ジョシュア・ベルがVieuxtempsというガルネリ・デル・ジェス(約16億円相当)を演奏する、というので、急遽週末シカゴへ飛んだ。
ジョシュはご存知の通り、通常自身所有のストラドを弾いているが、今回はStradivari(ガルネリではなくストラド) society of Chicagoから貸与されて、ブルッフのVn協奏曲とサンサーンスの序奏とロンド・カプリチョーソを弾いた-金曜日の夜、ググっていて偶然Chicago Tribuneのこの記事を見つけた。ガルネリの音が大好きで、常日頃からジョシュにガルネリを弾いて欲しいと思っていた私にとってはうってつけの演奏会である。
調べると土曜日も夜8時からシリーズ最後の演奏会があり、飛行機の時間を見ると、何とか月曜日の朝会社に直行すれば、行って来られる-そうと知って黙っていられないのが私。早速チケットの手配をして、シカゴへ。
シカゴ交響楽団の本拠地、オーケストラ・ホールは相当古い。1904年に建てられたとのことで、そのためか、音響的に少し残念な気がした。ジョシュのVieuxtempsの音も、ガルネリの割りにストラドに近いとても品の良い音。このVieuxtempsの性質なのか、女性的で神経質なジョシュが演奏するとガルネリもこういう音になるのか、はたまたホールのせいなのか。
正直、ガルネリには芳醇で、少しくらいお転婆な音を期待する私としては期待はずれだったように思うが、アンコールで銘になっている過去の所有者Vieuxtempsが作曲したアメリカ民謡『アルプス一万尺』変奏曲を演奏してくれたのはとても面白かった-高度なヴァイオリンテクニックで聴く『アルプス一万尺』。そうは言っても『アルプス一万尺』である。16億円のガルネリで聴く、というのは相当酔狂である。
演奏会後、New Album 『Joshua Bell at home with friends』 releaseを記念したサイン会があったので、行ってみた。Album自体はクリスマス商戦を意識したと思われるイージーリスニングで、最近の彼の路線は私の好みとは異なっているのではあるが、サイン会では顔を思い出してくれたので、シカゴまで行ったことは30%くらい報われたような気がした。
追記:なおこのVieuxtempsは今$18millionで売りに出ていて、そのプロモーションも兼ねて演奏が行われたようである。個人的に$18milはちょっと信じられないし、お金があっても買わない。大好きなPanetteだったら$5milくらいだったら。。。