『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

第104回 音楽家講座 in 鶴見 3月24日(水)

2021-03-25 14:53:50 | 音楽家講座・甲野善紀先生を迎えて
桜が咲き始めた良いお天気の一日でした。

先生は「・・Wブッキングしてしまいました・・」

午後から江東区で。なんと合気道の志ある若者たちに請われての講座。

それも、合気道のレジェンドともいえる大物のお孫さん、というから驚きです。

こうした伝統武術の世界も新たな流れが生まれているようです。


ようやく緊急事態宣言も解除され、通常通りの開催。

個別指導の時の時間配分にさほど神経質にならずにすむのはありがたいです。

前半のお話では・・

脳と腸の話。

「脳は、そもそも生物学的には腸の子供みたいなものなんです。」

これは私もTVでみて知っていた。腔腸動物から進化し、脊髄、脳と生まれてきたのだそう。

面白いのは、先生の「親子」という発想。

それも仲の悪い親子。

子である脳は、どんどんと暴走しがちで、腸である親のいう事など、聞かない。

でも、腸は親なので、子供である脳が大変になると、それを案じて具合が悪くなる、とか。

さらには、最近、鼻の奥にある器官が発見されたというお話も。

何故それが今まで見過ごされていたかというと、死んでしまうと、それはただの膜のようになってしまって、わからなかったのだそう。

生きている時だけ存在している器官って何だろう?魂みたいなもの?と妄想は羽ばたく・・

演奏でも、脳の関与がないものが良いのだろう。

「自分で演奏している気がしない」

「我ならざる我」

これらの言葉は、もうここ何年も、ずっと先生が仰り続けている。

手首の外側に関する知見と実証も。



私は最近のモデルチェンジに伴って気になり始めた足指の取り扱い方について質問。

様々な身体操法でも「足は大事」と言われているし、私もベタっと立つのではなく、指先で、とやってきたけれど、ここにきて、ついついその足指に力が入ってしまって、それが気になっていた。

と、先生は合気上げ?というのか?を二通りやってくださった。

一つは、通常の合気道で行われているもので、それは、まあ、力持ちなら抑えられるのではないかという方向性がわかるもの。

もう一つは先生のオリジナルで、もう何が何やら。
気が付くと運ばれている。

「こう、掴まれたものをもらって・・」

と解説されたが、その時のむしろフワリとした手の感じとそれなのに、いや、それだからこそなのだろうが、そのエネルギーの強さに驚いた。

「もらって」という言葉がその後はずっとリフレイン。

思えば、「自動音量調整装置」を作るときの手の内に力みがあり過ぎたから、足指にまでその影響が出ていたのだ、ということも自覚。

おそらく、それは他の手の内でも同様だろう。

「もらって・・」という心がけで手の内を作った方が、より身体が繋がるじゃないのよ、と講座の間、なんども確かめていた。

「手の内」は誰もがその指の恰好にすればある程度はできるもので、だからこそ「手の内を明かす」という言葉もあるけれど、そのクオリティには相当差があるのだなあ、きっと・・と今更ですが感じた次第です。

また足指に関しても、「まず足指ありき」ではなく、「結果としての足指」ということ。

先生にうかがったところ、足指を意識的にどうのこうのして、ということは一切してこなかったのだそう。

これは、呼吸の考え方にも通じている。

身体の種々の動きに付随して、足指の状態も変化するのだろう。

あと、ギタリストからの「本調子で弾けるようになるまで30分くらいかかる。さっとすぐに良いパフォーマンスができるようになるにはどうすれば?」という問いに

日頃やっているのと反対の手の恰好をさせる、という提案。

やり込んでいる人ほど、同じ感覚で持ってしまうから、身体は退屈してしまっている。

それを普段やらない反対の動きを事前に少しすることで、身体がハっとして、ちょっと喜ぶ?というようなお話も面白かった。

これは、先日の「過去の捨て方」の気付きにも通じていて、ああ、そういうことだったのか、と納得。

・・今度は生徒さんにも、反対向きに構えてもらおう・・

・・・・

後半の個別指導は4名

武術をやっている方からは、真似することに関しての質問。

型を真似る、とはどういうことか。

いきなりの深い問いで始まりましたが、先生の答えは・・

左右の指を正面に向け、同じ方向にぐるぐるまわす。

それをそのままにしつつ指が向き合うようにすると・・

これも、以前、何度か身体の感覚を箸なうために御教えいただいていたものだ。

最初、左右が百方向ならどうというもともない動きだが、これが最初同じだと、向き合った時は逆となって、とてもやりにくい。

「そのままただ動いていればいいのに、すぐに脳が介入してきて、あれ?となりますよね。」

さらには、正面の動きで左右同じ時計回りだとしても片方が3時開始、もう片方が9時開始で動くと身体の真ん中での動きは片方が下降し、もう片方は上行するので、逆の動きに感じられてしまう、というのも面白かった。



ピアニストには指紐と鎖紐の四方襷で、毎回その効果には驚かされる。
粒立ちが明確になりクリアに。








四方襷は、かけ方の手順も大事で、必ず右肩からなのですが、試しに左肩からやってみたら、驚くほど、見た目にもグズグズに見えて面白かった。



ご本人も「弾ける気がしない」。

弾いていただいたところ、音も別人のようにベトっと。

右と左が違うだけなのに、本当に不思議です。


クリスタルボウルの響きも素晴らしかった。
ホールだと、より残響が残るのだろうけれど、聞こえなくなってからも、まだきっと鳴っているんだろうな、と耳とは別の器官が聴きとっているような感覚。
ずっと聴いていたいと思う響き。

この響きを味わっている先生のご様子も興味深いものでした。

「これは、動物も寄ってくるでしょうね。湖とかだと、魚なんかも集まってくるんじゃないですかね。」

ヒーリングとして、何人か、寝そべっている人達の中心で行うのだそう。
世の中、色々な世界があるものだ。
こうしたヒーリング系のものを操ると、色々もらってしまって、それを自分では全て、天に上げているつもりでも、やはり中々難しく、残っているので、それを落とすためには、時々自然の中で叩いてやると良いとのご助言。

あと、手指の動きで色々と操作する。

この時の先生の手指のしなやかさは本当に美しかった。
何か別の生き物の様。

「真言の印でも、勝手に手指が変わっていくようじゃないと効果がないように・・」

との説明に、不可思議な世界の存在を垣間見た心地。



オフィスのデスクワークでの足のむくみをなんとかしたい、という質問には、即
「裸足で」

でも、ドレスコードがあって、スリッパに履き替えていても叱られるという厳しい環境(ひどい!)とのこと。


それならば、とひざ下の紐。

最初は片足だけだったのですが、とたんに浮いてみえた。






これは浮きを書けるのにとても良い装置と直感。

フルートにも良いに違いない。ドレスの下に仕込めるし。

問題はきつく巻いてはいけないので、緩いと紐が落ちてくること。

絆創膏か何かで止めるといいんじゃないでしょうか、と先生。

他にも色々ありましたが、とりあえず、覚えていることを。

今回も楽しい時間となりました。

ご参加くださった皆様、ありがとうございました!

次回は4月28日(水)です。