「この髪型って、人権問題ですよー!!!!!!」
と、ぷんぷんと鼻息の荒い口元を尖らせた寺地は、
気に入らない髪型にさせられたことに憤慨している様子、
「あなた、こんな髪型にするなんて、障害者のわたしを見下しているんでしょ?」
と車椅子の端を佐竹さんの弁慶の泣き所めがけて、突進し兼ねない。
「寺地だって女として28年間生きてきたのよ。
そ、そ、それをこんなへんてこりんな髪型にするなんて。
まるで、ブッタ(マンガ、聖 お兄さんのブッタを指す)か一昔前に流行った不良かチンピラの頭、
中途半端なパンチパーマって感じでしょう、これーーーっ!!!!」
さて、どうしたものか・・・と考え込む寺地。
いつもより長めに湯船に浸かり、湯の中でぶるぶると唇を震わせ、
「生まれて初めてのデートだったのに、こんな髪型じゃ・・・」と肩を落とす寺地。
断ったらもう二度とデートのチャンスなんてなさそうだし、
かといって、こんな髪型でデートの待ち合わせ場所へ行ったら、
トイレに行ってくるといったまま、彼はわたしの元へ二度と現れそうにはない。
チャンスをみすみす逃すか、それともこの髪型を理由に振られるか。
どっちも悲しすぎる・・・・・
「お電話ありがとうございます。F銀座店でございます~」
「もしもし、明日予約をお願いしたいのですが・・・」
と、寺地はかつらメーカーへ連絡を入れる。
「えっとですね~、わたし、禿げてはいないのですが、髪型がブッタなのでかつらが必要になりまして」
佐竹、覚えてろー
請求書はお前に送り付けてやるのだ~!!!!!
by 寺地(笑