箆柄暦『箆柄日記(ぴらつかにっき)』

沖縄へ流れ着いた箆柄暦のぴらつかさんの
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南城市文化遺産めぐりコンサート「組踊」第4回:大里 南風原区公演@食栄森御嶽。

2016-11-26 13:09:00 | 箆柄日記
南城市文化遺産めぐりコンサート「組踊」第4回:大里 南風原区公演@食栄森御嶽。シリーズ4回目は、御嶽の庭にしつらえた小さな舞台で、子の会(しーのかい)による「唱え組踊」の上演。

「食栄森御嶽」は南城市南風原の高台にある御嶽で、会場はその下にある杜に囲まれたひろば。「子の会」とは国立劇場おきなわ組踊研修修了者で構成された会で、みな、組踊の第一人者からみっちり基礎から学んだ若き手練れたち。「唱え組踊」とは、地歌の演奏と唱え(組踊における台詞の意)のみで行う上演形式で、組踊の地謡(フルサイズ)をバックに立ち方は衣装も着けず化粧もせず、数人で行う。

今回のシリーズは、組踊をどこまでそぎ落とした環境で上演できるかの挑戦でもあったが、前回(11/11@安座真ムラヤー広場)見た通常形式の組踊よりさらにそぎ落とした環境での上演だった。

まず、鈴木耕太さんの解説で、組踊の基礎知識と本日の演目『執心鐘入』の筋立てを聞く。「ストーリーを知ってから楽しむのが組踊」と知る。そして、耳で楽しむものだということも学んだ。「唱え組踊」はかつては特殊なものでは無く、お正月に、酒宴の席に、楽しまれていた形式だったことも。

その前提を持ってすれば、今回の公演は最高の環境での観賞だったのかも。ほとんど生音に近い地謡の演奏と、紋付き袴姿の役者3名が、床だけの舞台の赤い毛氈の上で演じる舞台に耳を傾けると、するすると物語のなかに引き込まれていく。演奏と唱えがとろけるように甘く、耳の中に流れ込んでくる。

演目が終わり、鈴木耕太さんと地謡、立ち方から1名ずつが舞台に上がり、アフタートーク。このような形式での上演は、練習で行うくらいで、人前で、しかも野外で公演するのはきわめて珍しく、本人たちも初めての経験だとか。とくに立ち方は、ノーメーク、衣装なしの素の状態なので緊張したとのこと。

さらに、立ち方の川満香多さんが、子どもから老人まで、唱えだけで演じ分けて会場が沸いた。シリーズ中これが、いちばんそぎ落とした演目だったかも。

最後は出演者と握手会のおまけ付き。おばあちゃんから子どもまで、お客さんが次々に舞台に近寄り握手。こういうことも普段はあまりないらしい。ミニマムな公演だけに実現したことなのかも知れない。

スタッフのみなさんご苦労様でした。また機会があれば、見てみたいです。

上演のご相談は、スタートライン(TEL 098-882-2500)まで。
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