月の瓶詰~ブログ版~

こぼれゆく時の欠片を瓶詰に。

負けに不思議の負けなし―『日本軍兵士』を読んで

2021-10-11 17:50:41 | モノガタリ
山下曲はこれからも聴くし、いきものさんのファンも続けるし、
我らが帝王櫻井さんの結婚には正直安心したし(※待ってました派)、
相変わらずの模範解答にはさすがやねーと思ったし…
とあれこれ原稿を考えているうちに、『呪術廻戦』第17巻で思考が爆発四散しました(^^;
そんなこんなで二次小説方面は当分書けそうにもないので、
とりあえず随分前に読んだ新書本の感想から。

積読本のひとつ、
吉田裕 著『日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実』(中公新書)を読みました。
記録によれば、2年前に入手していたようです。
確か店頭でたまたま見かけて買ったはず…。
こういう出会いも、コロナ禍で随分少なくなってしまいました。
昨年は書店自体がしばらくお休みでしたし、そうこうしているうち
週末に出かける習慣自体がなくなって、もうネット書店でいいや…と。
でも、ネット書店で買う場合は決め打ちなんですよね。
偶然手に取るということは、ほぼない。

さて、この本。
帯には「2019新書大賞第1位」、
「2018年度アジア・太平洋賞特別賞」との記載がありますが、
購入した決め手はそれでなく。
歴史小説を読んでいると、しばしば問題になってくるのが兵站の話。
かの大戦の折、
あれだけ拡大した戦線において兵站をどう維持していたのか、
素朴な疑問として元々関心がありました。

で、兵站の維持ですが…。(遠い目)

もう数頁読んだ時点で、
敗色濃厚を通り越して負けるしかないことが分かってしまうのですよ。
本来であればとても合格できないような人々が、
さしたる訓練もなく武器も持たされず(!)戦地に送り込まれる。
揚力で威力が削がれてしまうにも関わらず、あえて用いられる航空特攻。
開発が追い付かず弾が戦車に通用しないため、陸上でも特攻。
食料に飯盒や水筒等の道具。衣類に背嚢。
通信機器。土木作業のための重機。医療。
何もかもが不足している。
分かってはいてもどうしようもないから、そのまま突き進むしかない…。

非常に読みやすい文章で、淡々と突きつけられる事実の数々。
そして何となく、この精神構造は各組織(特に危機管理の局面)で
今も脈々と受け継がれているような気がするのでした。




コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。