世にある日々

現世(うつしよ)は 愛おしくもあり 疎ましくもあり・・・・

かなしみの中のやさしさ

2011-12-04 | Mozart 幻想












Piano sonata No2 in F   adagio   K.280



かなしみの底にいても
  やさしい眼差しでいられるのかな ・・・・

悲しみに侵されずに
  とうめいなこころを持っていられるかな ・・・・


この身には
避けきれない人生の苦しみや
欲望 とか さみしさ が襲ってくるけど

 それでも ・・・・

それでも

そこはかとなく やさしい雰囲気で
あなたを 包み込むことが
  できるかな ・・・・







Adagio from sonata No 2 in F, K. 280






かなしみの向こう

2011-07-29 | Mozart 幻想











交響曲 第41番 k.551 「ジュピター」  第一楽章



毎日が苦しいし
愚かな自分がイヤになる
失敗する自分も腹立たしい

自分の運命は受け入れるのに苦労するし
孤独には耐えきれない
さみしがりや だし
すごく 甘えんぼだ

どうしょうもない自分がここにいる


でも ・・・・
そんな いやな自分を全部ひっさげて

不完全な自分のまま
残りの人生を駆け抜けていこう

バランスを崩した瞬間
また バランスを取り戻し
危なっかしくも
アレグロ・ヴィヴァーチェで *
残りの人生を駆け抜けよう


それにしても 最後の交響曲なのに
「 高みとか 完成度とか そんなもの関係ないよ 」 って
不安と不完全さをぶらさげて
突っ走っていく生き方の潔さ
 
その 軽やかなドライブ感 ・・・・

いや やっぱりアナタはステキです




                                         *アレグロ・ヴィヴァーチェ  早く・活発に










悲しくて 息をするのがやっと
と いう時もあった

自分の人生を手のひらにのせて
何も思わず ぼんやり見ていた時もあった

子供たちの世話に疲れ果て
家にいたくないと思って
スタバに逃げていった時もあった

でも 時は流れて

人生ってこんなもんかなぁ~
って 思うようになった

人生の苦しみ・悲しみの回廊を
 通り抜けてきた ・・・・

そして
学んだものは 自由

どんな苦しみも悲しみも
僕を その色に染めることは できないし
僕の魂を縛り付けることは できない

それは かえって
僕のエメラルドブルーの魂の光を
いっそうと 深くしていく


何も求めない強さ
何も握りしめていない自由
そして 愛の深みを観つめる こころ

どんなところであろうと
僕が存在するところが
真実の世界

それは
愛が顕れるための空間と時間

そこに 無限の形式で
僕は 愛を表現していく

それが 僕のいのちなんだ


最近 そんなことが解ってきた





Symphony no. 41 K. 551 "Jupiter" I. Allegro Vivace









不幸を握り続けて ・・・・

2011-01-15 | Mozart 幻想











ピアノ協奏曲 第23番     k.488



ソナタ形式の弦と木管の演奏のあと
ポツンと入ってくるピアノ

ひとつひとつの音が煌めいて消えていく
二度と戻らないひとつひとつの音

それでも
その音は確実にこころのなかに何かを残していく

不幸を握り続けて
この音たちが奏でる
軽やかな流れの中にいることは出来ない

もし 握り続けていたら
この音たちと不幸なこころが乖離していく

第2楽章のかなしみにしてもそうだ

コップの中の泥水が
しだいに水と泥が分離してくるように
かなしみと苦しみが分離してくる

上澄みの水のような
すんだかなしみ

このかなしみが第2楽章の中にはある


不幸を握り続けて
   モーツァルトは聴くことはできない ・・・・・・・









手の怪我がまだ治らない・・・・

左手が使えないので食事も作れない

だから ここ一ヶ月ほど
出来合のものばかり買ってきて食べている

こんな状態だから
ブログの更新もままならず・・・・

でも まあ

不幸を握り続けるのは
僕のスタイルじゃないから乗り切るしかないと思う

ここから 学べるものも
あるのかなって 思う







piano concerto 23 1st movement

piano concerto 23 2nd movement





愛についての思索

2010-11-07 | Mozart 幻想










休みの日の朝
Mozart のピアノソナタを聴きながら
愛について思索する

この歳になって
とても 青くさいことだと思うけど
生来の癖 なんだろうか
愛というものを真面目に考えている


今世の僕は 二つのベクトルを持っていて
いつも ちがう二つのものが
ひとつになって存在する

これが分かったとき
けっこう おもしろいヤツだなぁ
と 自分で思った

愛についても
僕の心と行動に
同時にふたつのベクトルが存在して
退屈させない愛となる

愛について深く思索しながら
Mozart のピアノソナタのように
軽やかに自由に愛を表現してしまう

でも その割には

けっこう さみしがりやだったりする






Piano Sonata in F major, K. 533 & 494- 1st mov. Allegro [K. 533]

Piano Sonata in F major, K. 533 & 494- 2nd mov. Andante [K. 533]

Piano Sonata in F major, K. 533 & 494- 3rd mov. Rondo: Allegretto [K. 494]





天使が降りてくる音楽

2010-11-04 | Mozart 幻想










セレナード 第10番 K.361  《グラン・パルティータ》 第3楽章


ごく普通の譜面だった
出だしは驚くほど単純だ
バスーン や バセットホルンが
ぎごちなく響く
さびついたような音

だが突然 ―
その上に ―
オーボエが
自信に満ちた音色

そして
クラリネットが引き継ぐと・・・

甘く とろけるような
調べとなる

猿に書ける音楽でない

初めて耳にするような音楽

満たされぬ切ない思いに
あふれていた

神の声を聞くようだった


             映画  「アマデウス」   より











グラン・パルティータは第3楽章がイイ
あとは ちょっと・・・・
( ごめんなさい モーツァルトさん )

今日は まあさん ちょいと落ち込んでいるので
映画 「 アマデウス 」 のサリエリ先生に登場していただきました



最初どこにでもある普通のフレーズ
ところがしばらくすると
急に光の雲が破れて
天使がゆっくりと降りてくる

淡い光の中を
微笑みながら
天使がゆっくり降りてくる ・・・・



しかし  この映画に出てくる牧師はだらしないね
まぁ  映画のストーリーだから本気になっても大人げないか ・・・・

僕だったら  最後サリエリに

歳をとったあなたに  こんなこと言うのは酷なことだけど
サリエリさん  あなたがモーツァルトに思ってきたこと
一言で言うと 嫉妬っていうんですよ

嫉妬っていうのは
自分のなりたい理想の姿を  他人の姿に見て
うらやましく思い  妬んで
その人と自分を害する思いですよ

あなた  モーツァルトを理想としてたでしょ
そうだったら  その理想を大切にして
少しづつでも理想に近づくよう努力するべきでしたよ

あと  きれいな心を持たないと
いいインスピレーション降りてこないよ ・・・・

って  言っちゃうな

人を導く牧師なら  そのくらい言えよ
と 思っちゃいました





やっぱ  大人げないな
 このコメント ・・・・






3rd Movement Mozart Serenade 'Gran Partita'





娘よ お前もか ・・・・

2010-09-18 | Mozart 幻想










上の娘が高校3年のある日
「 おとん  モーツァルトのレクイエム持っとる? 」 と聞いてきた
持ってなかったので
「 持っとらんぞ 」 と言った
「 そんならええわ・・・・ 」 と部屋に帰っていった

2・3日たって
テレビでレクイエムをやっていたので
娘をよんで一緒に見ていた
そのとき
小林秀雄氏のモオツァルトの話をした
「 ふーん 」 と興味なさそうに聞いていたので
娘にはまだ難しいかなと思っていた

しばらくたってから  また唐突に
「 おとん  小林秀雄のモオツァルト持っとる? 」  と聞いてきた
持っていなかったので
「 ないよ 」  と言った
今度は
「 ふーん 」  と言って  少し残念そうに帰っていった





そのとき
むかし持っていた文庫本の 「 モオツァルト 」 のことを思い出した
どういう訳か表紙が破れてしまい
ぼろぼろになった本を5年くらい
持ち歩いて読んでいた
裏表紙に W・A・Mozart と大きく鉛筆で書いたのを覚えている

中学校の3年だったと思うが
国語の教科書に小林秀雄氏の 「 無常という事 」 が書かれていた
最初に読んだとき
こんな難しい文章もあるんだ
と思ったが
その文章の深さにおどろいた

言うまでもないが
小林秀雄氏の文章はむつかしい
すべて やまとことば 書かれていて
ひとつひとつの言葉に明確な深い意味がある
これをすっとばして読もうものなら
文章全体がわからなくなり
読み終わったとき
何を書いていたのか解らなくなる

僕は
その深い言葉がつづられた文章に惹きつけられ
一行一行をじっくりと解るまで何度も読んでいくという
とんでもない読書の虜になってしまった





娘と本屋に行ったときに
「 モオツァルト 」  を買って娘に渡した
「 ありがとう 」  と言ったが
あまり うれしそうではなかった

「 もういらないのかな?」 と思った

それからしばらくベットの上に
その本が置いてあった
見るごとに  本の位置が変わっていたから
きっと 読んでいるのだろう

その後
娘は何も変わらないように見えるが
たまに娘から沈黙というものを感じる

表現しようとしているものを飲みこみ
自分の中でその言葉を醸造しているように思える

こんなふうに思うのは
 親の欲目だろうか・・・・




美は人を沈黙させるとはよく言われる事だが
この事を徹底して考えている人は 意外に少ないものである

                               「モオツァルト」 小林秀雄 より




                                     2006.9.10  記







Lacrimosa Requiem k.626

 


かなしみのしゃぼんだま

2010-08-27 | Mozart 幻想









ピアノ 協奏曲 第22番 第2楽章



弦楽四重奏曲の14番もスキだけど
この22番第2楽章が一番かもしれない

こころの中にあるものを表現するとき
どうしても 言葉に限界を感じることがある

かなしみと悲しみ・・・・・・・・・
こんな風にしか表現できない言葉があるんだ

もちろん
この第2楽章はかなしみの曲です







ピアノ独奏のなかの しゃぼんだま
           


とうめいな空気を胸いっぱい吸いこんだ

そしたら
かなしくて つめたくて
切なくなってきた

涙を止めようとして
息をはいたとき
かなしみが
息とともに吐き出され
くうきになっていた

そのかなしみのくうきを
ストローでふきだし
しゃぼんだまをつくった

とうめいで虹色にひかるしゃぼんだま

ふわふわ
ふわふわ
宙に舞う

虹色の中にかなしみをふくんだしゃぼんだま

ふわふわ
ふわふわ

やがて
しゃぼんだまはパチリとわれて
ぼくのかなしみは
大気のなかにとけていった

なんとみじかくあっけない
ボクのかなしみのいのち・・・・









41小節目あたりのピアノ独奏の三連符がいいな
あと、木管がやさしいね
ほんとにかなしくて
やさしくてスキだな
  人生のかなしみを経験した深い瞳を感じる・・・・



たまに 人と話をしたくなる
自分のこころの中にあるものを話してみたい
でも 内容はひとりよがりのものばかり

「心に映り行くよしなしごとを・・・・・ 」 *

と言ってもいいかもしれない

そして 結論は解っている

「怪しうこそ物狂ほしけれ」 *

その言葉のとおりだ

兼好氏との違いは
それを書いて名文学になるか
つまらん独り言になるか
そんなところだろうね

結果は見えているから
しゃべらず黙っていた方がいい


でも しゃべりたい・・・・



                                                      * 「徒然草」 吉田兼好 著







Piano Concerto No. 22 Andante





人生の歩き方

2010-08-10 | Mozart 幻想










モーツァルトが大スキ

ほぼ毎日
モーツァルトの何かを聞いているか流している

そのなかで一番好きなのは
弦楽4重奏  ハイドンセット
第14番 第1楽章 k.387

唐突に
いきなりはじまる軽いメロディー

なにも持たないで
どこに行くでもなく
あらゆるものから束縛されずに
すこし早い春のなか たんぽぽの咲く道を
軽い足取りで
ただ歩いていく

そんな気持ちになる

「こんなふうに生きていたいなぁ」
と思う

第4楽章も爽やかなドライブ感があり
軽快な感じで好きですよ











人は生まれてから
どこへ歩いて行くのだろう

成長するうちに
次第に自分の行く道を決めて
その道を歩いていく

それはそれでいいのだが・・・

でも ふと

幼い子供が歩くように
あてもなく 何も持たずに
ただ歩くことがうれしくて仕方がないような
そんな 歩き方がしたいなぁ
と おもうときがある

他人の評価に惑わされず
自分の人生にも執着しないで
生きていたいなぁ・・・・・・・

ネッ モーツァルトさん






String Quartet No.14-1





ああ おかあさん あなたに申しましょう

2010-07-26 | Mozart 幻想











「 ああ おかあさん あなたに申しましょう 」 による12の変奏曲   
                                                   k.265 ( きらきら星変奏曲 )



ああ おかあさん あなたに申しましょう

50にもなるあなたの息子は
今 甘く酸っぱいヘンな気持ちに
翻弄されています
人生 一寸先は何が起こるか分からないことは
知っていました

でも こんなことが起こるなんて ・・・・・・


ああ  おかあさん  あなたに申しましょう

小さな頃  あなたの胸の中が
ぼくの安らぎの場所でした
でも 今
また他の人の胸が欲しいような
欲しくないような ・・・・・・・

ガマンはよくありませんね  おかあさん


ああ  おかあさん  あなたに申しましょう

世の中には  男と女と詩人しかいないと
聞いたことがあります
おかあさん  あなたは私を男に生んだのでしょうか?
それとも  詩人に生んだのでしょうか?
ここのところ  毎日考えています

でも  おかあさん
男なのか詩人なのかは  自分で決めましょう


それと  おかあさん

今夜は  モーツァルトの
甲高いとても下品な笑い声が聞こえてきます
今日は  アイツの曲など聞かず
ラフマニノフなど聞いて寝てしまいましょう






Variations Kv 265