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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

竹富島に「つくる会教科書」を使わせるための法改正

2014年05月20日 | こども危機
 ● 政治的意図で「改正」される教科書無償措置法
吉田典裕(子どもと教科書全国ネット21常任運営委員
/出版労連教科書対策部長)

 ● 乱暴な審議で「改正」を可決
 「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」(「無償措置法」)の一部「改正」案が3月26日に衆議院文部科学委員会で、27日には同本会議でそれぞれ可決され、参議院へ送られました。本紙が皆さんの手元に届くころには残念ながら成立しているでしょう。
 発端となったのが沖縄県八重山採択地区で採択する教科書が一本化できなかったことです。このことは下村文部科学大臣自身も認めています。
 八重山問題についてはこの「ニュース」紙上でも報告されてきたので省略しますが、文科委員会での下村文科相や文科省の答弁では竹富町教育委員会を一方的に「違法状態」「法治国家ではありえない」などと誹誘する発言が出されたことを報告しておきます(文科委の様子は「衆議院インターネット審議中継」で見ることができます)。
 改正案は、2月28日に閣議決定され、即日衆議院に提出されました。3月19日の文科委で趣旨説明が行われました(わずか数分)。その後の経過は冒頭のとおりですが、26日のわずか5時間の審議で出された賛成派の議員の発言や答弁は聞くに堪えない内容でした。
 自民党宮川委員は「教科書点数の適正化を図れ」(もっと教科書の種類を減らせ)などと発言し、「自虐史観」などという言葉も出されました。反対派の議員から出された批判にたいし、下村文部科学大臣や文部科学省からは、真摯な答弁はまったく聞かれませんでした。
 ● 無償措置法「改正」の3つのポイント
 「改正」案のポイントは次の3点です(文部科学省「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律の一部を改正する法律案の概要」)。
 (1)複数の教育委員会から成る採択地区で「採択地区協議会」の設置を義務づけ、採択は教育委員会の意向より採択協議会の意向が優先する。
 (2)採択地区の設定単位を「市郡」から「市町村」に改める。
 (3)教科書採択の結果と理由を公表するよう努めるものとする。

 (1)について。文科省はこれまで「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(地教行法)第23条6号を根拠に「教科書の採択権は教育委員会にある」と主張してきました。「改正」案は教育委員会より採択協議会が優先するというのですから自己矛盾です。
 そこで持ち出してきたのが、相互に異なる法規定については、「特別法」が「一般法」に優先するという法解釈です。つまり「特別法」である無償措置法の規定が「一般法」である地教行法に優先するということです。教育条理とは無縁の議論というほかありません。
 そのうえ「採択地区協議会の組織・運営については政令で規定」するので、国会の審議なしに文科省が勝手に決められることになります。
 (2)ですが、採択地区を細分化しても現場の意向が尊重される制度でなければ採択制度の改善にはつながりません。改正案ではそうはならないでしょう。
 (3)は、東京都教育委員会を発火点とする高校日本史教科書採択妨害・排除のように、採択理由を外から追及することを可能にする点にあるといえます。
 ● 発行自由の拡大と現場の意向反映を
 無償措置法自体は改正されなければならない法律ですが、教科書発行の自由を拡大し、現場の意向が反映する採択制度に向けた改善でなければ評価するわけにはいきません。
 今回の「改正」からはそのような方向性はまったく見えず、あるのはひたすら政治的な背景と目的ばかりです。このような「改正」には反対というほかありません。(よしだのりひろ)
『子どもと教科書全国ネット21ニュース 95号』(2014.4)

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