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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

★ 「『白石哲』裁判官」裁判、地裁判決の主要部分抜粋

2023年05月17日 | 増田の部屋

 《都教委等を訴える会ニュースから②》
 ★ 東京地裁「『白石哲』裁判官」裁判判決中、「当裁判所の判断」の部分をご紹介。

第3当裁判所の判断

1.本件では、別件第1回弁論期日に出席した裁判官が別件第1回弁論期日に出席した裁判官が、加本裁判官であったか、河合裁判官であったかについて争いがあるが、当裁判所は、仮に別件第1回弁論期日に出席した裁判官が加本裁判官であったと認められたとしても、原告らが主張する別件裁判所、本件書記官及び忌避申立事件担当裁判所の各行為が国賠法の適用上違法な行為とは言えないと判断する。
 その理由は次のとおりである。
 民訴法160条3項本文は「口頭弁論の方式に関する規定の遵守は、調書によってのみ証明することができる。」と定めているところ、この規定は、口頭弁論期日に立ち会った書記官が調書を作成した上で(同条1項)、その記載内容を認証する意味で裁判長がこれに認印し(民訴規則66条2項)、
 他方、当事者その他の関係人にも調書の記載内容について異議を述べる機会を与えること(※民訴法160条2項)によって調書の記載内容の正確性が担保されていることを前提に、訴訟手続そのものがさらに紛争の原因となり、審理の混乱と遅延が生じるのを避けるため、訴訟手続の安定性及び明確性を期して、口頭弁論の方式に関する規定の遵守の有無に限って、これを有効な調書によってのみ証明できるとととしたもの、すなわち、口頭弁論の方式については、有効な調書の記載に絶対的な証明力を認め、他の証拠によって調書の記載を覆すことはできないことを定めたものと解される。

※第百六十条 裁判所書記官は、口頭弁論について、期日ごとに調書を作成しなければならない。

2 調書の記載について当事者その他の関係人が異議を述べたときは、調書にその旨を記載しなければならない

 他方で、調書は、その性質及び証明力の程度に照らし、記載内容の真実性及び正確性が法律上強く求められているというべきであるから、調書が完成した後においても、口頭弁論の方式及び内容の記載内容に誤りがある場合には、当該調書を作成した書記官及びその認証者であった裁判長は、その誤りを是正するため、適宜の方法によりこれを更正する義務(以下「更正義務」という。)を負うと解するのが相当である(最小二昭和62年7月17日判決・裁判集民事151号559頁参照)。

 もっとも、口頭弁論の方式に関する規定の遵守の有無は、前記のとおり、民訴法160条3項により、有効な調書によってのみ証明できるとされており、その趣旨は、、訴訟手続の安定性及び明確性を期することにあることに照らせば、口頭弁論の方式の記載の更正は、訴訟手続の安定性及び明確性が害されない場合に限って許されるというべきである。

 したがって、当該調書を作成した書記官及びその認証者であった裁判長は、訴訟手続の安定性及び明確性が害されない時期、すなわち、当一該調書が完成した後の最初の期日までに口頭弁論の方式の記載内容の誤りを認識したときは当該記載について更正義務を負うものの、その後は、当該記載を更正しでも訴訟手続の安定性及び明確性が害されない特段の事情がない限り、当該記載について更正義務を負わないと解するのが相当である。

3 これを本件についてみると、争点1ないし4に対する判断は次のとおりとなる。

(1) 争点1に対する判断

 口頭弁論期日に出席した裁判官の記載は、口頭弁論の方式に関する記載に当たるところ、本件全証拠によっても別件第1回弁論調書が有効性を欠くとは認められないから、別件1回弁論調書の出席裁判官の記載内容については民訴法160条3項が適用されると解するのが相当である。

 別件控訴事件が係属した裁判所は、令和元年9月25日午後4時00分、法廷において、別件控訴事件の第1回口頭弁論期日を開き、同期目において控訴状及び控訴答弁書の陳述等がされた。
 別件第1回弁論期日の口頭弁論調書には、同期日に出席した裁判官として、白石哲裁判長裁判官、筒井健夫裁判官及び河合芳光裁判官の氏名が記載された(乙1)。別件第1回弁論調書は、民事訴訟規則66条1項の形式的記載事項並びに同条2項の裁判所書記官による記名押印及び裁判長による認印につき、欠けるところがなかった(乙1)。

 この点について、原告らは、調書の記載に明白な誤りがある場合、又は裁判官及び書記官が調書の記載内容の真正性の確保に向けて適正な権限を行使しない場合には、民訴法160条3項は適用されない旨主張する。
 しかしながら、原告らの主張によれば、①他の証拠によって調書の出席裁判官の記載に誤りがあると認められる場合、又は②裁判官及び書記官が調書の出席裁判官の記載内容の真正性の確保に向けて適正な権限を行使しない場合には、その誤りが発覚した時期にかかわらず、調書の出席裁判官の記載について同項は適用されないことになるが、そのような解釈は、上記①又は②の各場合に当たるか否かについて時期を問わず新たな紛争を生じさせることを許すこととなり、口頭弁論の方式については有効な調書の記載に絶対的な証明力を認め、他の証拠によって調書の記載を覆すことはできないものとして訴訟手続の安定性及び明確性を期そうとした同項の趣旨(前記2)を没却することになるから、採用できない。

 そうすると、民訴法160条3項より、別件第1回弁論期日に出席した裁判官は別件第1回弁論調書の記載内容のとおりということになるから、白石裁判長が、別件第第2回弁論期日において、別件第1回弁論調書の出席裁判官の記載内容を前提に裁判官交代の事実はないものとして弁論の更新を行わなかったことは、国賠法の適用上違法な行為といえない

(2)争点2ないし4に対する判断

 別件裁判所は、別件第2回弁論期日において、弁論を終結し、判決言渡期日を指定したが、その後、控訴人らの訴訟代理人弁護士は、白石裁判長及び別件裁判所に対し、裁判官交代の事実があったにもかかわらず、別件第2回弁論期日において弁論の更新が行われなかった旨を指摘したところ、本件書記官及び白石裁判長が別件第1回弁論調書が完成した後の最初の期日である別件2回弁論日より後の時点において同調書の出席裁判官の記載を更正することは、別件第1回弁論期日に出席した裁判官が加本裁判官であったか河合裁判官であったかをめぐって新たな紛争を生じさせるおそれがある上、弁論の更薪を行うために既に終結した弁論を再開する必要を生じさせるものであるから、これによって訴訟手続の安定性及び明確性が害されることになるので、本件において同調書の出席裁判官の記載を更正しでも訴訟手続の安定性及び明確性が害されない特段の事情があるとはいえない。
 そうすると、本件書記官及び白石裁判長が、別件第1回弁論調書の出席裁判官の記載について更正義務を負っていたとはいえない

 したがって、本件書記官及び白石裁判長が別件第1回弁論期日の出席裁判官を調査しなかったとしても、これをもって、国賠法の適用上違法な行為とはいえず、また、本件書記官及び白石裁判長が別件第1回弁論調書の出席裁判官の記載を更正しなかったことも、国賠法の適用上違法な行為といえず(争点3)、さらに別件第1回弁論調書の出席裁判官の記載内容を前提に(前記(1))、別件裁判所が別件控訴事件について弁論を再開して弁論の更新を行わなかったことも国賠法の適用上違法な行為といえない(争点2)。

 また、以上に述べたところに照らせば、忌避申立事件担当裁判所が別件第1回弁論期日に出席した裁判官が加本裁判官であったか河合裁判官で、あったかを審理しなかったことも、国賠法の適用上違法な行為といえない(争点4)。

4 以上によれば対争点5について判断するまでもなく、原告らの請求はいずれも理由がないから、これらを棄却することとして、主文のとおり判決する。

 


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