▼ 原発のない故郷
はち切れんばかりの福島市の総合体育館。二十三日、超満員の「原発のない福島を!県民大集会」で発言する人たちの声を聞いて、わたしはあらためて、怒りのフクシマを感じさせられていた。
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約7000人が集まった会場=23日午後、福島市で(TOKYO Web)
農業、漁業、林業、旅館業、県外避難者、高校生などが発言したのだが、ここでの「東京電力」ほど、怨嗟に包まれた存在はない。
それでも、これから地元にいて、経営をできるのだろうか。あり得ないことだと思う。
もちろん、反対集会だから、賛成派の発言はない。が、県知事も県議会も、県内十基の原発すべての廃炉を求めている。
この二年、そしてこれからも原発への怒りと不安とともに暮らすのは、精神的な負担が多すぎる。
わたしは、北海道から沖縄まで、そのいたるところで、放射能に追われた避難者家族とお会いしている。
その日、発言した女性の友人は、事故後、子どもに無理やりうがい薬を飲ませたそうだ。放射能に対する、なんの防護策もなかったからだ。
わたしもあいさつをさせていただいたので、三十二年前、福島第一原発の正門近くに住んでいた、当時七十三歳の橋本鉄治郎さんの話を紹介した。
彼は買収に応じて酪農をやめ、建設用地の管理人になった。
「二十年、三十年たって、事故がないかどうか。孫たちから、バカヤローと言われないか」と彼は悩んでいたのだ。
『東京新聞』(2013/3/26【本音のコラム】)
▼ 「再稼働認めない」 福島の脱原発集会に7000人 (TOKYO Web)
福島市で二十三日、脱原発を求める集会があり、主催者発表では福島県内外から約七千人が集まった。参加したルポライターの鎌田慧さんは「東京電力福島第一原発事故は生活を破壊した。もう過ちを繰り返したくない。再稼働は認めない」と訴えた。
集会では農業や林業など各界の代表者が厳しい現状を報告。今月高校を卒業し、県内の大学に進学する同県南相馬市の高野桜さん(18)も壇上に上がった。
避難の都合で家族が山形県と福島県に分かれて暮らす状況を話し、「至る所にモニタリングポストがあったり、家族がばらばらだったりするのが当たり前になっているのはおかしい」と怒りをぶつけた。
会場には「放射能のない福島を返せ」などと書かれたのぼりが多数立てられた。参加した福島市の中学校教諭、鈴木直さん(48)は「娘二人の健康のために放射能を意識して生活せざるを得ない。原発をなくしてほしい」と話した。
『東京新聞』(2013年3月24日 朝刊)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013032402000139.html
鎌田 慧(ルポライター)
はち切れんばかりの福島市の総合体育館。二十三日、超満員の「原発のない福島を!県民大集会」で発言する人たちの声を聞いて、わたしはあらためて、怒りのフクシマを感じさせられていた。
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約7000人が集まった会場=23日午後、福島市で(TOKYO Web)
農業、漁業、林業、旅館業、県外避難者、高校生などが発言したのだが、ここでの「東京電力」ほど、怨嗟に包まれた存在はない。
それでも、これから地元にいて、経営をできるのだろうか。あり得ないことだと思う。
もちろん、反対集会だから、賛成派の発言はない。が、県知事も県議会も、県内十基の原発すべての廃炉を求めている。
この二年、そしてこれからも原発への怒りと不安とともに暮らすのは、精神的な負担が多すぎる。
わたしは、北海道から沖縄まで、そのいたるところで、放射能に追われた避難者家族とお会いしている。
その日、発言した女性の友人は、事故後、子どもに無理やりうがい薬を飲ませたそうだ。放射能に対する、なんの防護策もなかったからだ。
わたしもあいさつをさせていただいたので、三十二年前、福島第一原発の正門近くに住んでいた、当時七十三歳の橋本鉄治郎さんの話を紹介した。
彼は買収に応じて酪農をやめ、建設用地の管理人になった。
「二十年、三十年たって、事故がないかどうか。孫たちから、バカヤローと言われないか」と彼は悩んでいたのだ。
『東京新聞』(2013/3/26【本音のコラム】)
▼ 「再稼働認めない」 福島の脱原発集会に7000人 (TOKYO Web)
福島市で二十三日、脱原発を求める集会があり、主催者発表では福島県内外から約七千人が集まった。参加したルポライターの鎌田慧さんは「東京電力福島第一原発事故は生活を破壊した。もう過ちを繰り返したくない。再稼働は認めない」と訴えた。
集会では農業や林業など各界の代表者が厳しい現状を報告。今月高校を卒業し、県内の大学に進学する同県南相馬市の高野桜さん(18)も壇上に上がった。
避難の都合で家族が山形県と福島県に分かれて暮らす状況を話し、「至る所にモニタリングポストがあったり、家族がばらばらだったりするのが当たり前になっているのはおかしい」と怒りをぶつけた。
会場には「放射能のない福島を返せ」などと書かれたのぼりが多数立てられた。参加した福島市の中学校教諭、鈴木直さん(48)は「娘二人の健康のために放射能を意識して生活せざるを得ない。原発をなくしてほしい」と話した。
『東京新聞』(2013年3月24日 朝刊)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013032402000139.html
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