◆ 週25コマ、手取り15万円 社会保険なし、賞与もなし
◆ 小学校の先生を目指し
大学卒業後は教員採用試験の勉強をしながらアルバイトに励んでいました。採用試験が一段落した9月、学校で働きたいと思っていたところに、たまたま小学校と中学校の講師(1年毎に契約)の仕事が見つかりました。
授業は週に10時間程度。それだけだと生活ができないのでスーパーのレジのアルバイトなどを2個、3個かけもちしていました。
そのうち小学校の教師に魅力を感じ、小学校教員の免許取得のために通信制大学に入学しました。大学のスクーリングやレポートに追われながらの講師、アルバイトの毎日はとてもパードでした。
◆ 息をつく暇がない
今は、小学校で週25時間の授業を受け持つようになりました(表参照)。区の講師として16時間、都の講師として9時間です。
私のある一日を紹介すると、まず8時ぐらいに出勤、プリントを刷ったりして授業の準備をして、あわただしく1時間目が始まります。
2時間目は3年生の算数。習熟度別授業で担任の先生と私で指導。
3時間目は4年生の算数。4時間目は2年生の算数。
それで給食。給食の時間は、ほぼ子どもたちの所に行って食べて、給食後は子どもたちと遊んだりマル付けをしています。
5時間目は2年生の国語。国語は単元を主幹と割り振りして担当します。
6時間目は6年生の算数。一日どこでも息をつく暇がありません。
授業準備は6時間目が終わってから。
退勤は午後6時を過ぎることが多いです。ちなみに週案や自己申告書の提出はありません。
◆ これでは生活できない
生活は不安定で大変です。給料も授業の数で変わっていく。
都の講師の賃金は、一コマにつき1900円、区は1600円。
今は手取りで月15万円程度。社会保険もありません。
授業数が週25時間になり、まだましになった方ですが、土日に総菜屋や引っ越し屋などのアルバイトをかけもちしています。
徒歩で出勤して、交通費も浮かしています。
時間講師なので授業以外での給料は出ません。
だから給食や成績つけ、授業準備などの時間にはお金が出ない。行事が入って授業がつぶれたらその時間の給料もない。授業のない夏休みは、都の講師に対しては支払われますが、区の講師には支払われません。
夏休みに入る7月になると、何のアルバイトをしようかと考えながらすごす日々が多かったです。
もし講師としてやるのであれば、他にアルバイトをかけもったりではなくて、学校の中で1年間講師として働けるようにちゃんと保障してほしいです。
◆ 打ち合わせ時間がほしい
悩みは打ち合わせする時間がほとんどないこと。
就任して初めに職員室であいさつをして、その後、各学年と打ち合わせをしました。でも本当にそれっきり。
職員会議の参加はできないので、会議の時は職員室から帰されます。
小学校の指導助手として初めて授業に入った時、事前の打ち合わせも何もなかったのでびっくりしました。大学では「密に打ち合わせをするんだよ」って言われていたのに。
中学校の指導助手として初めて授業に入った時も、授業をやっていた先生に「あなたは何しにここに来ているの」と言われました。生徒からも言われた。この時が一番ショックでした。“私ってそんなに必要ないのかな”と悲しくなりました。
でも私も何も聞いていないからわからない。実は授業中、生徒が逃げないように見張っている仕事だったのですが。
担任の先生も忙しい。だから私も声をかけづらい。今では関係が築けてきたけど、やっぱり打ち合わせはしたいですよね。同じ講師仲間ともこのことをよく話しています。
週1~2回の授業だけでは子どもたちがどの程度、わかっているのかつかめない。子どもたちのことも知りたいし、授業をどうやっていこうか相談もしたいです。
《解説》 非正規への置き換えは「国策」
全国の学校で非正規職労働者が急増しています。
2002年には全体の約1割だった常勤・非常勤講師が、10年には15%以上、7人に1人に。講師以外にも支援員・指導員などさまざまな職種が入り、3分の1以上が非正規という学校も少なくありません。
非正規教員の急増は、国の政策で進められてきました。
義務教育費国庫負担制度が改定され、正規教員を1日4時間のパートタイム2人に振り替えることや、都道府県の裁量で常勤・非常勤の人数を増やすことが可能に。
06年には国庫負担金の国の補助率を2分の一から3分の一に減らし、負担が増えた各自治体は、正規教員の非正規への置き換えをさらに加速しました。
国は財源を保障せず、「規制緩和」により、正規教員を非正規教員に置き換える「自由」だけを各自治体に与えたのです。
『教育労働者全国通信』第19号(2012年5月1日)
東京・講師S
◆ 小学校の先生を目指し
大学卒業後は教員採用試験の勉強をしながらアルバイトに励んでいました。採用試験が一段落した9月、学校で働きたいと思っていたところに、たまたま小学校と中学校の講師(1年毎に契約)の仕事が見つかりました。
授業は週に10時間程度。それだけだと生活ができないのでスーパーのレジのアルバイトなどを2個、3個かけもちしていました。
そのうち小学校の教師に魅力を感じ、小学校教員の免許取得のために通信制大学に入学しました。大学のスクーリングやレポートに追われながらの講師、アルバイトの毎日はとてもパードでした。
◆ 息をつく暇がない
今は、小学校で週25時間の授業を受け持つようになりました(表参照)。区の講師として16時間、都の講師として9時間です。
私のある一日を紹介すると、まず8時ぐらいに出勤、プリントを刷ったりして授業の準備をして、あわただしく1時間目が始まります。
2時間目は3年生の算数。習熟度別授業で担任の先生と私で指導。
3時間目は4年生の算数。4時間目は2年生の算数。
それで給食。給食の時間は、ほぼ子どもたちの所に行って食べて、給食後は子どもたちと遊んだりマル付けをしています。
5時間目は2年生の国語。国語は単元を主幹と割り振りして担当します。
6時間目は6年生の算数。一日どこでも息をつく暇がありません。
授業準備は6時間目が終わってから。
退勤は午後6時を過ぎることが多いです。ちなみに週案や自己申告書の提出はありません。
◆ これでは生活できない
生活は不安定で大変です。給料も授業の数で変わっていく。
都の講師の賃金は、一コマにつき1900円、区は1600円。
今は手取りで月15万円程度。社会保険もありません。
授業数が週25時間になり、まだましになった方ですが、土日に総菜屋や引っ越し屋などのアルバイトをかけもちしています。
徒歩で出勤して、交通費も浮かしています。
時間講師なので授業以外での給料は出ません。
だから給食や成績つけ、授業準備などの時間にはお金が出ない。行事が入って授業がつぶれたらその時間の給料もない。授業のない夏休みは、都の講師に対しては支払われますが、区の講師には支払われません。
夏休みに入る7月になると、何のアルバイトをしようかと考えながらすごす日々が多かったです。
もし講師としてやるのであれば、他にアルバイトをかけもったりではなくて、学校の中で1年間講師として働けるようにちゃんと保障してほしいです。
◆ 打ち合わせ時間がほしい
悩みは打ち合わせする時間がほとんどないこと。
就任して初めに職員室であいさつをして、その後、各学年と打ち合わせをしました。でも本当にそれっきり。
職員会議の参加はできないので、会議の時は職員室から帰されます。
小学校の指導助手として初めて授業に入った時、事前の打ち合わせも何もなかったのでびっくりしました。大学では「密に打ち合わせをするんだよ」って言われていたのに。
中学校の指導助手として初めて授業に入った時も、授業をやっていた先生に「あなたは何しにここに来ているの」と言われました。生徒からも言われた。この時が一番ショックでした。“私ってそんなに必要ないのかな”と悲しくなりました。
でも私も何も聞いていないからわからない。実は授業中、生徒が逃げないように見張っている仕事だったのですが。
担任の先生も忙しい。だから私も声をかけづらい。今では関係が築けてきたけど、やっぱり打ち合わせはしたいですよね。同じ講師仲間ともこのことをよく話しています。
週1~2回の授業だけでは子どもたちがどの程度、わかっているのかつかめない。子どもたちのことも知りたいし、授業をどうやっていこうか相談もしたいです。
《解説》 非正規への置き換えは「国策」
全国の学校で非正規職労働者が急増しています。
2002年には全体の約1割だった常勤・非常勤講師が、10年には15%以上、7人に1人に。講師以外にも支援員・指導員などさまざまな職種が入り、3分の1以上が非正規という学校も少なくありません。
非正規教員の急増は、国の政策で進められてきました。
義務教育費国庫負担制度が改定され、正規教員を1日4時間のパートタイム2人に振り替えることや、都道府県の裁量で常勤・非常勤の人数を増やすことが可能に。
06年には国庫負担金の国の補助率を2分の一から3分の一に減らし、負担が増えた各自治体は、正規教員の非正規への置き換えをさらに加速しました。
国は財源を保障せず、「規制緩和」により、正規教員を非正規教員に置き換える「自由」だけを各自治体に与えたのです。
『教育労働者全国通信』第19号(2012年5月1日)
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