない場合には、監理措置のような収容代替措置を適用するのではなく、収容してはいけないのであって、その点が欠如している。また、300万円以下の保証金の納付が(主任審査官の裁量によるとはいえ)義務付けられること、さらに監理人には依然として報告義務が課される場合があること、監理人が報告義務に違反すると罰金を科すことができること、したがって監理人と被監理者のいずれについてもプライバシー侵害にあたる場合が想定され、現実には監理措置が利用しにくいものとなる可能性が否定できない。

(3) 司法審査の欠如があること

 3か月ごとに主任審査官が監理措置の必要性を検討するという規定があるが、これは、出入国手続きにおける収容を含むあらゆる形態の拘禁は、裁判官その他の司法機関によって命じられ、承認されなければならないという原則に反する

(4) 無期限収容の問題があること

 収容期間の上限が規定されていないので、無期限収容の可能性が払拭されていない。

(5) 子どもの収容に関する問題があること

 子どもの収容を禁止する規定が欠けている。

(6) 送還停止効の解除に問題があること

 法案は、難民申請を3回以上している者、日本で3年以上の拘禁刑を受けた者、暴力・破壊活動に関与・助長した可能性があると疑われる者について、送還停止効を解除すると規定している。しかし、送還前に状況や保護の必要性の個別評価を明確に求めるなど、適切な手続き上の保護措置がない場合には、上記の者が難民申請をしたときに、送還停止効を解除する規定は、国際人権法及び「迫害を受けるおそれのある国へ送還してはならない」とするノン・ルフールマン原則を損なうことになる。

 以上を踏まえて、本年4月21日の衆議院法務委員会において、斎藤健法務大臣は、「特別報告者は個人の資格で述べられたもので、国連や人権理事会としての見解ではない。また我が国への法的拘束力もない。」と述べ、「一方的に見解が公表されたことについては抗議する。」とした。

 そもそも特別報告者は、日本も含む国連人権理事会が、専門的な知見をもとに独立して調査・報告・意見表明を任務とする者として任命したのであって、日本が批准した国際人権条約について勧告を行い、各国政府機関との建設的な対話を行う重要な役割をもっている
 国際人権の保護・促進を約束しているはずの日本政府の一員が、国際的な合意を無視し、その意見に耳を塞ぎ、眼前の人権問題に目を閉ざすことは、人権の保護・促進に誠実に取り組むことを誓約して国連人権理事会の理事国に就任した基本姿勢を損なうものである。

 日本政府は、共通の価値の保護と促進を外交上の基本方針に据え、外務省のホームページでも「日本の基本的立場」として公表している。
 8つの国際人権条約を批准し、国連の各種人権委員会でも日本人の委員が活躍している。また、人権教育は文部科学省でも法務省人権擁護局でも重要な課題として取り組まれている。
 何よりも憲法98条2項は、「日本国が締結した条約及び確立した国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」と明言している。

 そうであれば、日本が参加する国連人権理事会が正式な制度として認めている人権特別報告者(Special Rapporteur)制度普遍的定期的審査(UPR)も受入れ、人権の主流化・国際化を承認し、人権の保護と発展のために建設的対話を誠実に行うことは、国際社会の期待するところである。

 斎藤法務大臣は、前記発言を撤回し、内閣は、国会法の定めるところに従って、議院の承認を得て、内閣提出法案である入国管理法改正案を撤回するべきである

2023年4月26日

国際人権活動日本委員会(JWCHR)
JAPANESE WORKERS’COMMITTEE FOR HUMAN RIGHTS
議長 鈴木亜英
〒170-0005 東京都豊島区南大塚 2-33-10 東京労働会館1階
Tel: 03-3943-2420   Fax: 03-3943-2431
E-mail: hmrights@yahoo.co.jp

 


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