「おら」は、普通に使う一人称です。岩手に限らず広く東北地方等で使われます。宮沢賢治の永訣の朝でも、Ora Orade Shitori egumo(おらおらでひとりいぐも)とでてきます。
普通は、男性が使いますが、岩手では女性も使います。(若い人はもちろん使いませんが…)
語源は、己等(おいら)の省略形でしょう。
ちなみにおいらは、俺等(おれら)の音が変化したもののようです。
おらは、岩手では普通に使う名詞で、
自分の家は、「おらえ」(おら+いえの略)
自分のいる地域、「おらほ」(おら+方向の略)
自分たち「おらだ」(おら+達の略)
等として普通に使われます。
【用例】
おらえでは、東北弁なんてかだんねで、標準語かだってらおや。
Oraedeha touhogubennnanntekadannnede hyoujyunngokadatteraoya
(私の家では、東北弁なんて話さないで、標準語を話してます。)
おらほでは、野菜なんてタダみでなもんだおや。
Orahodeha yasainannte tadamidenamonndaoya
(私の地域では、野菜なんてタダみたいなものです。)
おら以外の一人称は、「われ」も使います。これは単純に我ですね。でも、用法が若干違います。
【用例】
あいず怪我したってかだってんだけんと、われでされ転んだんだっけぞ。
Aizu kegasitatte kadatterakennto waredesaregoronndanndakkezo
(あの人怪我をしたって言ってますが、自分で転んだんですよ。)
おらえのずんっつぁ だれさもごっつぉかせねで わればりくのだっけ。
Oraenozunntsa daresamogottsokasenede warebarikunodakke
(うちのおじいさんは、ご馳走を誰にも食べさせないで、自分だけたべるんです。)
ひまになってぐだぐだってるどは、おらなんもかんもやんたぐなってくるおな。