月の瓶詰~ブログ版~

こぼれゆく時の欠片を瓶詰に。

読みやすさとは―『執権 北条氏と鎌倉幕府』を読んで

2021-05-16 17:25:22 | モノガタリ
いよいよ来年、大河ドラマに鎌倉北条一族が帰ってきます \(^^)/
…ということで、いろいろもろもろそろそろ思い出しておかねばまずいなと。

細川重男(著)『執権 北条氏と鎌倉幕府』(講談社学術文庫)を読みました。

細川先生のお名前は、ついったーの中世史クラスター界隈でもよく目にしておりまして。
今回の「鎌倉殿の13人」は、どうやら細川先生系の義時さん像になりそうという予感もあり。
まずはこの本だろう、と手に取った訳です。

北条義時、果たしてどういう人物か。

わたくし、鎌倉北条一族を推しておりますが、何を隠そう
その中でもダントツ不動の一位が北条義時ドノなのでございます。
すべての始まりは吉川英治さんの『新・平家物語』。
ああいう、冷ややかなまでの頭の良さ…いや、あの作品は清盛さんが最高なのですがね。
甘さを捨てきれないところが…

ええと、何の話でしたっけ(^^;

そうそう、それで順当に永井路子さんの作品群へと向かいまして、
鎌倉初期のあれこれ(※詳しくは来年の大河で是非!)が大好きになり。
時おりしも、大河ドラマ「北条時宗」の影響で各書店には関連書がずらり。
奥富敬之先生の『鎌倉北条一族』や
安田元久先生(編)の『鎌倉・室町人名事典 コンパクト版』等々、
懐かしの新人物往来社にはとりわけお世話になりました。

さて。
歴史関係の本といえば、どういう読者を想定しているかで
その内容はかなり異なってきます。前提とする知識のレベル、そして文体。
小説や、作家による歴史エッセイ。これは一般読者を想定しているので、当然易しい。
著者が研究者でも、大河ドラマにあわせて書店が並べているような本、これも易しい。

さあ、そこで今回の『執権 北条氏と鎌倉幕府』です。
原本は講談社選書メチエ。うーん、ちょっと読むのに骨が折れそうだなあ…と思っていました。

結果として。
確かに、少々読みにくい部分がありました。
でもそれは、内容が難しすぎたからでも、文体が硬かったからでもありません。
その逆です。…くだけすぎていて読みにくい(^^;

内容は確かです。
義時さんと時宗さんに絞って書いてありますが、
「はじめに」の言葉を借りれば、きちんと「基調低音」の響きが分かります。
執権・得宗というものを概観するにはお薦めの一冊です。
それだけに、何だかちょいちょいアレなのが若干気になるところ…(^^;;
いや、意外に義時さんを評価されているんだなとは思ったんですけどね。

あ、後半になるにつれ、普通の文体になっていくので読みやすくなります(^^;;;
内容は前半もまともなんですけどね…。そしてくだけていない部分の方が面白かったり…




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