地金という限りある実体との交換性をなくし、いくらでも輪転機で印刷できるドルを基軸通貨とするドル本位制にして、各国の富を金融という錬金術で集めるアメリカの金融資本のやり口を鉄から金を作る錬金術と同じという話を書きましたが、サミットで話題になった二酸化炭素の削減目標とそれに伴うガス排出権の問題も、「環境ビジネスにすぎない」という指摘が多くなされてきました。
自分達で目標を作り、目標に達さない分を余裕のある国から購入することで目標を達成したことにする、というのは合理的で表裏のないビジネスのように見えますが、前提の部分で国によって異なる目標値を設定する段階で既に理に適わない裏表のある条件ができてしまっているように思われます。つまり「前提がおかしい」から「途中の論理展開」が問題なくても「出てくる結論がおかしい」ということの一例のように思われるのです。
この「前提がおかしい」というのはオウム真理教の場合「ハルマゲドンがくる」という前提だから「一般人はポアされてよかった」という変な結論になるにも係わらず、途中の論理展開は矛盾がないようにできていたから一流大学出の秀才たちがすっかりその気になっていたのです。共産主義も世界の歴史は共産制に向かって一方的に進むという前提のために個々人の欲を考慮しない一見精緻な論理展開に秀才達がだまされて、うまく行かないのは思想が悪いのではなく、思想通りに行動しない人間が悪いとして国民を大量に殺戮してしまうわけです。
自然科学と異なり、社会科学は途中の論理展開が正しくても「前提」が間違っていれば「正しくない結論」が出てくるものであることを注意してみていないといけないのです。しかしこの最も大事な「社会科学の考え方」について学校教育では教えてないように思います。
国連のクリーン開発メカニズム(CDM)理事会というのが、各国のCDM排出について承認したり排出権の売買を認めたりしているようですが、中国などは国家発展改革委員会が排出権取引の主導権を握り、排出権取引によって得た利潤の3-4割は自国のクリーンエネルギー化に利用するが(中国CDM基金)、残りは政府の資金になると計画しているようだ。
今回のサミットでも「途上国の排出削減はゆるく、先進国は80%以上削減しなさい」、という共同宣言を中国インドなどの新興国が出していましたが、言い換えると「自分達の排出権を多くして、削減目標のきびしい先進国はそれを高額で買い取りなさい」と言っているわけです。そこには労せずして莫大な金が得られる「錬金術」に目を奪われて、本当に困っている自分達の後ろに控える貧しい国々のことなと全く眼中にない卑しい姿だけが見て取れます。
地球温暖化が本当に炭酸ガスによるものか、そもそも温暖化などというのがあるのかも問題ではありますが、「環境破壊を予防する」ことに異論はないと思います。ただそのやり方は、国から国に金を渡すのではなく、目標達成できない分は罰金の形で国連に一度支払い、達成して余裕のある国はその基金から新たな環境改善の施策に使う資金を得るといった形にすべきだったのだと思います。
一部証券会社や銀行はすでにこの排出権を金融商品として将来値上がりするものという投機の対象にしつつあると聞きます(大和証券、三菱UFJなど)。結局この値上がりした排出権を高い税金で払うことになるのは額に汗して働く一般国民であり、投機で値上がりしたガソリン代がファンドに吸い上げられてゆく現状と同様、新たな合法的搾取のしくみが作られているだけであると言えないでしょうか。
「錬金術」というのは無から有を造りだす「本物の金」を創造するのならば価値あるものができるのですから誰も損をしませんが、単なる「金融工学」である限り得をする人の分損をする人がいるだけの話で、「合法的搾取」「ゼロサム」にすぎないのです。あらたなしくみが本当の価値を創造するものなのか、メジャーなマスコミは分析して我々に示して欲しいものです。
自分達で目標を作り、目標に達さない分を余裕のある国から購入することで目標を達成したことにする、というのは合理的で表裏のないビジネスのように見えますが、前提の部分で国によって異なる目標値を設定する段階で既に理に適わない裏表のある条件ができてしまっているように思われます。つまり「前提がおかしい」から「途中の論理展開」が問題なくても「出てくる結論がおかしい」ということの一例のように思われるのです。
この「前提がおかしい」というのはオウム真理教の場合「ハルマゲドンがくる」という前提だから「一般人はポアされてよかった」という変な結論になるにも係わらず、途中の論理展開は矛盾がないようにできていたから一流大学出の秀才たちがすっかりその気になっていたのです。共産主義も世界の歴史は共産制に向かって一方的に進むという前提のために個々人の欲を考慮しない一見精緻な論理展開に秀才達がだまされて、うまく行かないのは思想が悪いのではなく、思想通りに行動しない人間が悪いとして国民を大量に殺戮してしまうわけです。
自然科学と異なり、社会科学は途中の論理展開が正しくても「前提」が間違っていれば「正しくない結論」が出てくるものであることを注意してみていないといけないのです。しかしこの最も大事な「社会科学の考え方」について学校教育では教えてないように思います。
国連のクリーン開発メカニズム(CDM)理事会というのが、各国のCDM排出について承認したり排出権の売買を認めたりしているようですが、中国などは国家発展改革委員会が排出権取引の主導権を握り、排出権取引によって得た利潤の3-4割は自国のクリーンエネルギー化に利用するが(中国CDM基金)、残りは政府の資金になると計画しているようだ。
今回のサミットでも「途上国の排出削減はゆるく、先進国は80%以上削減しなさい」、という共同宣言を中国インドなどの新興国が出していましたが、言い換えると「自分達の排出権を多くして、削減目標のきびしい先進国はそれを高額で買い取りなさい」と言っているわけです。そこには労せずして莫大な金が得られる「錬金術」に目を奪われて、本当に困っている自分達の後ろに控える貧しい国々のことなと全く眼中にない卑しい姿だけが見て取れます。
地球温暖化が本当に炭酸ガスによるものか、そもそも温暖化などというのがあるのかも問題ではありますが、「環境破壊を予防する」ことに異論はないと思います。ただそのやり方は、国から国に金を渡すのではなく、目標達成できない分は罰金の形で国連に一度支払い、達成して余裕のある国はその基金から新たな環境改善の施策に使う資金を得るといった形にすべきだったのだと思います。
一部証券会社や銀行はすでにこの排出権を金融商品として将来値上がりするものという投機の対象にしつつあると聞きます(大和証券、三菱UFJなど)。結局この値上がりした排出権を高い税金で払うことになるのは額に汗して働く一般国民であり、投機で値上がりしたガソリン代がファンドに吸い上げられてゆく現状と同様、新たな合法的搾取のしくみが作られているだけであると言えないでしょうか。
「錬金術」というのは無から有を造りだす「本物の金」を創造するのならば価値あるものができるのですから誰も損をしませんが、単なる「金融工学」である限り得をする人の分損をする人がいるだけの話で、「合法的搾取」「ゼロサム」にすぎないのです。あらたなしくみが本当の価値を創造するものなのか、メジャーなマスコミは分析して我々に示して欲しいものです。