Que ma vie est belle!

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弦楽トリオによるゴールドベルク変奏曲@ウィグモアホール、ロンドン

2010-07-03 01:30:00 | コンサート

バッハのゴールドベルク変奏曲をヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの三重奏で演奏する、というので興味深く思い、出掛けた。Vnはジュリア・フィッシャー、VaはDiemut Poppen、VcがAlexander Chaushian。

開演まで、ゴールドベルクを弦で弾くとどんな風になるだろう、ピアノのポーン、ポーンという感じは無いのだろうな、良いと思えるかな?と不安だった。

結果、心配など要らなかった。もともとゴールドベルクは「ピアノ」用ではない-チェンバロ(クラヴィチェンバロ)のために書かれているからか、少しバロック的な音がしていたフィッシャーのヴァイオリンはとても合っていた。また、編曲も大変上手くできていて、不満どころか、是非ともこのトリオの楽譜と、ピアノ譜を比べてみたい、と思った。

ヴァイオリンパートに殆どテーマが行っているため、ヴァイオリンは相当テクニックのある人でないと弾ききれないであろう。フィッシャーは流石である。ギターの演奏でトレモロを弾きつつメロディーラインを別の弦で引っかく、という弾き方(特別な名称があるのだろうか?)があると思うが、それと同じようなことをする場面があり、これは絶対に真似が出来ない!と思った。多少、弓に松脂をつけすぎたのか、きちんとした音にならない音を出す場面が頻繁に見られたのは残念。

ヴィオラとチェロ-特にヴィオラ-は力量不足。ヴィオラとチェロだけの変奏があったのだが、正直音程も怪しく思われ、聴いていて辛かった。また、全体的に弓使いに柔軟さがなく、荒い。ヴァイオリンとヴィオラ・チェロの実力差がありすぎて、なぜこの3人でトリオにしたのか不思議に思われた(確かにこの編曲ではヴァイオリンに重きが置かれすぎていて、ヴィオラ・チェロの大御所は弾きたがらないかもしれないが)。

第30変奏は、「quod libet=好きなように」なので、どう弾いてもよいのだろうが、まさに弓を振り切るような演奏は、私の好みではなかった。あまりに「なげやり」風に弓を振り下ろすので、正直びっくりしてしまった(折角催した眠気も覚めてしまうに違いない!?)。

編曲が素晴らしかったので、是非夢のトリオ-ジョシュア・ベル、アントワーヌ・タメスティト、スティーブン・イッサーリスあたりで弾いて欲しい。何か良い録音が出ていないだろうか。。。?