少し涼しくなってしまったけれど、ロンドンの夏の風物詩、プロムスが開幕した-今年はマーラーの交響曲第8番で。一千人の交響曲といわれるだけあって、オーケストラの乗っている舞台の後ろ、普段は客席となる部分が全てコーラスで占められている。これだけでもなかなか圧巻。また、ギャラリー席にも金管用の席が設けられている。
会場が広すぎるので、細かい部分が聞き取れないのは止むを得ないだろう。更に今年はハプニングも発生。途中で観客の一人が卒倒してざわついた。若い男性のようだったが、その後回復したのだろうか。マラ8は2部からなるが、勿論そこで休憩になるわけではないので、途中抜け出す人も数人はいた。「プロムス」の名の通り、そぞろ歩きでもできれば、卒倒したり抜け出したり、といったことにはならないだろうが、1時間半、同じ場所で立ち尽くすのは、なかなか厳しい。
そんなこともあって、ところどころ集中して聴くことができた部分もあったが、大分集中力は途切れていた。また、逆に言えば立っていることを忘れさせてくれるような演奏ではなかったことも事実かもしれない(それでもシーズンに2、3回はそういう演奏がある)。
まあ、プロムスというのは、一種の夏祭りなのである。かく言う私も昨年のプロムスで出会った10人くらいの仲間と一緒に再会を喜びつつ聴いたクチである。音楽と真剣に対峙することもよいけれど、こうして仲間一緒に楽しく聴く音楽もまた良いものである。
ラストナイトではないけれど、最後の合唱部分はちょっと一緒に歌いたくなった。今年はどんな発見や感動があるのだろうか。これから2ヶ月間楽しみだ。