小学校から一貫校~東京・品川区
将来のエリートを選別・育成する公教育の最先端を走る東京都品川区。学校自由選択制、区独自の学カテスト、小中一貫校の設置、小中校6.3制を4・3・2制にする学制の変更、「市民科」創設、すまいるスクール開設…。これらの「改革」プランがマスコミ発表されるたびに、一番驚いてきたのは現場の教師たちだった。新自由主義の発想を採り入れた「品川区の教育改革プラン21」決定から6年余。疲れ果て、絶望し辞めていく教師が後を絶たないと憤る品川教職員組合が告発。ハンフを発行した。
エリート養成へ~教職員組合が告発
品川区は「プラン21」(99年8月決定)によって独自に、学校選択制(小学校は00年~、中学校は01年~)、学校評価制度、小中一貫校・小中一貫教育(04年~)、学カテスト、習熟度別教育などをシステム化した。エリートを選別し、国に役立つ人材として提供することが狙いだ。
この中で、子どもはできる(能力のある)子とできない子に、学校は良い学校(一貫校と特色のある学校)と悪い学校(底辺校)に、教員は指導力のある先生とない先生に色分けされる。
できる子は一貫校等へ進み、良い学校には特別予算を配当、指導力不足の先生は退職に追い込まれる。
04年に発足した小中一貫校は2校。同時に、全小中学校を4・3・2制に切り替えた。
小1~4の4年間は学級担任制とし、必修授業を基本に習熟度別や英語を組み込んだ。
小5~中1の3年間と中2~3の2年間は教科担任制にし、選択授業を増やし、少人数の習熟度別授業を実施。また、英数国中心の受験教科を増やし、能力別上位グループには卒論などを課す。その成果は、「日比谷高校の合格者数」。
創設された「市民科」は総合的な学習時間に代わる授業で、いわば強められた道徳教科といえる。生活の自己管理、職業・金融理解、集団活動を重視。擬似経済活動を体験させるスチューデント・シティーもその一環だ。すまいるスクールは、放課後や土曜日を自習、パソコン教室など、子どもの「居場所」の提供として開設された。
教員、転出希望が急造~「品流し」「品巡り」
東京・品川区の教育改革「プラン21」は教職員の心身をズタズタにさいなむ。もの言えば「出て行ってもらいます」。校長は「経営者」であり、学校はマネジメントの場に変じた。
教員は、子どもたちを学カテストや習熟度別指導でエリート選別のふるいにかけなければならない。緊張を強いられる子どもたち、様変わりした学校。絶望して辞め、異動を希望するベテラン教員。研修と学力向上にあくせくする若い教員も業績評価によっていつドロップアウトさせられるかと戦々恐々の毎日だ。
「プラン21」が始まってから、教職員の転出希望が急増し、転入の10倍になった。逆に、品川区への転入者は「品流し」と敬遠されている。そのため、毎年50人の新規採用教員が配属され、経験が浅い教員ばかりという異常さだ。
小中一貫校に批判的であったり、消極的と見なされた教員は“血の入れ替え”にあう。他区への異動とともに、区内の異動が増えた。これを椰楡(やゆ)して「品巡り」と言う。
校長主導の研修体制が強まった。学校選択制のため、各校がホームページを開設し、週案の公表、学級づくりなどで宣伝を競い合う。学校公開期間が延び、土日のPTA行事も増えた。
子どもたちは競争漬け
小学校の実態の一端。登校時刻(8時15分~25分)のあと8時40分までの15分間は国語の朝学習がある。ランドセルを机の上に置いたままの子どもをせかす。
国語と算数の少人数学習が週4時間。一単元が終わると次の単元に入るため、ワークテストの時間がとれない。プリント類が増え、準備や処理が時間外になる。担任の裁量時間が取りにくくなった。加えて、算数をABCの3グループに分ける習熟度別学習と習熟度定着テスト、掃除のあと5校時が始まるまでの読書タイム、少人数学習のはじめ5分間の既習漢字テスト、月1回月曜日の6校時の学習相談日(「お残り時間」)。とにかく目の回るほどの忙しさだ。
「プラン21」とともに学校運営が民主的でなくなった。教員の意見を聞かず自分勝手、わがまま、横暴、独裁的な校長が目立つようになった。子どもの情操を育てるより、見栄えや体面を重んじる教育が優先されるようになった。教頭(副校長)も校長の顔色をうかがって、子どもと触れ合わない、教職員とのコミュニケーションをとろうとしない、そんなタイプが増えた。
個性と能力がある人材育成と意欲のある学校づくりー。そのかけ声のもと、子どもたちも教職員も、ストレスがたまり、心身をすり減らしている。品川区教職員組合は呼びかける。「子どもも私たちも生身の人間です。組織体としての力学通り動くわけではありません。ごく一部のエリート作りのための『教育改革』に反撃し、競争を排し、健康で働き続けられる職場と、みんな一緒に学び育つ学校を目指しましょう。」
『教育酷書』~品川の教育改革「プラン21」を職場の実態から告発する
2005年8月品川区教職員組合
を紹介した『週刊新社会』2006/1/26号&1/31号から
将来のエリートを選別・育成する公教育の最先端を走る東京都品川区。学校自由選択制、区独自の学カテスト、小中一貫校の設置、小中校6.3制を4・3・2制にする学制の変更、「市民科」創設、すまいるスクール開設…。これらの「改革」プランがマスコミ発表されるたびに、一番驚いてきたのは現場の教師たちだった。新自由主義の発想を採り入れた「品川区の教育改革プラン21」決定から6年余。疲れ果て、絶望し辞めていく教師が後を絶たないと憤る品川教職員組合が告発。ハンフを発行した。
エリート養成へ~教職員組合が告発
品川区は「プラン21」(99年8月決定)によって独自に、学校選択制(小学校は00年~、中学校は01年~)、学校評価制度、小中一貫校・小中一貫教育(04年~)、学カテスト、習熟度別教育などをシステム化した。エリートを選別し、国に役立つ人材として提供することが狙いだ。
この中で、子どもはできる(能力のある)子とできない子に、学校は良い学校(一貫校と特色のある学校)と悪い学校(底辺校)に、教員は指導力のある先生とない先生に色分けされる。
できる子は一貫校等へ進み、良い学校には特別予算を配当、指導力不足の先生は退職に追い込まれる。
04年に発足した小中一貫校は2校。同時に、全小中学校を4・3・2制に切り替えた。
小1~4の4年間は学級担任制とし、必修授業を基本に習熟度別や英語を組み込んだ。
小5~中1の3年間と中2~3の2年間は教科担任制にし、選択授業を増やし、少人数の習熟度別授業を実施。また、英数国中心の受験教科を増やし、能力別上位グループには卒論などを課す。その成果は、「日比谷高校の合格者数」。
創設された「市民科」は総合的な学習時間に代わる授業で、いわば強められた道徳教科といえる。生活の自己管理、職業・金融理解、集団活動を重視。擬似経済活動を体験させるスチューデント・シティーもその一環だ。すまいるスクールは、放課後や土曜日を自習、パソコン教室など、子どもの「居場所」の提供として開設された。
教員、転出希望が急造~「品流し」「品巡り」
東京・品川区の教育改革「プラン21」は教職員の心身をズタズタにさいなむ。もの言えば「出て行ってもらいます」。校長は「経営者」であり、学校はマネジメントの場に変じた。
教員は、子どもたちを学カテストや習熟度別指導でエリート選別のふるいにかけなければならない。緊張を強いられる子どもたち、様変わりした学校。絶望して辞め、異動を希望するベテラン教員。研修と学力向上にあくせくする若い教員も業績評価によっていつドロップアウトさせられるかと戦々恐々の毎日だ。
「プラン21」が始まってから、教職員の転出希望が急増し、転入の10倍になった。逆に、品川区への転入者は「品流し」と敬遠されている。そのため、毎年50人の新規採用教員が配属され、経験が浅い教員ばかりという異常さだ。
小中一貫校に批判的であったり、消極的と見なされた教員は“血の入れ替え”にあう。他区への異動とともに、区内の異動が増えた。これを椰楡(やゆ)して「品巡り」と言う。
校長主導の研修体制が強まった。学校選択制のため、各校がホームページを開設し、週案の公表、学級づくりなどで宣伝を競い合う。学校公開期間が延び、土日のPTA行事も増えた。
子どもたちは競争漬け
小学校の実態の一端。登校時刻(8時15分~25分)のあと8時40分までの15分間は国語の朝学習がある。ランドセルを机の上に置いたままの子どもをせかす。
国語と算数の少人数学習が週4時間。一単元が終わると次の単元に入るため、ワークテストの時間がとれない。プリント類が増え、準備や処理が時間外になる。担任の裁量時間が取りにくくなった。加えて、算数をABCの3グループに分ける習熟度別学習と習熟度定着テスト、掃除のあと5校時が始まるまでの読書タイム、少人数学習のはじめ5分間の既習漢字テスト、月1回月曜日の6校時の学習相談日(「お残り時間」)。とにかく目の回るほどの忙しさだ。
「プラン21」とともに学校運営が民主的でなくなった。教員の意見を聞かず自分勝手、わがまま、横暴、独裁的な校長が目立つようになった。子どもの情操を育てるより、見栄えや体面を重んじる教育が優先されるようになった。教頭(副校長)も校長の顔色をうかがって、子どもと触れ合わない、教職員とのコミュニケーションをとろうとしない、そんなタイプが増えた。
個性と能力がある人材育成と意欲のある学校づくりー。そのかけ声のもと、子どもたちも教職員も、ストレスがたまり、心身をすり減らしている。品川区教職員組合は呼びかける。「子どもも私たちも生身の人間です。組織体としての力学通り動くわけではありません。ごく一部のエリート作りのための『教育改革』に反撃し、競争を排し、健康で働き続けられる職場と、みんな一緒に学び育つ学校を目指しましょう。」
『教育酷書』~品川の教育改革「プラン21」を職場の実態から告発する
2005年8月品川区教職員組合
を紹介した『週刊新社会』2006/1/26号&1/31号から
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