月の瓶詰~ブログ版~

こぼれゆく時の欠片を瓶詰に。

「平山郁夫 シルクロードの軌跡 ―人類の遺産にかけた画家の人生―」感想。

2012-05-06 14:38:40 | 旅行記
先日、久しぶりに太宰府天満宮と九博へ出かけました。
到着は8時半すぎ。雨もよいで肌寒かったのですが、既に結構な人出。
参道のお店も開き始めていました。
来るたびに、天満宮の朝が早くなってきている気がします。

まずは御参り。
結ぶと鯉のぼりになるよう、おみくじの色が数種類用意されていました。

…いろいろと反省しつつ、気合いを入れ直しつつ。

竈門神社の御守も拝見。
以前、櫻柄の御守があったのですが(青・緑・黄・紫の蜻蛉玉)、
今回は見当たらず。これもまた一期一会というのでしょうか。
出会った時にいただいておいてよかったです。

さて。

開館30分前に九博へ。
特別展「平山郁夫 シルクロードの軌跡 ―人類の遺産にかけた画家の人生―」。
行列はそれなりで、ゆっくりじっくり見ることができました。

このところバタバタしていて予習が足りず、
最初に登場したアフガニスタンの石彫で「?」となってしまいましたが…。
展示のストーリーを頭に入れてから見てみると、「なるほど、そういうことか!」。
平山郁夫さんは文化財の修復・保存活動に尽力された現場主義の画家で、
戦争や盗掘等で滅亡の危機に瀕した文化遺産を守るため、
「文化財赤十字」構想を提唱された方だそうです。(←パンフレットの受け売り。)
現在、日本では「文化財難民」を受け入れているとのこと。
バーミアンの石仏が破壊されたというニュースは知っていましたが、
文化財難民の受け入れという国際貢献のあり方は初めて知りました。
軍事貢献とは違う道もあるんですね。

平山郁夫さんの絵を直に見るのは、今回が初めてです。
輪郭はぼうっとしているのに、確かな質感が感じられました。
不思議です。
砂であったり、夜気であったり…、そういう空気が伝わるのです。
どうしてかなあ…と思って近づいて見たのですが、画材すらよく分からず。
何となくキラキラしているような気もして。ああ、知識の絶対的不足…。

勉強して出直します。

今回は、久々に特別展グッズを買いました。
クリアファイル素材のしおり4点セットとアートクリップ。
ほぼ一目ぼれですが、普段使えるものだからいいか~と自分を甘やかしました(^^;
でもしおり、点線が入っているから簡単に切り離せるかと思いきや、
やっぱり道具が必要で…。カッターで一つずつ切り取りました。
器用ではないので、ハラハラドキドキ(^^;


その後、お昼ご飯を食べたり梅ヶ枝餅を買ったり「石ころ館」を見たり。
休日を最大限に満喫しました。
夏には若冲さんが来るようだし、秋にはフェルメール…、
今年は何度も九博に来なければなりませんなあ。楽しみです。



「細川家の至宝 ~珠玉の永青文庫コレクション~」感想。

2012-01-22 17:12:29 | 旅行記
先日、九州国立博物館の特別展、
「細川家の至宝 ~珠玉の永青文庫コレクション~」を見に行きました。
普段、博物館や美術館に出かける時は
開館と同時に先頭グループで入れるよう、計算して出発するのですが…、
今回はあまり計画せずふらっと行ってみました。

センター試験当日だったら、天満宮参拝客は少ないに違いない!
…という推理は大ハズレ(^^;
参道は家族連れやカップルで大にぎわい。
(天満宮といえば、昔はカップルで行くと別れる…なんて言ったものですが、
 最近はあまり気にする人もいないみたいですね。)
博物館の方はちょうど好いくらいの人出だったので、ほっとしました。
せっかくの特別展、じっくり見たいですから(^^)



写真は九州国立博物館提供のものです。感謝!


その特別展。
素人目にも、一つ一つが素晴らしくて保存状態も良く…。
ああ、イエが続くというのはこういうことなんだなあ、と思いました。
様々な時代があり、いろいろな人がいて、現在に至る。凄いことです。
系図・年表を思い描いただけで、気が遠くなりましたよ(^^;

今回、文化交流展では
徳川美術館所蔵「国宝 初音の調度」が展示されていましたが、
そちらに較べると、細川さんの御宝は全体的に質実剛健といった印象。
実用性を重視した鎧。宮本武蔵さんの絵。
いいですね~、好きです(^^)

華やかではないけれど、実がある。
これは、現在の熊本県や人、学校のイメージとも重なる気がします。
殿様の家風が、やがてその土地の空気そのものになったのだとしたら…。
つい、我が地元の殿様のことを考えてしまいました。
もうちょっと、こう…いや、何も申しますまい(^^;


帰りにミュージアムショップをのぞいてみたところ、
ふろしきやてぬぐいがかわいくて、ついつい長居してしまいました。
結局、さくら柄のものを衝動買い(^^;
最近、街でさくら柄の物を見かけると、つい引きよせられてしまいます。

春ですねえ…。



「高島野十郎・里帰り展」感想。

2011-08-15 15:55:05 | 旅行記
確か、ドラマ「ヒミツの花園」で
航おにーさまは高島野十郎さんの画集を見ていたような。

…ということで(^^;
石橋美術館(福岡県久留米市)の「高島野十郎・里帰り展」へ出かけた。

写実「的」な絵を描く人はたくさんいるけれど、
目の前の世界をここまで忠実に写し取った人はいないのではなかろうか。

一体どうなっているのだろう、とかなり近づいて見たものの、
どんなに目を凝らしても、りんごはりんご、ももはもも。
夜空に浮かぶ月も、何ら誇張のない月そのものだった。
からすうりの葉はしゃりっと音を立ててくずれそうだし、
静物の置かれた布の触り心地も何となく分かる。


画集を買おうかと思ったが、
この絵の良さは実物でないと分かりにくいような気がしたので、買わず。


しかし…自分が恩賜の銀時計ほどの秀才だったら、
絵だけに人生を捧げるなんて、絶対できないだろうなあ…
などといらぬ心配をしつつ、美術館をあとにした。



福岡アジア美術館、「萩尾望都原画展」をゆく。

2011-02-14 14:21:09 | 旅行記
先日の三連休。

九博の「ゴッホ展」を見たかったのだが、
混雑しているという話だったので、天神方面へ出かけた。

福岡県立美術館に行くつもりが、雨になり…
(普段はどんなに晴れていても折りたたみ傘を持ち歩いているのに、
 こういう日に限って傘がない。)
福岡アジア美術館で開催中の「萩尾望都原画展」を見ることにした。

とりわけファンという訳ではない。
永井均さんの『マンガは哲学する』という本で「半神」を知った程度。
美術館が中洲川端駅直結の建物にあり、
雨を気にせず移動できるのが決め手だった。
前売り券(といっても既に会期中だが)を慌てて購入。

祝日午後の場内は程よき人出。
じっくり見ることができた。

漫画家という仕事は、凄いものだなあ…

と改めて驚くばかり。
絵の美しさ。(絶妙たる濃淡)
ストーリーの深遠さ。(世間にはずうっと安っぽいモノガタリが闊歩している)

「半神」は何と原稿全頁が展示されていた。
つい見入ってしまう。

凄いなあ…いいなあ…

圧倒されてしまって、他に言葉が見つからない。

グッズも素敵で、ブックカバーと作品集を買いたかったのだが、
既に天神で散財してしまっていたので断念。
いつの日か、『ポーの一族』や『トーマの心臓』あたりを
じっくり読んでみたい。

原画展に行って良かった。



「ポンピドー・センター所蔵作品展 シャガール - ロシア・アヴァンギャルドとの出会い」。

2011-01-09 13:13:35 | 旅行記
会期が長いからと油断していた「シャガール展」も、
いよいよ今月10日で終わってしまう。

天気予報から雪だるまが消えた昨日、
ようやく馳せ参じることができた。

シャガールについてもロシア前衛芸術についても
詳しいことは何も知らないのだが、

何かこう…自由だなあ、と思った。
こういう好い加減の絵が好きだ。
ちゃんと絵を描かなければ、と構えてしまっていたけれど、
また気ままに絵を描くのもいいかな。

それから、
雪の日のきいんと冷えた空気や
その合間のくっきりとした陽光を連想した。
もう少し早く見に来ていれば、「ゆきのまち幻想文学賞」に
応募できる作品を書けたような気がする。
いや、まだ締切前だけれど…遅筆だからなあ。


帰り、御無沙汰してしまった筥崎宮へ。
白い幟がはためく景色に、しばし見入ってしまった。



興福寺創建1300年記念 国宝 阿修羅展

2009-07-22 17:57:33 | 旅行記
この前、九博の「国宝 阿修羅展」へ出かけた。

午前8時頃には到着したが、既に大行列。
朝一は熱心な人が殺到するので、案外混み合う時間帯なのかもしれない。
チケットを持っていた御蔭で、入場待ちの列へ。当日券窓口にも行列が…。
開館特別展「美の国 日本」でもこれほど並びはしなかった。
開館を待つ場所は、日よけに扇風機、冷水器と至れり尽くせり。
傘立てもずらりと並ぶ。なかなか壮観な眺めだった。

元々は9時半開館だが、かなり早く開場。
1階ロビーで再整列し、2階へ上がるエスカレーターの前で入場調整さる。
残念ながら第一陣には加われず。

待つことしばらく、いよいよ出陣。
すし詰めで見るしかないかと覚悟していたが、中は意外とゆったりしていた。
阿修羅像の周りもまた然り。
人の流れが滞らないよう、博物館の方が誘導されている効果か。

360度ぐるりと巡ってみて、いずれの像も
全ての角度において均整がとれているということに驚く。
(八部衆像をこれだけ近い距離で、しかも360度見られるというのは有り難いことだ。)

ハガレンのことを考えた。
『鋼の錬金術師』を読んでいると、
「あ、この犬の後ろ脚、まさに犬だなァ」と思うことがある。
私には、描けない。
よく見、よく知らなければ、
とても紙や木や粘土にこの世界を封じ込めることなどできない、と思う。


途中、壁の年表にふと目を留める。
重衡さんのお名前でようやく、「そういえば興福寺だった」と気付く。
阿修羅像ばかりが頭にあって、興福寺自体のことをすっかり忘れてしまっていた。
藤原氏、南都焼討、重源さん…。あれこれ考えながら見ていると、
「1945年、吉野の民家に疎開」の文字。
戦、か。しばしその場に佇む。
『断腸亭日乗』で、永井先生の家からリプトン紅茶の在庫がなくなった日のことを思った。


足がへとへとになりながらも、引き続き常設展へ。
一見さんが多いらしく、博物館の方が懇切丁寧に説明して下さった。
初めて聞くような顔をするのも、なかなか難しい。
今回は、刀狩令の文書とペリー氏の銃が印象に残った。


次はいつ来ることになるだろう…。



太宰府探訪記(後編)

2008-08-01 12:50:45 | 旅行記
いつの間にか、出口近づく。
今回のチラシで目立っていた旗は、鳥居強右衛門ドノを描いた物だったと知る。
あ、強右衛門さんか…と思ったけれど、これは吉川英治さんのお蔭。
『新書太閤記』を読んでいなかったら、きっと名前を見ても「?」で終わっていた。
「名作」は強し。

そして『台記』発見。どうも悪左府ドノとは親しくなれそうにない。
皆が気付いていながらふれずにいる部分を、びしりと指摘しそうだからなあ。
いや、あの頼長殿が、そもそも私のような小者に興味を持つはずはないから、
別に心配しなくても良いのだが。

最後に大河ドラマコーナーがあり、劇中衣装が展示されていた。
大奥の衣装はきらびやかだが、特に着てみたいという気は起きない。
装束といえばやはり直垂。
直垂で袖をさっと翻しながら座ったりしてみたい。
しかし直垂は結構なお値段で…とりあえず侍烏帽子から手をつけるか…と
考えを巡らせながら、パネルや映像でしっかり家定公をチェック。

なぜか人目をはばかってしまう。

きっと、『anan』で木村拓哉さんがずっと一位なのも、その辺りに関係しているように思う。
木村さんは、「好きな芸能人です」と言いやすい男前なのだ。
堺さんは素敵だけれど、何かこう…。
(映画「ジャージの二人」で気付いたけれど、どうやら私の口癖は「何かこう…」らしい。)

閑話休題。

通常展示をざっと見て、今回は終了。
夏休みで社会科見学組がいない分、随分ゆったり見られた。
ただ、毎回ながら年配の方々のエネルギーには圧倒される。
ちびっ子そこのけのはしゃぎっぷりで、あちこちで博物館の方に注意されていた。
この国の未来も明るい、か。

博物館を出て、暑さに驚く。

菅公の御命日にあたる毎月25日は、蓬風味の梅ヶ枝餅が販売されている。
(最近「復活」したものらしい。)
はっきり「よもぎ餅あります」と書かれていたのが「かさの家」だったので、
炎天下、行列して購入。うっすらと緑がかった餅は、ほのかに蓬の香りがする。
うっかり何個も食べてしまった。

昔から太宰府にはよく来ているが、最近の混み様はすごい。
次回は竈門神社まで足を伸ばして、平家人所縁の鹿を眺めながら
閑寂の中にあそんでみようか…。



太宰府探訪記(前編)

2008-08-01 12:46:32 | 旅行記
このところ休日出勤が続いたので、お休みを頂いて太宰府へ。

7月24日・25日は天満宮の夏祭りらしく、文芸灯籠なるものがたくさん飾られていた。
強い陽光の下で見る祭りの跡も、なかなかしみじみとした味わいがある。
心字池から辺りを望めば、すいすいと泳ぐ亀の姿。楼門前には茅の輪あり。
天神様にもしっかりご挨拶をして、九博へ向かう。

今回は暑さのためか出足遅く、開館時に行列なし。

確か年間スケジュールの段階では「東京大学史料編纂所名宝展」だったと思うが、
それを副題に下げて「島津の国宝と篤姫の時代」という看板を掲げた人は偉い。
断然、華がある。

さて、「懐かしい人に出会う」と占いに出ていたので多少期待せぬでもなかったら、
初っぱなから頼朝さんに尊氏さん、直義さんに高師直ドノ…と懐かしい名前のオン・パレード。
さすが島津家。
最近、南北朝時代にはとんとご無沙汰していたので、「観応」の文字にどきりとする。

古文書は説明板と見較べながらでないと理解が覚束ぬが、
一応実物の文字をじっくり見てみる。

直義さんはやっぱり堅そうだ、下についていくのはきついかもなあ、と思う。
尊氏さんはつかみ所がなさ過ぎて不安。師直さんは切れ者でちょっと怖い。
やっぱり頼朝さんかな、程々で安心できる…等々、今更どうしようもないことを
真剣にああでもないこうでもないと考え込んでしまった。
(もちろん、賭けるお方は清盛さんただ一人だが。)

風刺画に、篤姫さんを北条政子嬢に模した物あり。
他に描かれているメンバーは、「北条時政」「源義経」「源実朝」「大江広元」「江間小四郎」。
毛利さんにつながるからだろうが、広元さんが選ばれているのがちょっと嬉しい。
それにしても、「江間小四郎」なんだなあ、「北条義時」でなく。
すっかり心は中世へ飛んでしまい、大奥再現映像もすっ飛ばしてずんずん進む。

ああ、「篤姫の時代」のはずが…。